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この石には意志がある!  作者: 一狼
第6章 勇者パーティー・集結編
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155.勇者パーティー:オブザーバー1

「モレッツァを勇者パーティーへの勧誘ッスか? 無理ッスよ。だってあいつ超が付くほどの方向音痴ッスから」


 魔王軍の襲撃を退け最前線の連合軍の砦に戻り、一息ついたところで今回の功労者でもあるS級冒険者『暴風』のモレッツァを勇者パーティーに入れれないかと、顔見知りであるゴダーダに相談を掛けたのだが、一蹴されてしまった。


 その理由が、方向音痴だからと。


 確かに、一緒に砦に戻ってきたはずなのに、いつの間にかモレッツァは居なくなっていた。


「小さい時は俺が探せるくらいの普通の方向音痴だったんスけど、大人になるにつれて段々拍車が掛かってきて、探すのが困難になったんスよ。今回の突然の乱入だって、本当ならモレッツァは東大陸で未開拓地区を探索しているはずが、何故か西大陸のここに来たんスよ? わけ分からないッスよね?」


「流石S級……迷子の仕方もハンパないな……」


 いや、そのS級はどうかと思うぞ、ブラストール。


「残念な事ですが、簡単に捕まらないのがS級冒険者なのです。冒険者ギルドでもS級冒険者を勇者パーティーに加入させようとコンタクトを取ろうとしたのですが、アルベルトさんの姉であるジルベールさんを除いて誰ともコンタクトが取れなかったそうです」


 S級だから独自性が強い奇特な者になったのか、独自性が強い奇特な者だからS級になったのか。


 まぁ、クローディアの言う通り、冒険者ギルドでもそれなりに連合軍に協力しようとしてくれたみたいだし、ジルがアルベルトの姉だと言うのは冒険者ギルドにとっても連合軍にとっても幸運と言えただろう。


 まぁ、その為、ジルとアルベルトはAlice神教教会にひどい目に遭わされたわけだが。


「それでは、モレッツァ様は仕方ないとして、ゴダーダ様は勇者パーティーに加入していただけるのでしょうか?」


「あー……まぁ、俺の隠していたスキルもバレちゃった見たいッスし、ここでまだぐずっていたらモレッツァにまたどやされるッスからね。いいッスよ。こんな俺で良ければ役に立てて欲しいッス」


 パトリシアの再度の勧誘に、漸くだがゴダーダが勇者パーティーに加入してくれることになった。


 まるで『暴風』のように突然現れて突然いなくなったモレッツァだったが、ゴダーダを勇者パーティーに加入してくれるように決意させてくれたのはグッジョブだな。


「ゴダーダはそれでいいのー? “平穏な生活”がモットーだったんじゃないのー?」


 おい、ジル。折角その気になってくれたのに、水を差すような事を言うんじゃありません。


「ま、一応は名目として、“平穏な生活”をする為に世界を脅かす魔王軍を倒すって事ッスね」


「そっかー。それじゃー、これからよろしくねー」


 どうやら今更パーティーを抜けるつもりはないみたいだな。良かった良かった。


「よし、これで勇者パーティーが勢揃いしたな。後は最前線に援軍が揃えば、いよいよ魔王の居る本拠地へ攻め込むことが出来るな」


 戦闘部隊7人、後方支援部隊6人。計13名による勇者パーティー終結だな。


「あれー? 1人足りないよー? オブザーバーの人が入るんじゃなかったっけー?」


 へ? あーっと……戦闘部隊が、勇者アルベルト、聖女パトリシア、神殿騎士ブラストール、侍ヒビキ、大魔導師ファイ、盗賊(狙撃手)ゴダーダ、S級冒険者ジルベールの7名。


 後方支援部隊が、御者ディーノ、商人クーガー、料理人フレイド、メイドリュキ、諜報員クローディアの5名……あれ!? 本当だ、1人足りない!?


「と言うか、オブザーバーって要るのか……?」


 アルベルトが今更ながら、オブザーバーの必要性を訴えかけてきた。


 まぁ、確かに勇者パーティーに観察者(オブザーバー)は意味があるのか、って言いたくはなるよな。


 戦闘に貢献する訳でもない、観察するだけって……それだったら助言者(アドバイザー)の方がまだ意味があるだろうに。


 (ジョブ)スキルが【占い師】とかだったら役に立ちそうだな。


「いや、アルベルト殿の言わんとすることも分かるでござるが、オブザーバーの加入は必須らしいでござるよ」


「オブザーバーなのに?」


「オブザーバーだかららしいでござるよ」


 ……意味が分からん。


「ヒビキはそのオブザーバーがどんな人なのか知っているのか?」


「拙者は総司令官殿からオブザーバーの加入を聞かされただけでござるから、詳細までは分からんでござるよ」


 フレイドが髭の無い顎をさすりながらヒビキに尋ねるが、そのヒビキも総司令官殿から聞かされただけで詳しくは知らないみたいだ。


「ここで俺達が問答しても始まらないから、そのオブザーバーさんが来るのを待って判断するしかないんじゃないか?」


「そうだな。ディーノの言う通り来てみてから判断するか。どのみち、この砦に援軍が揃うのを待たなきゃならない事だし」


 リーダーであるアルベルトの判断で、取り敢えずは待つことになった。


 援軍が揃うのは大体10日くらいだったっけ。


 金ぴか魔族の奇襲を含め、俺達が最前線の砦に来て5日ほどたったわけだが……


 ぼちぼち集まってきた連合軍の援軍と一緒にオブザーバーも来たわけだが、来たのはちょっと予想外過ぎる人物だった。












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― 新着の感想 ―
[気になる点] モレッツァとゴダーダはもしかしてチーズ? 観察者…その瞳は何を見る?
[一言] 知り合いか。
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