表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この石には意志がある!  作者: 一狼
第2章 勇者・召喚編
20/357

019.王都セントール

「あれー? アルファさんだー」


 冒険者ギルドからの強制依頼のゴブリン退治をして戻ってきたら、別れたはずのアルファが受付カウンターに居た。


「よう、その様子だと無事に依頼を達成したらしいな」


「うんー、楽勝ー」


 まぁ、ジルに掛かればゴブリン退治は朝飯前だな。


「ジルちゃんが無事に冒険者になった記念に俺達からの贈り物だ」


 そう言ってアルファは手に持っていた袋をジルに渡す。


 袋の中身はジルに合わせた革鎧と小振りのナイフだった。


「折角冒険者になったんだから身なりもそれっぽくしないとな。ってなわけで俺達からのプレゼントだ」


「わー! ありがとー!」


 これは素直に助かるな。


 ジルは【ストーンコレクター】で攻撃面には問題ないが、防具が無いから防御面では不安だったからな。


「今度こそお別れだ。また機会があったら会おう」


「うんー! 色々ありがとうー」


 ジルはアルファにお礼を言い、俺達はセクンドの町を後にした。


 因みに、強制依頼を受けていたゴブリン退治だが、受付嬢に報告して無事に冒険者として認められた。


 ただ、同行していた確認員の様子がおかしくなっていたが、些細な事だろう。


 ジルはふーちゃんに乗って王都へと向かう。


『いい人たちだったな』


「うんー。あのまま真っ直ぐ王都に向かっていたら困っていたかもー」


『そうだよなー。普通に考えれば王都の出入りを管理してない方が可笑しいんだよな。ちょっと考えれば気が付く事なのに』


「きゅーちゃんでも分からないことあるんだねー」


『まぁ、俺も何でも知っている訳じゃないからな』


 そりゃあ、俺は異世界転生したただの人だ。


 神様からチートを貰ったわけでもないし。


 セクンドの町からそれ程もしないうちに王都へと到着した。


 セクンドの町のように城壁に囲まれており、出入り口と思しき所には大勢の人が並んでいた。


 見たところ列は普通の一般人や商人・貴族などで別れているみたいだ。


 ジルは並んでいる人にどの列に着けばいいか聞いてその後ろに付く。


 聞かれた人は小さな子供1人だった事に訝しんでいたが素直に教えてくれた。


 1時間くらい並んで漸くジルの番になった。


「市民カードかギルドカードを持っているかい?」


 出入り口の門を管理している兵士はジルを見るなり小さな子供対応で優しい声で問うてくる。


 ジルは素直に出来たばかりのギルドカードを出すと、兵士はカードを見て少しばかり驚いていた。


「こんな子供が冒険者ギルド登録をしているのか……」


 まぁ、普通は市民カードだろうしな。


「お嬢ちゃんは王都へ観光に来たのかい?」


「弟に会いに来たのー」


「そうか、弟が王都に住んでいるのか」


 住んでいる訳じゃないが、説明する必要もないしな。


 兵士はギルドカードを見て書類に記入し、カードを水晶のようなものに掲げて問題ないと判断してジルへカードを返した。


「ようこそ王都セントールへ」


 ジルは門を抜け王都へ入ると驚きを顕わにする。


「ふわぁーーーーーー!」


 セクンドの町も大勢の人が居たが、王都はそれを上回る大勢の人が賑やかしていた。


 建物も村では見たことが無いほど密集しており、セクンドの町でもあまり見かけなかった2階建ては当然として、3階建てや4階建てはざらだった。


「(凄い凄いー、これが王都なんだねー)」


『あんまりおのぼりさんになるなよ。こういった大勢の人が居るところじゃスリとか詐欺とかが横行しやすいからな。ジルのようにキョロキョロしていれば田舎者と見られてカモられるぞ』


「(あ、うんー。そうだねー。私の目的はアル君を連れ戻すことだもんねー)」


『さて、まずは情報収集と行くか。アルベルトを奪還するにはいろいろ作戦を立てないとな』


「(うんー? 作戦は必要ないよー。真正面から行ってアル君を返してもらうのー)」


『……はぁ? おいおいおい! 何無謀な事言ってんだよ! 向こうは強引にアルベルトを連れ去った奴らだぞ。そう簡単に行くかよ!』


「(大丈夫大丈夫ー。アル君に会えればこっちのものだからー)」


 いやいやいや、その会うまでが問題だろうよ。


 アルベルトが【勇者】スキルを授かってまだ3日。


 おそらくだが、まだ勇者を発見した報は国民には出ていない。


 教会側も今はまだ公表はしないと言うより準備が出来ていないはずだ。


 素直に教会へ行ってもアルベルトが王都教会に居ると認めるか。


 あ、もしかしてジルはその事を突いて騒ぎを起こしてアルベルトに会うつもりなのか?


 ……無事に連れ戻したとしても問題はその後だ。


 今は後回しにしているが、連れ戻した後も教会が再びアルベルトを教会側に招こうとありとあらゆる手段を使わないとは限らない。


 そうなった場合の事も考えなければならないんだが……


「(きゅーちゃんー。大神殿の場所が分かったよー)」


 俺が悩んでいる間にもジルは聞き込みを行い、Alice神教王都教会――総本山のアリスティラ大神殿の場所を聞き出していた。


『ジルには何か策があるみたいだから俺はサポートに徹するが、無茶はするなよ?』


「(策って程じゃないよー。さっきも言ったけど、真正面からアル君に会いに行くだけだよー)」


 いや、だからそれだけでどうやってアルベルトを連れ戻せる自信が湧いてくるんだ……















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ