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この石には意志がある!  作者: 一狼
第6章 勇者パーティー・集結編
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150.勇者パーティー:盗賊?&諜報員2

「俺のモットーは“命大事に”で、座右の銘が“可もなく不可もなく”ッス。まぁ、所謂“平凡な生活”を送りたいって事ッス」


 ゴダーダはこのままじゃ埒が明かなと、勇者パーティーに参加したくない理由を述べた。


 まぁ、確かにその理由だと、アルベルト達に付いてくることになれば危険が増えるからな。拒否したくなるのも頷ける。


 だが断る!


 【鑑定】で見たこいつのスキルはアルベルト達には有用すぎる。ここで逃すのが惜しい。


「ですが、勇者パーティーに加入したって実績があれば、この後冒険者ギルドでも優遇されるのではないですか?」


「そんな名声要らないッス。俺言ったッスよね? “平凡な生活”を送りたいって。有名になったら周りがウザいッス」


 リュキの言葉にはっきりと断るゴダーダ。


 おおぅ、勇者パーティーの名誉がウザいって……筋金入りだな。


「本人がこう言っているからには、無理をしてパーティーに加入させる必要は無いんじゃないのか? ワシとしては無理して入れても実力を発揮できるとは思えんが」


「ど、どちらかと言うと、彼には後方支援に回ってもらった方がいいかも。ほら、盗賊だからその手の支援とか得意そうじゃない?」


「まぁ、アルベルト達も危険だって言ってるからいいんじゃないか? 自発的に来た俺らとは違って、ゴダーダは冒険者ギルドからの強制みたいなもんだし」


 後方支援組は基本どちらでもいいみたいだが、どちらかと言うとアルベルト達同様に無理して入れる必要は無いと言う意見だな。


「(きゅーちゃんー、どうするー?)」


『いや、誰が何と言おうとゴダーダはメンバーに加入させる。と言うか、現パーティーに無い必要な物を持っているからな』


「(必要なものー?)」


 一見、戦闘部隊には接近戦、遠距離火力、回復役とバランスよく揃っているように見えるが、ある1点がこのパーティーには欠けている。


 あ、斥候や罠感知等のスカウト能力と言う意味でもゴダーダの加入は必須だけど。


『とは言え、ゴダーダはそれを隠してるっぽいからなぁ……ここで無理やり暴くのもどうかと思うし。うーん、しょうがない、次善策だ。この砦の援軍が揃うまでの間、パーティーに居てもらおう。その間に説得しよう』


「(うわー、随分消極的な次善策だねー)」


 ほっとけ。あまりいい案が浮かばなかったんだよ。


 フレイドの言う通り、無理やり加入させても実力を発揮してくれなさそうだし、嫌々闘って死なれたら困るしな。


 と言う訳で、ジルに援軍が来るまでの間だけ居てもらう事を説明してもらい、何とか暫くの間――10日ほど居てもらう事になった。


 そうと決まると、僅か10日ほどのこととは言え、戦闘訓練はしておいた方がいいだろうと、ブラストールとヒビキがゴダーダを無理やり練兵場へと連れて行く。


 勇者パーティーに加入しなくても、冒険者として生きていくなら戦闘能力があった方がいいのは間違いではないので、ここでの訓練は決して無駄ではない。


 無駄ではないのだが……連れて行かれたゴダーダは泣きそうな顔をしていたのは俺の所為じゃない、と言いたい。


 ゴダーダが来てから2日ほどたったが、その間にもちらほらと援軍が集まり始めていた。


 勇者パーティーが連合軍第7軍に所属しているように、連合軍は全部で第1軍から第7軍まで存在する。


 第1軍は、各国からの騎士や精鋭を集めた、通称正規軍と呼ばれている。


 正攻法な戦略戦術を取り、正面から戦うのが主な部隊だ。


 第2軍は、冒険者や平民などの義勇兵による集まりで、通称義勇軍と呼ばれている。


 奇襲や地形戦、ゲリラなど正規軍が手が届かない作戦を行使する、応用性の高い部隊となっている。


 第3軍は、エルフやドワーフと言った亜人や獣人たちが集まった、通称特兵軍と呼ばれている。


 この部隊は種族による身体能力の高さや特殊技能を生かした作戦を行使する部隊だ。


 第4軍は、魔法を軸とした作戦を行使する為に魔法使いが主な、通称魔法軍と呼ばれている。


 どちらかと言うと、高い火力での広範囲殲滅戦を行うための部隊だ。勿論全員が魔法使いだけじゃなく、それを護る戦士たちも居る。


 第5軍は、兵站や運搬を主とした縁の下の部隊、通称支援軍と呼ばれている。


 ジル達が途中であった、聖剣を運んでいた部隊だな。


 第6軍は、今の所明かされていない謎の部隊だ。通称不明軍。


 俺の予想としては、暗殺とか影からの護衛とかの隠密的な部隊じゃないかと思う。だから詳細を明かしていないのだろうと。


 第7軍は、勇者パーティーだから詳細はいらないだろう。通称勇者軍。まんまだな。


 最前線であるこの砦には、主に正規軍が詰めていたのだが、この間のユーユーの奇襲により500人まで減らされた訳だ。


 連合軍の中で正規軍が大半を占めているから、援軍も第2・第3戦闘区域から正規軍が派遣されてきている訳だが、義勇軍や亜獣軍なども集まって来ていた。


 今まで最前線に正規軍しか居なかったのも考えてみれば可笑しかったりするんだよな。


 確かに主戦力であり連合軍の大半を占める人数である正規軍が最前線に配置されるのは分かるが、正規軍だけで魔王軍に対処しようとしているのも無理がある話だ。


 現に、魔王軍からの奇襲で壊滅状態まで追い込まれた訳だし。


 おそらくだが、連合軍の中でも派閥やら何やらあるんだろうな。Alice神教教会みたいな。


 そう言った輩が最前線に正規軍しか配備しなかったとか。


 あーやだやだ。人類の命運を掛けた戦いでも人類って足を引っ張り合っててさ。


 Alice神教教会の後ろ盾があるとは言え、勇者軍の立ち位置をしっかり把握しておいた方がいいな。


 魔王討伐後に勇者は平和時には不必要だと暗殺される可能性もあるしな。よくあるWeb小説みたいに。


 っと、話が逸れたな。


 援軍がちらほら集まり始めたのだが、その中に知った顔が居たのだ。


 ジルにとっては懐かしい、そしてファルト村を出て初めて会った冒険者たちだ。












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