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この石には意志がある!  作者: 一狼
第8章 レフトウイング大陸・決戦編
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221.撤退戦

 撤退戦は、殿は先ほど決めた通りブラストール、ヒビキ、ファイ、ジルの4人で、撤退する馬車の先頭に魔王の欠片で攻撃が効かないマックスを、馬車の防衛にゴダーダを屋根に配置。


 いざと言う時は、アルベルトとパトリシアも戦うが、一応後方支援部隊にも戦える人物が居るので、彼らも参加してもらう。


 戦える人物と言うのは、クローディア、リュキ、フレイドの3人だ。


 特にクローディアは戦闘部隊と引けを取らない戦闘力を誇るからな。


 まぁ、そう言った面で言えば、この勇者パーティーの中で1番の戦闘力がある人物が居るのだが……


『で、ジジィはこの撤退戦には協力しないのか?』


『儂、オブザーバーじゃもん。この間のように四天王の1人とか来なければ、基本的には儂は戦闘には参加せんよ。寧ろこの程度の事を打破できなければ勇者とは言えんじゃろう』


 ちっ、このジジィ、相変わらずオブザーバーじゃからの一点張りか。


 確かに魔王四天王の鉄槌のジージーの対応は、例外と言えるかもしれん。


 まぁいい。このジジィは初めから当てにしていないし。


「む、王子軍が動き出したでござるな」


 4たび包囲網が動き出した。


 今度は北、南、西、北東の4方向からの攻撃だな。


「(きゅーちゃんー)」


『おう!』


 俺は作戦会議中に予め用意しておいた、アルベルトたちの幻影を被せたミスリルゴーレムを配置して4方向からの攻撃を迎撃させる。


「よし、こっちも隙を見てヴァインの部隊を突破するぞ」


 ブラストールが皆を一か所に集め、突入する機会をうかがう。


 先ほどのフォーメーションに、マックスの背にはブラストールとヒビキ、ファイを乗せている。


 ジルは勇者パーティー最速のふーちゃんに乗っての移動なので、まずはジルが一番槍でヴァインの部隊を崩す役目だ。


 囮を使っているとはいえ、ここで見つかっては元も子もないので、クーガーが開発した路傍石マントの原形の布を馬車に被せて王子軍から見つからないようにして息を潜める。


 無論、ジルやブラストールたちも路傍石マントを着用して見つからないようにしているが、まぁ見つからないが、何かを企んでいるのには気づかれるだろう。


 今、デコイたちが奮戦しているが、流石に全てのデコイが本物の動きを真似できるわけでもないので、バレるのも時間の問題だ。


 尤も、その僅かの時間が稼げれば十分だがな。


 っと、おいおい、時間差で北からも追加攻撃かよ。


 随分と嫌らしい攻撃をしてくるじゃねぇか、ヴァインさんよ。


 だが、これはチャンスだ。


「向こうは追加の攻撃で気をよくしているだろう。その油断を突くぞ」


 ブラストールの合図で一行は牧場を飛び出しヴァインの部隊へと突入した。


 まさかこちらから敵本拠地へ全員が乗り込むとは思わなかったのか、ヴァインを含む部隊全員が驚愕の表情をあらわにしている。


 隙を突く狙いは上々。


 そんでもってジルの一番槍!


「いっくよー! まずははーちゃんー!」


『おうよ! 飛斬を喰らえ!』


 ジルがふーちゃんに乗って高速で近づきながらはーちゃんから斬撃を飛ばす。


 はーちゃんの斬撃がヴァインの部隊を切り飛ばし動揺を与えた。


 そしてそのまま部隊のど真ん中ではーちゃんに切り替えて地面を突く。


 ぼーちゃんの能力〝衝撃″。


 地面から広がる衝撃波がヴァインの部隊を吹き飛ばす。


 そしてそこへブラストールたちを乗せたマックスが突入する。


 無事な兵や、直ぐに立ち直った兵たちがマックスを迎撃しようとするが、無論、魔王の欠片を持つマックスには効かずにそのまま吹き飛ばされていた。


「む、報告にあった魔王の欠片を持つ狼か!」


 おっと、ヴァインにもマックスの情報が渡っているのか。


「あの狼は無視してかまわん。勇者の仲間たちを狙え!」


 ヴァインの指示は素早かった。


 直ぐに魔族と獣人の混成部隊は、マックスの背から降りたブラストールやヒビキ、ファイたちを狙い始める。


 ジルにも襲い掛かってきているが、ぼーちゃんやはーちゃん、えんちゃんたちを駆使して無双状態だ。


 それに、ジルたちに構ってばかりでいいのかな?


 ジルたちは巧みに立ち位置を調整しつつ、ヴァインの部隊を誘導する。


 そしてぽっかり空いた空間にディーノの操るスレイプニル2頭に引かれた2連結の馬車が駆け抜ける!


 そして馬車を先導するようにマックスが梅雨払いをして駆け抜けていく。


「っ! その馬車を逃がすな! 何としてもこの場で仕留めよ!」


「させないよー!」


「押し通させてもらうでござる!」


「……邪魔しちゃダメ」


「行け! 駆け抜けろ!」


 ヴァインは直ぐに新たな指示を出すが、それを阻むジルたち。


 見事に意表を突かれたヴァインの部隊は、こちらの思惑通りアルベルト達を逃がすことに成功した。


 ジルたちは馬車が通り抜けた道をすぐに塞ぎ、アルベルト達を追撃させないようにする。


「さぁて、アルたちを追いかけたかったら俺っちたちを倒してから行くんだな」


「ちっ、やってくれたな、下賤な人族どもが。おい! 包囲していた部隊を追撃に回せ! この命知らず共はこの場に残ったことを後悔させてやるくらい痛めつけてやれ!」


「さて、出来るものか試してみるでござるか?」


「……むしろ全員返り討ち」


「誰を相手にしたか教えてあげるー」


 たった4人が、ヴァインの部隊相手に啖呵を切るジルたち。


 不意を突かれまんまとアルベルトを逃がしてしまったヴァインだが、怒り狂っているかと思えば何故か不敵な笑みを浮かべていた。












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[一言] まさか逃げた先にも何か仕込まれているのか?
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