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この石には意志がある!  作者: 一狼
第6章 勇者パーティー・集結編
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143.勇者パーティー:侍&大魔道士1

「そう言えば、仲間と言えば本部で合流する予定だったな」


「ああ、戦闘部隊に3名、後方支援部隊に1名が加わるって聞いている」


 総司令官殿の言葉にアルベルトが答える。


 因みに、後方支援部隊でもある先行して情報を集めていた勇者パーティーの情報屋のクローディアも本部で合流の予定だ。


 現れないところを見ると、まだ本部には来ていないのかな?


「報告では昨日、魔王軍を押し返して状態をこちらの有利になるようにしたから、戦線から引き揚げて本部に帰投中との事だ」


「連合軍最強の兵が抜けるのは痛いですが、勇者様が魔王を倒す為には最高の布陣が必要になりますから。尤も、勇者様には兵士たちの士気を高めるために暫くの間は最前線で戦う事を願います」


 まぁ、ジャン参謀の言う通り、いきなり今まで連合軍を引っ張ってきた最強の兵を引き抜かれたら戦線が崩れてしまうからな。


 勇者と聖女が最前線で戦えば兵士の士気も高まるだろうし、その辺はアルベルトも理解している。


「そう言えば、最前線には魔王四天王の1人、覇道のユーユーが居るって聞いたけどー」


「うむ、魔王軍の最強の一角が最前戦にて我が連合軍を押している。何とか抑え込んでいる現状だが、何時戦線が崩れても可笑しくない状況でもある」


「そんな中で最強の兵士さんを引っ込めて大丈夫なのー?」


「ふふ、さっきも申したように昨日の段階では魔王軍を押し返して有利な状況を敷いておる。勇者殿が最前線に向かうまでの数日は持つであろう。連合軍の兵はそれほど柔ではない」


 ジルの心配を余所に、総司令官殿ははっきりと大丈夫だと言ってくれた。


 確かに、兵士1人が欠けたくらいで崩れる様な軍隊なら初めから勝負は見えているからな。


「失礼するでござる。第1軍、カイザ部隊所属ヒビキ・クレナイ出頭したでござる」


「……ファイ、来た」


 新たな仲間の事に巡らせていると、指令室に誰かが来たようだった。


「おお、噂をすれば、だな。彼女らが勇者殿の新たな仲間だ。うむ、入りたまえ」


 おお、正に噂をすればだな。


 って、彼女って、最強の兵士って女なのか? と言うか、2人?


 総司令官どのが入出を許可すると、入って来たのは侍の格好をした少女と、魔導師の格好をしたエルフだった。


 侍の格好をした少女は、真っ黒な髪をポニーテールに纏め、緋袴に赤い色のダンダラ羽織を纏った10代後半の少女だ。


 腰には大太刀を佩いている。


 パッと見は赤色の新選組だな。


 と言うか、ござる少女とはまた変わった個性だな。


 もう1人のエルフの少女は、これまた王道の魔導師と言うより、魔女の格好をしたと言った方がいいだろう。


 真っ黒のとんがり帽子からこぼれる金色の髪。


 そして金色の髪から覗くエルフの特徴である尖がった耳。


 纏う衣装も真っ黒のドレスに先端中央に赤い宝石をはめ込んだ身の丈あるほどの樫の杖。


 そんでもって、こっちは無口キャラか。


「待っていたぞ、ヒビキ、ファイ。お主たちの活躍で戦線は暫く維持できよう。よくやってくれた」


「拙者は与えられた命令を執行したまででござる」


「……命令だから」


「ふっ、だからお主らは頼もしいのだよ。魔王軍相手に命令を実行できるのはな」


『ああ、確かにこのござるねーちゃんは間違いなく強いな。少なくとも剣術としての腕じゃお嬢よりも上だぜ』


『うむ、強いな、ファイと言うエルフ少女の方も。桁違いな膨大な魔力だ、彼女の身の内に秘めているのは』


 へぇ、はーちゃんが他人をほめるのは珍しいな。しかもジルよりも上だと認めるのも。


 えんちゃんは魔法に関しては対処法がピカイチだけに、ファイの持つ魔力を判断できたのだろう。


「さて、無理をして戦線を押し上げて維持するようにしたのは、話には聞いてると思うが、お主たちを勇者であるアルベルト殿たちと合流する為だ。彼が勇者アルベルトだ」


 そう言って、総司令官殿はアルベルトを2人に紹介する。


「おお、そなたがアルベルト殿でござるか。拙者は【侍】の(ジョブ)スキルを持つヒビキ・クレナイでござる。アルベルト殿と共に戦うのを待ちわびていたでござるよ」


「……待ってた。ファイ、【大魔導師】スキル持ち」


「ああ、よろしく頼む。連合軍最強と謳われているらしいじゃねぇか。期待しているぜ」


 ヒビキとファイにそれぞれ差し出された手を握手して応える。


「それで、こっちは俺の姉さんのジルベール、Alice神教教会からパトリシアとブラストールだ」


「ジルベールだよー。よろしくねー」


「パトリシアです」


「ブラストールだ。よろしく頼む」


「最年少のS級冒険者・『幻』のジルベール殿に、聖女パトリシア殿。神殿騎士の酒呑童子ブラストール殿でござるな。拙者の方こそよろしく頼むでござるよ」


「……頼りになる仲間」


 ほぅ、流石に自分の仲間になるメンバーの情報は持っているか。


 ジルのS級冒険者なのは結構知られていると思うが、パトリシアが聖女だと言うのはまだそれほど広まっていない筈だ。


 それに、ブラストールの二つ名まで知っていると言うのがかなり調べたのだろう。


 って、ブラストールの二つ名って酒呑童子なのか!?


 確かに暇さえあれば酒ばかり呑んでいるから、相応しいっちゃ相応しいんだが……


「ヒビキ・クレナイとファイは勇者パーティーに加わることにより、本日付で第1軍から勇者のみで構成される第7軍に移籍する事となる」


「はっ、ヒビキ・クレナイ、辞令を受領したでござる」


「……分かった」


 ジャン参謀の辞令により、正式にヒビキとファイは勇者パーティーの一員となった。












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