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この石には意志がある!  作者: 一狼
第6章 勇者パーティー・集結編
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129.勇者パーティー:御者3

 ライダーズギルドに所属する者は、大きく分けて2種類に分かれる。


 主に騎獣に乗り、ライダーズギルドが主催するレースに挑む騎乗者――ライダーと呼ばれる者。


 人や荷物などを馬車や荷車で運ぶ御者や運搬者――ドライバーと呼ばれる者。


 ライダーは大衆に人気のある花形の職業だ。


 逆に、ドライバーはライダーを引退した者や、ライダーになれなかった者が僅かながらの繋がりを求めてなる者が殆んどだ。


 ただ、昔はそうであったが、今は最初からドライバーになるためにライダーズギルドに所属する者も増えてきたそうだ。


 何でも人や荷物を誇りを持って運ぶドライバーがカッコいいと言われるようになってきた事が原因らしい。


 今回、ライダーズギルドから派遣されたディーノもその内の1人で、ドライバーの仕事に誇りを持っていると。


 尤も、最初ディーノがライダーズギルドに加入しに来た時は、最速のライダー候補として期待されていたとか。


 ディーノが保持していたスキルが【クイック:付与】と速度系の【付与魔法】のスキルだったらしく、ドライバーを希望したと分かった時には周囲に大層残念がる声が上がったらしい。


 そして、その事に大いに不満に持ったのが今回突っかかってきたゼノスだ。


 ゼノスのスキルも【移動速度上昇】とこちらも優秀なスキルだったがライダーにはありふれたスキルで、ディーノの影に隠れてしまっていた。


 ディーノがドライバーを希望したことで、代わりに期待のライダーとして注目を浴びた訳だが、そんな譲られた形でのライダーの1番は納得がいかないとディーノに勝つためにわざわざドライバーとなって張り合っていたらしい。


 まぁ、だからこそ、今回の勇者パーティーの御者に選ばれたディーノに突っかかってきた訳だ。


 因みに話はずれるが、ライダーズギルドが主催するレース……まんま地球で言う競馬だな。


 決められたコースを複数の騎獣で競い合い、それを賭け事にして取り仕切っている。


 まぁ、乗る騎獣は馬だけじゃなく、八脚馬(スレイプニル)走竜(ドラグルー)、水上を競技場とした水馬(ケルピー)や、中でも迫力満点の空中を協議の舞台とした飛竜(ワイバーン)などが居たりするのが地球とは違う点だが。


 地球でも人気があった競馬だ。様々な騎獣が居るライダーズギルドでその騎乗者が人気が出るのは当然だな。


 さて話は戻すが、今回のゼノスが持ちかけた勝負はドライバーの勝負と言う事で、用意された馬車に荷物を載せて決められたコースを早く回ると言うものだ。


 ルールは以下のものとなる。


 1つ、チェックポイントを通りさえすれば、どのルートを取っても良い。


 1つ、乗せた荷物(甕)を損傷させずにゴールに着かなければならない。


 1つ、早く着きさえすれば、どのような手段を取っても構わない。(スキルの使用可)


 1つ、但し、損傷した荷物(甕)を直すことは不可とする。


 1つ、荷物(甕)を損傷させた場合、1つに付き30分の時間が加算される。


 チェックポイントは首都アキンドーから馬車で約半日くらいの小さな町で、そこの門番にチェックポイントを貰う手はずになっていると。


 その為、往復で1日も掛かるので今日の所は取り敢えず準備の為、ゼノスは一旦帰った。


「ディーノー、大丈夫ー?」


「大丈夫大丈夫。心配しなさんなって」


 いやいや、ジルが心配しているのはもっと別の事だよ? ディーノ。


『私としては優秀であるなら誰が御者でも構わないのだが……』


『えー! あたしはやーよ。あいつ生意気できらーい』


『Hey、Bou。Excellentだったら何でもいい訳じゃないZe?』


『客観的に見ても周りに迷惑をかける輩ですね』


 わーお、ぼーちゃん以外みんなゼノスの事嫌ってるなぁ。


「明らかに向こうは何か仕掛ける気でいるよー? それに準備も向こうがするんでしょー? 馬車とか馬とか用意するのー」


「あー……大丈夫だろ。それこそ露骨に不正はしないだろうさ。それ以外だったら俺の勝ちは揺るがないよ」


 やけに自身満々だな。


 それとも自分のスキルの【クイック:付与】にそれだけ自信があるのか?


 確かに優秀なスキルではあるが……


 俺はちょっと気になりディーノに【鑑定】を掛けて見てみる。


 ………………………………………


 おいおい、マジか? 確かにこのスキルだとある意味余裕で勝てるだろうよ。


 そしてディーノが勇者パーティーに派遣されたのも頷ける。


 ディーノが居れば快適な旅が約束されたようなものだから。


「なぁ、本当に大丈夫なんだろうな。お前から誘っておいて、いきなり居なくなるとか無しにして欲しいな。いきなり勇者パーティーとか、ハードルが高すぎるんだよ。お前と言う防波堤が居なくなると俺が死ぬ」


「大げさだな、クーガーは。もし俺が居なくなってもお前はもう立派にやっていけるよ。よっ、期待の魔具師様」


「どちらかと言うと、俺は商人としての参加なんだが!?」


 あー・・・・・そりゃあ、クーガーの参加はほぼこちらからの強制だったからなぁ。


 ちょっとは不安にはなるか。


 だけど見ている感じ、ディーノの言った通りメンバーとは仲を深めているように見えるが。


 特にリュカとは。


 あれは見ていて面白い。


 女慣れしていないのか、話しかけるのはカミカミだが、何とか努力して仲良くなろうと必死なのが見て取れる。


 ジルもアルベルトもパトリシアもブラストールも皆が皆、クーガーを温かい目で見ていた。


 それが返って皆とクーガーの仲を深めるのに役立っていたりする。


 まぁ、ともあれ明日はディーノとゼノスとの勇者パーティーの御者の立場を賭けた勝負だ。


 俺としてはほぼ決まった勝負を見世物として楽しませてもらおうか。












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