表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この石には意志がある!  作者: 一狼
第6章 勇者パーティー・集結編
148/357

133.勇者パーティー:料理人2

「フレイドに料理関係のスキルが無いのは驚いたけど、別に【料理】のスキルが無くてもこれだけ美味い料理が作れるのなら構わないぞ」


「いいのか?」


「ああ。別に勇者パーティーには【料理】スキルを持つ料理人が必須って訳じゃないからな。だろ?」


 それでいいのかと疑問を投げかけるフレイドにアルベルトは事も何気に答える。


 そして、その料理人をスカウトしてきたであろう組織の関係者――パトリシアに残りの疑問を答えさせる。


「ええ、連合軍とAlice神教教会が料理人に求めたのは勇者様たちの長旅の栄養面を工面できる方ですから。その上で美味しい料理が出来るのなら私達にとっては嬉しい事ですので」


「そう言ってもらえると助かる。助かるのだが……ここまで持ち上げて来ると言い辛いものがあるな」


 何だ何だ。まだ何かあるのか?


「勇者パーティーに勧誘された時、メンバーの中にS級冒険者が居ると知って条件を出したのだ。幻の食材、『グランホワイトの角』を入手を手伝ってもらうとな」


 『グランホワイトの角』? 聞いたことないな。


「『グランホワイトの角』ってあの幻の三大食材の『グランホワイトの角』か?」


「ああ、その幻の三大食材の1つだ」


 どうやらディーノは知っていたらしい。


「三大食材ってことはー、他に2つの食材があるのー?」


「『グランホワイトの角』、『スカイブルーの羽根』、『マリンゴールドの鱗』。この3つが幻の三大食材だな。幻と言われるゆえんは、グランホワイト、スカイブルー、マリンゴールドがS級モンスターでもある事に加え、確認されたのはほぼ皆無だからだな」


 あー、なるほどな。


 食材のモンスターがS級だから、それを入手する為にS級冒険者のジルが居るから勇者パーティーに加入したのか。


「グランホワイト、スカイブルー、マリンゴールドは私も聞いたことがあります。どちらかと言うと、モンスターと言うより神に近しい存在だと」


 神職であるパトリシアから齎された情報は、食材を求めるのに躊躇するものであった。


 何せ、神はモンスターとは違う存在なのだから。


「何も倒してくれと言っている訳じゃない。それぞれの食材は分けてもらえる素材だからな。過去に食材を手に入れた事のある料理人も、頭を垂れて許しを得たことによって入手したと言われておる」


 角、羽根、鱗。確かに命を奪わなくても手に入れる事が出来る素材だ。


「幻と言われ、確認されたのがほぼ皆無というのなら、どうやって手に入れるんだ? フレイド殿」


 そういやそうだ。


 ブラストールの言う通り、幻なのにそれを手に入れるために力を貸してくれと言うのは、何か根拠があっての事だろう。


「うむ、確かに幻と言われるくらい確認されたことが無いモンスターだが、ワシが長年大陸を渡り歩いて食材を探し求めた結果、このアキンドーの東側にある、大動脈山脈の最西端にグランホワイトが生息していると言う情報を手に入れたのだ」


「それは確かな情報なのか?」


「いや、あくまで噂の域を出ておらん。無駄足になるかもしれんが、ワシとしてはせめて確認だけでもしておきたいところだな」


「どうする?」


 アルベルトとしても、フレイドの望みを切り捨てるわけにもいかず、皆にどうするか聞いてくる。


 『グランホワイトの角』の入手に協力するのが勇者パーティーに加入する条件らしいからな。


「因みに、ワシは料理関係のスキルが無いから、料理でバフを付ける事は出来ないが、幻の三大食材なら恒久的なバフ――バフと言うより能力上昇だな。そのような効果があるらしい。勇者パーティーの戦力上昇には必要な食材になるのではないか?」


 食事によるバフはゲームとかでよくある効果だが、この世界の【料理人】や【料理】には同じような効果があるみたいだ。


 フレイドは【火魔法】スキルで料理でバフを与える事が出来ないから、それに代わるものを探し求めて辿り着いたのが幻の三大食材なのだろう。


「どうする?」


 再び皆に問うアルベルト。


 みんなと言うより、どちらかと言うとジルにその視線を向けていた。


 必然的にS級冒険者であるジルがグランホワイトを相手取る為だろう。


「(どうするー? きゅーちゃんー)」


『少なくとも俺が居れば、グランホワイトを見つける事は可能だろうな。ただ……パトリシアが言ったように、普通のS級モンスターじゃなさそうだ。おそらく一筋縄じゃ行かないだろう』


 同じS級のリヴァイアサンやフェンリルと同等の存在ではなさそうだ。


 強いて付けるのならSS級と言ったところか?


 神とも言えるSS級に、ジルの【ストーンコレクター】や俺の【百花繚乱】【千載一遇】【森羅万象】が何処まで通じるか。


 別に倒す必要ないのだろうけど、万全を期しておきたい所でもある。


 余談だが、神獣・麒麟も神クラスのSS級と言えるかもしれないな。


 尤も、まだ子供であるジェラート王子はS級までに至っても居ないみたいだが。


『私としてはマスターが正体不明の存在の所へ行くのは賛成しかねます』


『あたいは一度挑戦してみたいね。いざとなったらきゅーやふーの力で逃げる事は出来るだろう?』


『反対だな、我は。無敵ではないのだ、主も』


『オレ様は賛成だな。神への挑戦。滾るじゃねぇか!』


『僕は、反対。危なぃ、ことは、しなくても、ぃぃんじゃ、なぃのかな……』


『見てみるだけならいいんじゃない? あたしとジルちゃんだけでも見てくることなら可能だし』


『OneAttackしてみて、JudgeしてもいいんじゃNe?』


『能力の上昇は魅力的ですが、客観的に見ても挑むべきではないと思います。勇者とお仲間達は、些細な事に構っている暇はないのでは?』


 うーむ、お気に入りの皆の意見は、賛成が2、反対が4、様子見が2か。


 どちらかと言うと、反対意見が多数を占めているな。


 俺としては、賛成なのだが。


 さて、どうしたものかな……












評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ