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この石には意志がある!  作者: 一狼
第6章 勇者パーティー・集結編
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152.勇者パーティー:盗賊?&諜報員4

「おっ、見事な射刀術だな、ゴダーダ殿」


「あ、いや、たまたまッス。たまたまッスよ」


「ほれ、武器が無くなっただろ。こいつを使え」


 そう言って、ゴダーダを褒めたブラストールは予備に持っていたショートソードをゴダーダへと渡す。


 一時的にゴダーダを勇者パーティーに組み込んで、最前線に攻め込んできた魔王軍と戦っている訳だが、やはりと言うか、イマイチ戦力にはなってないゴダーダだった。


 但し、今のヒビキを助けた剣を飛ばしてアサシンシャドウを倒した射刀術は見事なものだったが。


 たまたま、ねぇ……


 まぁ、咄嗟のこととは言え、“平穏な生活”を望むゴダーダが目立つ真似をしてまで助けたのは“つい思わず”と言ったところなんだろうな。


 ゴダーダの思惑はともあれ、今は魔王軍に潜む指揮官を狙う暗殺者(アサシン)の方だ。


 暗殺者(アサシン)と思われていたアサシンシャドウを要所要所で倒しているのだが、指揮官が奇襲されるのは防げていない。


 何故だ?


「ああ! アルファ!」


 ミューの声のした方を見てみれば、混成軍として迎撃に参加していたアルファパーティーのリーダーであるアルファが倒されている所だった。


 マズイ、心臓を一突きされている。


『ジル!』


「(うんー!)」


 ジルはふーちゃんでアルファの下へ飛び、俺は直ぐにアルファの傷を癒す。


『【アンリミテッドヒール】!』


 一瞬で心臓の傷が癒され、何とか一命を取り留めるアルファ。


「アサシンシャドウはー?」


「奇襲してきたアサシンシャドウは倒したけど、気が付いたらアルファが刺されていたんだ」


 ジルの問いにガンマが忌々しげに答える。


 やっぱり、アルファが倒された原因はアサシンシャドウじゃないみたいだな。


「(ねー、何で誰も気が付かないのー? 指揮官を奇襲しているのって、あの金ぴかの魔族だよねー?)」


……は?


『おう、何で誰も気が付かないんだ? あれだけ目立ちまくっているのに』


『そうよ! アサシンシャドウの奇襲の隙を突いて、あの金ぴか魔族が襲っているのに!』


『HeyHey! KINPIKAをthroughしすぎじゃNe?』


 いやいや、ちょっと待て! ジルもお前らも見えているのか!?


「あー! アル君危ないー!!」


 ジルがふーちゃんに乗って、アルベルトの前へと飛び出す。


 アルベルトは背後からのアサシンシャドウの奇襲を防いで、前方への注意がおろそかになっていたところだった。


 キンッ!


 ジルがぼーちゃんで防いだのは、皆の言う通り金ぴか魔族の剣だった。


 ただ、今ジルの目の前に居る金ぴか魔族は、先ほどまでのウザく目立つ金色とは違い、同じ金色でありながら冷たく昏い金色で、金ぴか魔族の表情も昏く冷めた表情をしていた。


 だが、その金ぴか魔族は幻だったかのように、気が付けばジルの前から居なくなっていた。


 そこに居た事が何かの見間違いであるかのように。


 気が付けば、金ぴか魔族は今までと変わらず離れた場所で相変わらず金ぴかのままで己の存在を主張していた。


「あーはっはっはっ! さぁ! 皆の者、我が魔王軍の恐ろしさを人間どもに教えてやれ! ……む? ほぅ、我に奇襲とは、人間にしてはやるな」


 そう言う金ぴか魔族の腹から刀が突き出ていた。


 但し、何故か刀は石化しており、金ぴか魔族の刺された腹も石化状態になっていたが。


 そして背後から金ぴか魔族を刺していたのは魔王軍の暗殺者(アサシン)の情報を探っていたクローディアだった。


 クローディアは奇襲が失敗すると、石化した刀を手放して直ぐにその場を離れてアルベルト達の居る元へと移動する。


「流石ジルベールさんです。魔王軍の暗殺者(アサシン)が彼だと言う事に気が付いたんですね」


 クローディアの言葉に、アルベルト達は一様に驚いていた。


 当然皆は戦場を注意して見ている訳だが、あの目立つ金ぴか魔族を見ていなかった訳ではない。


 それにもかかわらず、クローディアは奴が暗殺者(アサシン)の犯人だと言う。


「うんー。でもなぜか皆は気が付いていないみたいだけどー」


「それは、彼のスキルの所為ですね。彼の持つ(ジョブ)スキルは【石法師】。その中のスキルの【路傍石】が皆様の目から逃れていたのです」


 何だと!?


 俺は慌てて金ぴか魔族を【鑑定】に掛ける。




 名前:ヴィスキー・アルダーコール

 種族:魔族

 状態:冷静

 スキル:石法師Lv88

 二つ名:注目する暗殺者キュアリオスティ・アサシン

 備考:アルダーコール王家8男




 確かに、クローディアの言う通り、コイツが連合軍の指揮官を奇襲しまくっていた暗殺者(アサシン)だ。


 と言うか、【石法師】ってなんだ、このスキルは。


 クローディアの言う通り、ある意味チートなスキルだぞ、これ。


「彼の二つ名は注目する暗殺者キュアリオスティ・アサシン。ああやって注目を集めて気を引き、アサシンシャドウで奇襲をかけ、更にその裏をかいて意識の隙を付き、自らが暗殺者(アサシン)として奇襲を仕掛けていた張本人です」


 ああ、なるほど。


 ああやって金ぴかで目立つ真似をして注意を引くと同時に、まさかあの目立つ姿で暗殺するとはだれも思わないわな。


 しかもスキル【路傍石】は、その辺にある石ころと同じように意識しなくなると言うとんでもスキルだ。


 言ってみれば、ドラ○もんの石ころ帽子だ。


 あれは、漫画では消えているように見えるが、実際は目に映っているが、意識してないから見えていないのと同じなのでそのように表現していると。


 ジルとお気に入りの皆が見えている訳が分かった。


 お気に入りの皆は、元々石だからその辺に落ちている石も意識できるから【路傍石】の影響は受けない。


 ジルは【ストーンコレクター】の効果もあるし、元々石が好きだから金ぴか魔族が見えていた訳だ。


 言ってみれば、ジルの【ストーンコレクター】は【石法師】にしてみれば天敵になる。


 では、何故俺には見えなかったかと言えば、多分だが、俺は石に宿った転生者(人間)だからだろう。


 まさか、こんなところで転生者だと言うのが枷になるとはな。


「じゃあ、私があの金ぴか魔族を抑えておくねー。私には【路傍石】のスキルが効かないみたいだからー」


「ああ、頼む、姉さん。その間俺達は魔王軍を退ける!」


 ジルが抜ける穴をクローディアに任せ、ジルは今まさに指揮官へき集を掛けようとした金ぴか魔族へとはーちゃんで斬りつける。


「うぉ!? 急に現れたと思ったら、過激なアプローチだな、マドモアゼル! だがしかーし! 我には攻撃は効かない! 何故なら! 我は石頭だからだ! わーはっはっはっ! あれ? 違ったか? 石頭じゃないな、頑固者? 石の上にも三年? うむ、石のように鉄壁だからだ!」


 う、うぜぇ……!


 だがそうやって注意を引いておいて、意識の裏を突いているんだな。


 一瞬で、金ぴか魔族の前に現れはーちゃんを振るったジルだが……何故かはーちゃんによる一撃は金ぴか魔族を素通りしてしまう。


「はーはっはっはっ! 我の【石同化】の前には何人たりとも我を傷つける事は適わない!」


 そうか、さっきのクローディアの奇襲もこれで躱したのか。


 金ぴか魔族に接触した瞬間に武器を【石化】し、【石同化】で素通りさせる。


 これじゃあ、素材が石であるお気に入りの皆の攻撃も効かない。


 【石法師】は【ストーンコレクター】にとって天敵だが、【ストーンコレクター】にとっても【石法師】は天敵じゃないか。


 いや、でもここで金ぴか魔族を抑えておくのは戦術的にも意味がある事だ。


『ジル! こいつをこの場に抑えておくぞ!』


「(うんー!)」


 あくまで攻撃が効かないのは物理による攻撃だ。


 やりようは幾らでもある。


 魔王軍の暗殺者(アサシン)が判明し、なんとか状況を盛り返してきたところに2つの乱入者が現れる。


 1つは、魔王軍側の援軍。


 地獄竜ヘルドラゴンを筆頭に、闇黒龍ダークネスドラゴン、閃光竜フラッシュドラゴン、

風竜ウインドドラゴンの群れ、火竜ファイヤードラゴンの群れなど竜軍団だ。


「お、おい、何だよあの竜の群れは。ヤバいんじゃないのか?」


「しかもヘルドラゴンが居るじゃないか! 危険度Sの!」


 突然現れた竜軍団に、連合軍に動揺が走る。


 そして2つ目の乱入者は……


 そのファイヤードラゴンの1匹を叩き落とし、上空から舞い降りた。


「あたし、惨状なの! なんか面白そうな事やってるなの! あたしも混ぜてなの! って、あれ? ゴー君発見なの!」


 舞い降りたのは小柄なハーフエルフだった。


 そしてそのハーフエルフはゴダーダを見るなり嬉しそうに駆け寄る。


 当のゴダーダは何故か悲鳴を上げていた。


「ちょっ! モレッツァ!? 何でこんなところに居るッスか!?」


 ……あれ? モレッツァ? 俺の記憶が確かなら、S級冒険者『暴風』のモレッツァじゃ?











きゅーちゃん:惨状は間違いではない。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 目立って注目を集める戦法…セクシーコマンドーかな? ninjaかな? [気になる点] 黄金の石の塊でできたninjaとかもう忍✖️ブロでは? [一言] 石コロ的に話しが合いそうだけど微妙に…
[一言] ゴダーダにとって惨状な
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