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この石には意志がある!  作者: 一狼
第7章 勇者パーティー・激走編
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188.勇者VS覇道

 ヒビキが切り込み隊長ばりに一直線にユーユーへと向かって行く。


「そろそろいい加減に決着を着けるでござるよ!」


「確かに。Youとの腐れ縁もここまでにしましょうか!」


 ヒビキの振るう刀の斬撃を、ユーユーは魔剣で以って迎え撃つ。


 まるで映画の様な殺陣に見惚れてしまいそうになるが、実際のところはヒビキの斬撃はユーユーにあしらわれていると言っていい。


 無論、ヒビキも全力で攻撃している訳ではない。


 何故なら、ヒビキは1人で闘っている訳じゃないからだ。


 ユーユーが横薙ぎの一撃を振るい、ヒビキはそれをバックステップで距離を取って躱す。


 そしてヒビキが空いた隙を、ファイの魔法が飛び込んできた。


「【ホライゾン・シューティング】」


 十の魔弾が水平にユーユーへと放たれるが、ユーユーは自ら当たる魔弾だけ防いで弾く。


「【ホーミング・ボム】」


 だが、当たらなかった残りの魔弾が、ファイの改変した魔法により背後からユーユーへと自動追尾で襲う。


「む、相変わらず訳の分からない魔法の使い方ですね!」


 敵でありながらファイの魔法技術に感心するユーユーの気持ちも分かる。


 一度放った魔法を途中で性質を変えて別の魔法に創り変えるなんて普通あり得ねぇよ。


 自動追尾された魔弾をユーユーは落ち着いて魔剣で対処するが、背後から迫った魔弾を防ぐために、こちらへと背を向けている。


 ヒビキがユーユーへと向かって行ったと同時に、ゴダーダも狙撃のしやすい距離を保ちつつ一同から離れて弓を構える。


「【シールドチャージ】!」


 背を向けたユーユーへブラストールが【盾】スキルによる体当たりをぶちかます。


 ユーユーはそれを迎え撃つべく素早く全ての魔弾を弾き、ブラストールへ斬撃を放とうとするが、それをゴダーダの狙撃が阻む。


 相変わらず超人的な狙撃能力だな。


 シーザの暴食の魔王の欠片により、この辺一帯が平地となり高低差が無い状態にも拘らず、ゴダーダは上手く位置取りをし、ユーユーの魔剣を持つ手を狙ったのだ。


 その隙にマックスに乗ったパトリシアがシーザを回収する。


「ぐぅ……!」


 ブラストールの【シールドチャージ】により、ユーユーは十数メートル吹き飛ばされるが、辛うじて倒れるのだけは免れたようだ。


 だが、攻撃を受けた直後により、体制は崩れている。


「よっしゃぁ!」


 そこへ聖剣の能力――“アクセル”を解放したアルベルトが一気に迫るが、ユーユーは体勢が崩れたまま剣の切っ先をアルベルト達へと向けた。


 ヤバいっ!


「【覇道剣】」


 ユーユーの剣の切っ先から膨大なエネルギー砲が放たれ、アルベルトは“アクセル”状態だったため辛うじて躱せたが、ブラストールとファイが巻き込まれた。


 ブラストールは楯を構え、ファイは咄嗟に【シールド】の魔法を放ったものの、ユーユーの放った【覇道剣】は2人を見事に戦闘不能へと追い込んだ。


 事前にヒビキから聞いていたが、これほどの威力とは。


 【覇道】のスキルの最強技の内の1つ、【覇道剣】


 この【覇道剣】には2つの使用方法があり、1つは今見せたように剣を砲身に見立て、エネルギー砲を放つ砲撃モード。


 もう1つはよくあるエネルギー斬を飛ばす、斬撃モードだ。


「ここで腐れ縁に決着を着けると言う事でしたからね。本気で行かせてもらいますよ。

 【覇道剣・連撃】!」


 今度は逆に、砲撃【覇道剣】を躱して体勢が崩れたアルベルトに向かってユーユーが斬撃【覇道剣】を連続で放つ。


 体勢を崩しながらもアルベルトは“アクセル”で躱し続けるも、それは誘いだった。


「いかん! アル殿、避けるでござる!」


 誘い込まれたアルベルトにユーユーは砲撃【覇道剣】を放つ。


 それに気がつたときは既に遅く、アルベルトは砲撃【覇道剣】に呑まれようとしたが、ヒビキがアルベルトを突き飛ばして身代わりとなる。


「ヒビキ!」


 いやらしい事に、アルベルトを狙った砲撃【覇道剣】は射線上に、きっちりとゴダーダをも捉えており、躱し損ねたゴダーダも砲撃【覇道剣】に巻き込まれた。


「ちょ、マジ、かよ」


 アルベルトが呆けるのも無理はない。


 ユーユーが本気を出してあっという間に勇者パーティーはほぼ壊滅状態となってしまったのだ。


「さて、本気を出すと言ったからには遠慮はしません。ここで確実に勇者一行に止めを刺します。

 【覇道圏】!」


 ユーユーの体から気力の様な魔力の様なオーラが立ち上る。


 そう、まるでドラゴ○ボールの超サ○ヤ人のように!


 って、マジで遠慮してねぇな、魔王四天王最強様は。


 と、丁度そこへ、ジジイとジージーがぶつかり合い、周囲一帯が光りの衝突により真っ白に染まる。


 光が治まると、バラバラに倒れていたはずのブラストール達が一か所に纏められていた。


 ユーユーからかなり距離を取ったところに、マックスが前面に出て、パトリシアが【聖女】スキルの最強の盾魔法【アイギスシールド】で皆を守っていた。それと同時に【治癒魔法】で皆の傷を癒していく。


 おそらく、あの光の一瞬でマックスが全員を集めたんだろう。


「なるほど、中々抜け目ない。とは言え、Youたちは最早戦う力は無いでしょう。私の【覇道剣】を受けて、そう簡単に治るとは思わない事です」


 どうやらユーユーの言う通り、【覇道剣】で受けた傷はじわじわとではあるが、【治癒魔法】により回復はしているものの、直ぐには治らないみたいだ。


 となれば、現状で戦えるのはアルベルトとパトリシア、後はマックスの2人と1匹だけだ。


 魔王の欠片を持ち、攻撃の一切効かないマックスが居るのであれば早々負ける事は無いが、さてはて、どうしたものか。












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[一言] あっさり半壊しただと。
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