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この石には意志がある!  作者: 一狼
第6章 勇者パーティー・集結編
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138.紅蓮のルールー

「まずは挨拶代りよ! 【メガフレア】!」


 ルーシー・ルージュ――ルールーがいきなり【火魔法】の上級魔法を放つ。


 【メガフレア】の大火炎は一気にジル達や軍の兵士、そして仲間であるボルカニックフロッグをも巻き込んだ。


 ボルカニックフロッグは火属性だけでなく、火炎に対する抵抗がほぼ無効になるほど高いから巻き込んでもダメージは無いって事か。


 そしてそれ程火耐性が無い、スケルトン組や熊組はちゃっかり避難していたりする。


「あははっ! どう? あたしの【メガフレア】は。まさかこれでやられちゃったりしないわよね~?」


「クケケ。あ、姐さんの魔法を食らって無事なわけ、無いだろう。ゆ、勇者と言っても所詮は子供……」


「俺としては歯ごたえがある方がいいな! まぁ、お嬢の魔法はハンパないから全くの無傷とはいかないだろうが」


 先制攻撃をかましたルールーはかなりご機嫌だ。


 それに追随するように、白衣の魔族はアルベルトが子供だと言う事に侮り、赤髪の筋肉魔族はさり気なくルールーが凄いと褒め称えていた。


 まぁ、確かにルールーの【メガフレア】は通常よりも威力が高めだったな。


 だが、この程度の魔法、ジルに通じる訳ないじゃんか。


 ジルは【メガフレア】を放たれた瞬間、軍の兵士を中心にへきちゃんを出し、第3の能力の真円壁を展開させていた。


 真円壁は、まぁ所謂バリアだ。


 防御力はへきちゃんの金剛石(ダイヤモンド)の体(?)よりも無いが、それでも大半の攻撃は防いでくれる。


「ぼーちゃんー!」


 【メガフレア】の炎がへきちゃんの真円壁を舐めて視界が防がれた瞬間、ジルはぼーちゃんの伸縮突きで敵の頭であるルールーを攻撃する。


「――っ!?」


 だが、なんとルールーはぼーちゃんの伸縮突きを咄嗟に腕をクロスして防いだ。


『む? 硬いですね。それなりにダメージを与える事が出来たと思ってましたが』


『おおっ? 魔王四天王は伊達じゃないか?』


 手加減していたとは言え、ぼーちゃんはそれなりに威力を込めて伸縮突きを放っていた。


 それが防がれたとは言え、思ったよりもダメージを与えていなかったことに感嘆する。


 まぁ、それは向こうも同じようで、不意打ちの【メガフレア】が防がれた事に不機嫌な表情に変わっていた。


「へぇ……流石にこれくらいは防ぐわよね。でも全くのノーダメージなのは心外だわ。あたしの魔法がその程度だって思われちゃうじゃない」


「あー、ゴメンな? その程度の魔法は俺達にとってはそよ風にもならねぇわ」


 おー、煽る煽る。


 アルベルトも言うようになったなぁ。


 ルールーはこめかみに青筋を立てて、怒りを顕わにする。


 うーん、意外と沸点低いな。それともフリか?


「デッド、エンド、遠慮はいらないわ。徹底的にやっちゃいなさい」


「クケケ、い、言われなくても。あ、姐さんを馬鹿にするやつは、し、死ねばいいんだ」


「お嬢には悪いが、俺としてはちょっとは面白くなったかな? がはは、俺の全力を受け止めて見ろ!」




 名前:デッド

 種族:魔族

 状態:情緒不安定

 スキル:ネクロマンサーLv45

 備考:魔王紅蓮軍第3位




 名前:エンド

 種族:魔族

 状態:歓喜

 スキル:テイマーLv63

 備考:魔王紅蓮軍第2位




 【鑑定】を掛けてみると、白衣の魔族――デッドはネクロマンサーで、赤髪の筋肉魔族――エンドはテイマーだった。


 デッドはまぁ、分かる。


 だけど、エンドがあの筋肉でテイマーなのはなんか間違ってないか?


 デッドはスケルトン組を指揮し、エンドは熊組を指揮する。


「ブラストールとパトリシアはスケルトンとあの白衣の魔族を頼む。俺は熊公とあの筋肉を何とかする。姉さんはあの女魔族相手をしてくれ」


 スケルトンに有効な攻撃手段を持つ聖騎士と聖女を当てるのは当然として、熊組を相手にアルベルトが1人で立ち向かうとは、随分とやる気になってるじゃないか。


「アル君、大丈夫ー?」


「ああ、何時までも姉さんに頼ってばかりじゃいられ無からな。こっちが片付き次第、敵の女魔族も俺が相手するからそれまで抑えてくれ」


『全部ジルが片付けたんじゃ、アルベルト達は成長しないぞ。少しは信頼して任せて見なよ』


 なまじジルは強すぎる為、ほぼ1人で対応する事が出来る。


 それじゃあ、何時まで立ってもジル頼りだからな。


 アルベルトもそれも分かっていて、ジルにルールーを抑えてくれ(・・・・・)と頼んだのだ。


「あんた達には悪いが、そのままカエルを頼む。魔族3人は俺達に任せて欲しい」


「はっ! 分かりました勇者様!」


 ボルカニックフロッグは、最初のジルのめーちゃんの援護で5匹中2匹を仕留めている。


 残り3匹だが、1匹はめーちゃんの攻撃で大ダメージを負っており、2匹と半死の1匹くらいは軍の兵士でもなんとかなるだろう。


 ブラストールは大盾を構えスケルトンジェネラルに向かって行き、その後ろでパトリシアが【聖魔法】の呪文を放つ準備を始める。


 当然リッチも黙って見ている訳ではなく、【闇魔法】にてブラストール達に攻撃を仕掛ける。


 デッドは更なるアンデットを召喚するつもりか?


 奴の足下に3つほどの召喚魔法陣が現れていた。


 一方、熊公相手に立ち向かっていくアルベルトは、魔法と剣を駆使し、熊2匹相手に十分健闘している。


 アイスファイアベアの氷と炎は厄介だが、対応さえ間違わなければそれほど脅威ではない。


 【氷炎竜】と言う竜属性がちょっと気になるが、今のところはその兆候は見られない。


 油断は出来ないが。


 ネームドモンスターであるクリムゾンベア“ブラッディヘルム”は膂力だけの単純な力押しだけだが、それだけでも脅威だ。


 アルベルトは上手く凌いでいる。


 だが、そこへデッドが参戦するとなると均衡は崩れる。


 アルベルトvs属性熊+力熊+筋肉魔族――1対3の対決はアルベルトに分が悪い。


 とは言え、ここはアルベルトが自ら進んで選んだ道だ。


 ピンチの時以外は見守る方向で行くべきだろう。


 そして、ルールー(+オーガ)の相手はジルがするわけだが……


「貴女バカにしてるの……? この魔王四天王の紅蓮のルールー相手に勇者じゃなく、小娘如きが相手すると言うの? 悪い事言わないわ、さっさと勇者に代わりなさい」


 えーー……ジルが小娘って……


 身長180cmもあるボンキュッボンの大人の女なんだけどなぁ~


 まぁ、魔族の年齢にしてみればジルくらいなら小娘になるのか……?


「ダメダメー。貴女の相手は私よー。アル君が来るまでは私が相手してあげるのー」


「してあげるですって……!? 余程死にたいらしいわね! いいわ! さっきとは違うあたしの全力を食らいなさい!!!」


 勇者じゃなくジルが相手なのに、ルールーはかなりお冠のようだ。


 しかもジルはさり気なく煽ってるし。


 さて、ルールーの言う本気は何処までジルに通じるかな……?












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