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この石には意志がある!  作者: 一狼
第7章 勇者パーティー・激走編
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162.神獣の森

 今ジル達は神獣の森を歩いている。


 流石に森の中を馬車で走らせることは出来ないので、後方支援部隊の数人は神獣の森の近くの町で待機中だ。


 後方支援部隊で同行しているのは、戦闘要員としても活躍できる【くノ一】のクローディアだな。


 もう1つの理由として、以前ジルの為に神獣の森を調査したことがあると言うので、その為の道案内でもある。


 因みに、オブザーバーの名目で同行している爺さんだが、町に着くなり用事があると言って姿を消していた。


 観察者(オブザーバー)なのに、近くで見ていなくていいのかと言いたい。


 S級冒険者としての戦闘力も期待しているが、爺さんは戦闘に協力するつもりはないと言っているからなぁ。


 まぁ、そこはあまり期待はしていない。


 ともあれ、勇者パーティーは戦闘部隊+1で神獣の森のフェンリルを目指して歩いている。


 ……うん、パーティーメンバーをどうやって説得して第3戦闘区域の神獣の森を目指すのかと考えていたが、あっさりと許可が下りたのだ。


 アルベルト曰く、『姉さんが行きたいのならそこへ向かおう』と。


 何故かパーティーメンバーもアルベルトに同意し、神獣の森を目指すことになった。


 いいのかそれで。


 まぁ、細かい点を上げれば、フェンリルが仲間になるかもしれない、神獣の森の調査、第2戦闘区域に比べ魔王軍の進行が激しい第3戦闘区域の戦線の押し上げ、直進ルートよりも迂回する事で第4戦闘区域への侵入を隠密の行えることの期待などなど。


 上記の理由で、ジルのフェンリルに会いに行くと言う案が採用された訳だ。


「にしても、流石神獣の森と言うだけあるな。そこらから発せられるモンスターの気配は一筋縄じゃいかない化け物ばかりだな」


「うむ、森の空気がピリピリしているでござる」


 周囲へ警戒しながら森の雰囲気に弱冠呑まれているブラストールとヒビキ。


 パトリシアとゴダーダは完全に飲まれていて、森に入ってからは一言も発していない。


 クローディアは一度森に調査に来たことがあるからか、緊張はしているものの落ち着いていた。


 ファイは……よく分からん。


 エルフだからなのか、森の雰囲気に怯える事は無く、ただただ無表情で歩いている。


 で、我らが勇者アルベルトだが、緊張や怯えを上回っているのか、わくわくした表情で周囲を見渡していた。


 こう言うところは子供っぽいな。


 あれか? 憧れているヒーローやカッコいいモンスターに会えるかもとか言う気持ちなのか?


 実際、この神獣の森には神狼フェンリルの他に、神鹿グランホワイト、神狐ナインテイル、神象ガネーシャ、神蛇ウルボロスなど名だたる神獣が住んでいると言う。


 ……それなりの広さがある森とは言え、縄張りとか大丈夫なのか……?


 尤も、神鹿グランホワイトはこの森には居らず、大動脈山脈に居た訳だが。


「そうかなぁー? これくらい普通じゃないのー?」


 ジルの発言に、皆がギョッとして見てくる。


 皆がビビっている中で、大したことない発言をすればそりゃあ驚くわ。


 神獣の森に住まうモンスターはB級は当たり前、A級の遭遇頻度も高いと言われている。


 そして神獣に名を連ねないS級のモンスターも存在しているのではと言う噂もある。


 だがまぁ、ジルにとってはこの程度の雰囲気は当たり前だったからな。20年間の間。


 つまり、この森の雰囲気は迷宮大森林の最奥と同じ感じなのだ。


 20年間、日常的にB級A級モンスターと戦ってきたジルにとっては、この程度の雰囲気は脅威にもならないと言う事だ。


『お? お客さんのお見えだな。脅威度B、ブルダッシュビートル50匹と脅威度A、ギガブラストカブト1匹だな』


 【気配探知】と【魔力探知】、【索敵】等で周囲を警戒していると、近づいてくるモンスターが居たので【鑑定】を掛ける。


 ブルダッシュビートルはサッカーボール大のカブトムシだが、その角はダイヤモンド並みの硬度と鋭さを持っていて、突進で獲物を突き殺すモンスターだ。


 ギガブラストカブトはボスタイプで、テニスボールくらいの大きさだが、角から発せられる【雷魔法】はかなり強力で近づくのでさえ容易ではないモンスターだ。


 ジルがその事をパーティーメンバーに伝え、皆は直ぐに戦闘態勢に入った。


 緊張や怯えはしていても流石勇者パーティーだ。


 直ぐに気持ちを戦闘モードに切り替えて迫りくるモンスターを迎撃する。


 360度、全方向からの襲撃なので、パトリシアとファイを中心に、前後左右をアルベルト、ヒビキ、ブラストール、ジルで囲む。


 ゴダーダとクローディアは【隠密】を使い、周囲に潜んでからの奇襲や狙撃をしてもらう事に。


 ちょっとアルベルトが心配だが、まぁ周りにはフォローしてくれる仲間が居るから大丈夫だろう。


「【シールドブラスト】!」


「【飛燕斬】!」


「《アクセル》! 【バーニングスラッシュ】!」


 前衛組の3人はそれぞれのスキルでブルダッシュビートルを迎撃していく。


「【リジェネートヒール】!」


「【ヘルハウンドビット】」


 パトリシアは皆に持続性ヒールを掛け、ファイが【光魔法】の自動追尾魔法でダメージを与えていく


 流石に森の中で【火魔法】や大規模魔法は使えないので、威力は低めだが確実性を持つ魔法で攻撃しているみたいだな。


 影に潜んでいるゴダーダとクローディアも確実に虫モンスターを倒していく。


 え? ジルはどうしたかって?


 この程度のモンスターは何の脅威にもなりゃしないよ。


 ぼーちゃんやはーちゃんで確実に1匹1匹倒していてますよ。


 ボスのギガブラストカブトもやーちゃんの追尾と、直撃寸前の分身で蜂の巣状態にして1発KOだね。


 ほどなくして虫モンスターを全滅させ、一息つく。


 この戦闘で緊張が解けたのか、この後に襲い掛かってきたモンスターも問題なく退けて、ジル達は暫く森の中を進んで目的地のフェンリルが居る場所へと辿り着いた。












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[一言] いよいよマックスと再会かな。
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