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この石には意志がある!  作者: 一狼
第6章 勇者パーティー・集結編
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146.勇者パーティー:侍&大魔道士4

 魔王四天王・覇道のユーユーは一見すると何処にでもいる普通の人に見える。


 175cmほどの身長に痩せ過ぎず太過ぎず程よく鍛え上げられた体躯、茶色の短髪に引き締まった顔つきをしているものの、特徴のない整った顔立ちをしていた。


 だが、発せられる雰囲気、佇まいなどの気配(オーラ)が普通じゃないと物語っている。


 こうして対峙しているだけでも畏怖を感じるし、或いは敵でありながら崇拝の念を抱くほどの強敵だと言うのを感じる。


 因みに、砦からここまで乗ってきた馬はユーユーの目前で降りて逃がしている。


 馬の機動力を用いた攻撃は戦争では基本だが、ユーユーの前ではその気配(オーラ)に馬が怯えてしまうからだ。


「覇道のユーユー、お主にまんまと一杯喰わされたでござるよ!」


「ああ、Youたちが我々の砦を落として戦線を押し上げようとしていたのが分かってましたからね。敢えてYouたちの策に乗って油断を誘わせてもらいましたよ」


「……砦はどうやって?」


「それを教えるとでも?」


 まぁ、そりゃあ敵に手の内を明かす訳ないよな。


 そんな事をするのはほぼ勝負が決まった時とか、余程の調子に乗ったバカくらいのものだ。


 ヒビキとファイがユーユーに対峙している間に俺は戦況を確認する。


 【マップ】【気配探知】【魔力探知】【索敵】等で見たところ、魔族は10人、モンスターが300匹と大規模ではないが、決して少ない数とも言えない。


 モンスターもピンきりで、竜種の大型もいれば、鼠サイズの小型のモンスターもいた。


 だが、小型だからと言って侮ってはいけないモンスターでもあったりする。


 それに対し、こちらの連合軍は既に大半が倒されており、残された兵の数は300人とモンスターと同等数ではあるが、元の配置された人数に比べるとほぼ壊滅状態で、撤退するべき状況になっていた。


「そちらの子供のYouが勇者だね。初めましてと言っておきましょうか。私はユーグリッド・ユーディット。魔王軍四天王の1人、覇道のユーユーです。以後お見知りおきを」


 ユーユーはヒビキの隣に控えていたアルベルトを見ては泰然とした態度で挨拶をしてきた。


「勇者アルベルトだ。悪いがこれ以上は進ませねぇよ」


「おや? ここから逆転できるとでも?」


「普通なら無理だろうな。俺が勇者だとしても。だが、世の中には規格外と言うものが存在するんだよ」


 そう言いながらアルベルトはにやりと笑ってチラリとジルを見る。


 ああ、うん。確かに理不尽と言う規格外が居るよな。目の前に。


「面白いですね。ならば、ここからどう戦うのか見せてもらいましょうか」


 そう言ってユーユーはバスターソードを構えてアルベルトに目標を定める。


 さて、アルベルトがユーユーを挑発して引き付けてくれている間に周辺の魔王軍を何とかしないとな。


『よし、アルベルトとヒビキとパトリシアでユーユーを抑えて、その間にジルはファイと組んで周辺のモンスターを一掃していこう』


「(ブラストールはー?)」


『ブラストールには生き残った連合軍の兵に撤退の指揮してもらう』


 今優先すべきことは、生き残りの連合軍を取り纏めて無事に撤退する事だ。ユーユーを敢えて倒す必要は無い。


 よって、一番ユーユーと戦闘経験があるヒビキと勇者であるアルベルトがユーユーを抑えてもらう。


 パトリシアは聖女として2人が死なない様に徹底的に援護に徹してもらい、ファイには大魔導師としての火力でモンスターを広範囲殲滅をしてもらう。


 ジルはファイをモンスターから守りつつ魔族の相手をしてもらうつもりだ。


「アル君ー、ヒビキとパトリシアでユーユーを相手していてー。私達はその間に周囲のモンスターを倒すからー。ブラストールは連合軍の兵士さんをお願いー」


 アルベルトはジルの指示に頷いて、流聖剣アクセレーターを構えユーユーに向かって行く。


 ヒビキも刀を抜いてアルベルトと並走しながらユーユーに向かう。


「ファイは後の事を考えずに思いっきり魔法をぶちかましてー」


「……分かった」


「俺っちは連合軍の取り纏めだな」


 この中で軍隊として経験が高いのはブラストールだからな。


 ブラストールには悪いが、ここは裏方に徹してもらおう。


「ほぅ、ユーユー様を抑えておけば何とかなるとでも? 随分と舐められたものだな」


 そう言ってこちらに向かってくるのは双剣を携えた額に2本の角を生やした魔族だ。


 だが、そんな魔族を無視して、ファイはジルの言う通り気にせずに呪文を唱え、ブラストールも一目散にバラバラに散っている連合軍へと向かって行く。


「はいー、邪魔ー」


『Yeahー! FullThrottleだZe!』


 第2の能力の追尾と第3の能力の分身で、やーちゃんが双剣魔族に雨の様に降り注ぎ、魔族はなす術も無くあっさりと穴だらけになって息絶えた。


「【レイブラスト・エクスプロージョン】!」


 ジルが魔族の相手にしている間、呪文を唱え終わったファイが魔法を放つ。


 幾つもの赤い光がファイから放たれ、着弾と同時に大爆発を起こす。


 おお、見たことの無い魔法だ。


 【解析】によれば、【光魔法】の【レイブラスト】と【火魔法】の【エクスプロージョン】を融合させたファイオリジナルの魔法みたいだ。


「【タイタルウエイブ・トルネード】!」


 続けて放つ魔法も【水魔法】と【風魔法】の融合魔法で、巨大な5つの水の竜巻が周辺の魔物を巻き込んで炸裂する。


 流石、大魔導師だな。


 こう言った広範囲殲滅はお手の物だ。


 っと、こっちも負けてられないな。


「ぼーちゃんー! めーちゃんー! やーちゃんー!」


『【ライトニング】! 【リアクターブラスト】! 【ロックブラスト】!』


 ぼーちゃんを50mも伸ばし、衝撃付きの薙ぎ払いを放つ。


 めーちゃんは大きな円を描きつつ、第3の能力で透明になりながら不可視の攻撃で、軌道上のモンスターを刈っていく。


 やーちゃんはさっきの魔族に放ったものとは比べ物にならない分身を生み出し、四方八方に飛び散りモンスターを貫通していく。


 うーん、ファイと比べたら広範囲とは言えないが、それでもジルの殲滅力もファイには負けていないな。


 まぁ、その分俺が魔法で援護しているから無問題(モーマンタイ)


 こっちは問題ないな。


 モンスターを殲滅しようとすれば時間が掛かるだろうが、こっちは連合軍が撤退するまで時間を稼げればそれでいいからな。


 こっちはそれでいいとして、アルベルト達の方は大丈夫か?


 時折、ファイの殲滅網を抜けてきたモンスターを排除しながらユーユーと戦っているアルベルト達の方を見る。












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― 新着の感想 ―
[気になる点] 鼠サイズの小型のモンスターもいた。 ハムスターなら侮れないな…(特に裏ダンジョンで見かける奴)
[一言] やけにあっさりすぎる、影に10倍位敵がいそう。
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