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この石には意志がある!  作者: 一狼
第6章 勇者パーティー・集結編
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154.勇者パーティー:盗賊?&諜報員6

 S級冒険者『暴風』のモレッツァの乱入と、ゴダーダの真の実力によりモンスター&ドラゴンの攻撃は押し返す兆しを見せた。


 指揮官を奇襲していた暗殺者(アサシン)――注目する暗殺者キュアリオスティ・アサシンはジルが抑えているから、連合軍がこれ以上急激な損耗は無くなったのが大きい。


「くっ、ヴォッカ! そのドラゴン共はどうにかならんのか!?」


「無理です! ただでさえドラゴンをテイムするのに時間が掛かる上に、この群れを率いているヘルドラゴンはテイムを受け付けません!」


 ジルを相手しながら金ぴか魔族はもう1人の魔族――ヴォッカにドラゴンがどうにかならないかと指示を出していた。


 おや? よく見れば、乱入してきたドラゴンは連合軍だけでなく、魔王軍のモンスターをも襲っているじゃないか。


「(きゅーちゃんー、これどうなってるのー?)」


『いや、俺も分からん。てっきり魔王軍の援軍かと思ったが……』


 そんな疑問を、何故かゴダーダが解明してくれた。


「モレッツァ、これあんたの仕業ッスよね?」


「えー、あたし知らないの。あたしはただ、この先の山脈で襲ってきたトカゲを叩きのめしただけなの!」


 あーと、この先の山脈って……確か静脈山脈と呼ばれてて、ドラゴンが巣くう山脈となってたはずだ。


 別名ドラゴン山脈。


 様々な種類のドラゴンが群れを成して巣を作っており、魔族ですらおいそれと手を出せない一種の聖域と化している。


 どうやらモレッツァはそこに手を出してドラゴンたちの怒りを買ったっぽい。


 あー、だからファイヤードラゴンと共に空から落ちてきた訳か。


「やっぱりモレッツァの所為じゃないッスか!」


 どうやら武力だけでなく、行動そのものも『暴風』らしいな。


 だが、今は図らずとも三つ巴の状態となり、魔王軍への牽制となっているから有りがたい。


「ドラゴン相手に無理をするなでござる! 上手く誘導してモンスターにけしかけるでござるよ!」


 ヒビキが連合軍の混成軍に指示をだし、なるべく損害を出さずに互いにぶつけ合わせていた。


「ドラゴンは無視しろ! お前らが狙うのは人間どもだ! ええいっ! 言う事を聞け!」


 対する魔王軍のヴォッカもヒビキと同様なモンスターに出すが、あまり知能が高くない上にテイムと言う強制的に従わせている反動がでて、思う様に動かせないでいた。


 こうなると結果は見えてきて、徐々に魔王軍のモンスターは数を減らし、連合軍側が有利になっていく。


 そうなれば、余ってくるドラゴンが厄介だが、何故かモレッツァが嬉々としてドラゴンの群れに突貫していき、血の旋風を巻き起こしながら蹴散らしていく。


「むぅ……! 貴様さえ邪魔さえしなければ……! 貴様のそのスキル、厄介な上この上ない」


「それはこっちのセリフだよー。ここまで私のお気に入りの皆の力が効かなかったのは初めてー」


 金ぴか魔族の【石法師】による【石化】と【石同化】はかなり厄介だ。


 同じ石であるジルのお気に入りの皆の攻撃は効かないとしても、そこは色々なやり方があるからまだ対応可能だと思っていた。


 例えば、はーちゃんの第2の能力“気刃”なら石じゃないから通じるかと思ったが、その気刃すら石化状態にするって何の冗談だよ。


 俺の魔法攻撃も【雷魔法】や【風魔法】と言った実態を持たない魔法なのに、何故か雷や風が石化して金ぴか魔族を素通りする始末。


 無論、金ぴか魔族の【路傍石】もジルには効かないから、向こうも隙を突いて連合軍の指揮官を奇襲する事も無いが。


「くっ、そろそろのはずなのだが……ユーディット殿は何をしている……!」


 む? 金ぴか魔族は何かを待っている……?


「残念ですが、ユーユーさんからの援軍は来ませんよ」


「なに?」


 クローディアの言葉に思わず聞き返す金ぴか魔族。


注目する暗殺者キュアリオスティ・アサシンを調べて来ると同時に、今回の襲撃の計画も調べさせていただきました。

 まず貴方がモンスター500匹を率いて連合軍を襲撃し、指揮官を減らした上でユーユーさん率いる追撃のモンスター500匹で私達を蹂躙するつもりだったのでしょう。

 残念ですが、その作戦はわたくしが破壊させていただきました」


 ちょ、注目する暗殺者キュアリオスティ・アサシンの正体を突き止めた上で、敵の作戦を瓦解させてきただと。


 どんだけ諜報員として優秀なんだよ、クローディアさんよ。


「馬鹿な、たかが人間如きが我が魔王軍の作戦を阻止しただと?」


「ええ、面白いくらいに偽情報に踊ってくれましたよ。魔王軍はそれほど情報戦には長けていないみたいですね?」


「ちっ」


 金ぴか魔族は注目する暗殺者キュアリオスティ・アサシンとして奇襲する以外で、初めて余裕の馬鹿笑いの表情が崩れ、苦々しい顔を見せる。


「ヴォッカ、ヴランディ、退くぞ」


「しかし、ヴィスキー様……」


「ユーディット殿の援軍が来ないとなれば、これ以上の戦闘は無意味だ。思わぬ闖入者も居る事だしな」


「……分かりました」


 金ぴか魔族含む3人の魔族は、作戦が失敗したと分かると残りのモンスターの総攻撃を仕掛け、その隙に見事に撤退した。


 勿論、俺やファイの魔法で、ゴダーダの狙撃で魔族3人を狙ったのだが、金ぴか魔族の【石法師】の前に無力化されてしまう。


 【石化】や【石同化】は自分だけでなく、離れている他人にもかけられるみたいだな。


 思ったよりも凄く厄介だぞ、あのスキル。


 まぁ、何はともあれ、間を置かずに仕掛けてきた魔王軍の襲撃は、モレッツァの乱入、ゴダーダのS級並みの実力、クローディアの情報力により何とか退ける事に成功した。












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― 新着の感想 ―
[一言] ドラゴンを怒らせて連れてくるSランクのモレッツァもおかしいし、ゴダーダの真の実力は6個持ちという規格外。 クロさん優秀すぎ。 黄金さんをどう殺るか。
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