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この石には意志がある!  作者: 一狼
第7章 勇者パーティー・激走編
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163.フェンリル対面前

 神獣の森を進み、フェンリルの下へと辿り着いたのだが、【気配探知】【魔力探知】【索敵】等でフェンリルと思われる反応とその周り、フェンリルの下へ行くその前にも反応があった。


 【森羅万象】の【索敵】でより詳しく見てみると、フェンリルの周りに居たのはフェンリルナイトと言うフェンリルの眷属モンスターで、その前に居るのは人間だった。


「フェンリルの前に誰か居るよー」


「どうやらモンスターではなく、人のようですね」


 ジルが皆に注意を促すが、距離が縮まった所為か、どうやらクローディアの方でも探知したようだ。


「こんな森の中にか?」


 アルベルトは怪訝に思いながらも前方を警戒する。


 人間の反応は4つ。


 ジル達が警戒しながら前へ進んで行くと、黄金の鎧を着た女が2人、銀色の鎧を着た女が2人居た。


 と言うか、あの金色の鎧は見たことあるな。


 形は違えど、あれは十二乙女騎士団の団長の鎧だな。


 向こう側もジル達に気が付いたのか、武器は構えなかったものの、警戒しながら話しかけてくる。


「む、止まりなさい。こんな森の中で私達以外の人に出会うとは……。貴方方がどんな用事でこの森に居るのか分かりませんが、この先には行かせられません」


「そうだよ、ダメだよ! こっから先はボク達が先に行くんだよ!」


 最初に話しかけてきた団長は、赤い髪の気品のある流麗な女性で、ボクっ子の団長は頭に猫耳、お尻に猫尻尾のある、身長150cmほどの猫人(キャット・ミー)の獣人の女の子だ。


「あんたら連合軍正規軍の十二乙女騎士団だろ? 俺はアルベルト。勇者だ」


「私達は連合軍第7軍、通称勇者軍です。訳あって神獣の森のフェンリルに会いに来ました」


 代表してアルベルトが名乗り、パトリシアがこの先のフェンリルに用があると伝える。


「これは失礼をいたしました。私は巨蟹騎士団団長のキャシー・シザークラブです」


「ボクは獅子騎士団の団長のリオだよ!」


 こちらが勇者パーティーであると分かると、キャシーたちは警戒を解いて接してくれた。


 ふむ、名乗りを上げただけなのに信用してくれたのか?


「ハルコ団長からも勇者殿が第3戦闘区域に向かうと連絡を貰ってましたので」


 どうやらハルコ軍団長が事前に連絡をしてくれていたらしい。


 とは言え、わざわざ神獣の森まで出迎えてくれた……って訳じゃなさそうだな。


 さっきボクっ子猫人(キャット・ミー)のリオが、自分たちがこの先に行くんだって言ってたからな。


「それで、この先に通してくれるか?」


「それは……実は私達もこの先に用があったのですが……」


 キャシーの話によると、この先には神兵と呼ばれるゴーレム兵器があるらしい。


 リオは【ゴーレムマスター】のスキルを持っているので、連合軍の戦力の強化を狙い、ゴーレム兵器の入手の為に神獣の森に来たと。


 だが、ゴーレム兵器の前にフェンリルが立ち塞がりゆく手を遮っていると言う。


 話を聞く限りじゃ、安易に神の兵器を手に入れられない様にとフェンリルはゴーレム兵器の守護者をしているらしいな。


「つまり、そのゴーレム兵器を手に入れるにはフェンリルを倒さないといけないでござるか?」


「いえ、流石にS級と呼ばれるモンスターを相手には出来ませんよ。少なくとも言葉は通じるのでフェンリル殿より許可を貰えればと、話し合いをしていたのですが……」


 ヒビキが血気盛んな事を言うが、キャシーはあっさりとそれを否定する。


 そりゃあそうだ。


 神狼と呼ばれるモンスター相手に戦って勝とうなどと無謀だと言わざるを得ない。


 それこそジルクラスでないと、勝てないだろう。


 その辺りはキャシーも弁えているので、話し合いでの解決を望んだのだが、どうやら状況は芳しくないらしい。


「フェンリルが許可をくれないのー?」


「まぁ、ハッキリ言えばそうですね。容易な事でないと覚悟はしていたのですが、こうも交渉が難航するとは思いませんでした」


「もー! ボク達は魔王軍と戦うためにゴーレムちゃんを使いたいのに、何でわかってくれないのかなー」


 リオは世界平和のために使うんだからって文句を言うが、おそらくフェンリルにとって人族魔族は関係ないんだろうな。


 リオの言う世界平和は人族の世界平和であって、フェンリルにとっての世界平和はこの世界(・・・・)の平和だろう。


「それに、交渉が難航しているのは何も私達がゴーレム兵器を使うのを許可できないと言うだけではないのです」


 あ、待てよ。そう言えば以前クローディアが報告してくれた中に、あったな。


「フェンリルに魔王軍がちょっかいを掛けているってことー?」


「ええ、そうなのです。魔王四天王の1人がフェンリル殿に勧誘を掛けて襲撃してきているのです」


「そう! あいつら邪魔してくるんだよ!」


 えーと、勧誘しに来て襲撃?


 仲間にならないなら倒しちゃう、みたいな?


「我々も交渉をしつつ、フェンリル殿を魔王軍から守っている為、状況が膠着状態に陥っているのです」


 ん? 何でキャシーたちがフェンリルを守るんだ?


 同じ疑問を持ったパトリシアが訊ねる。


「あれ? キャシー様たちがフェンリル様を守っているのですか?」


「フェンリル殿に会えば分かると思いますが、今はフェンリル殿は戦える状態じゃないのです」


「ボクにゴーレムちゃんを渡してくれればフェンリルちゃんを守ってあげられるのに、何で渡してくれないんだろ」


 リオの興味はゴーレム兵器にしかないみたいだなぁ。


 ゴーレム兵器を渡してくれないフェンリルに対して不満がたらたらだ。


 それはさて置き、キャシーの話じゃフェンリルは戦えない状態だと。


 これは確かに一度会って見ないと状況が把握できないな。


 まぁ、元々フェンリルにマックス(子フェンリル)の事を聞きに行くために来たので、お目通しできるのは有りがたい。











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― 新着の感想 ―
[一言] 妊娠中かな。
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