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この石には意志がある!  作者: 一狼
第2章 勇者・召喚編
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012.新たなる火種

 餓狼盗賊団が壊滅した。


 その報は近隣の町・村に響き渡った。


 盗賊団の壊滅に一番貢献したのが7歳の少女と言う噂だが、あくまで噂と言う事で落ち着いていた。


 まぁ、噂じゃなく事実なのだが、信じろと言う方が無理だろうなぁ。


 その当の噂の本人だが、今は1ヶ月外出禁止の謹慎処分を受けていた。


「うー、あー、暇ー。お外に出掛けたいー」


『無茶言うな。盗賊団相手したことだって無茶苦茶だったんだ。謹慎で済んだだけ良しとしろよ』


「えー、だってー。私役に立ったよねー? それなのに何で謹慎処分なのー? 何より日課のコレクション集め出来ないの困るー」


 はぁ……


 石だから溜め息なんてでないが、思わずため息の仕草をしてしまう。


 あの時、ジルの参戦が必要と感じたから俺も許可はしたが、ジルがその事を当然と思っていることが問題だった。


『あのな、ジル。何度も言ったが、お前はまだ7歳の子供なんだよ。親父さんにしてみれば幾ら役に立とうが、子供をあんな戦いに巻き込むのは到底許せるような事じゃないんだ』


「うー、それは分かってるよー。おとーさんが、私を大事にしてくれているってー。でも私の力は役に立ったよねー?」


『いや、だから役に立つ立たないの問題じゃないって……』


 ジルは聡い子だ。


 聡いだけに自分の力の有用性が理解できてしまう。


 そして戦いには年齢は関係ないと言う事も。


 だから今の自分に課せられた処分に納得がいかないのだろうが……


 そこまで聡いんだったら自分が心配かけていると言う事も察してくれてもいいんだがなぁ。


 まぁ、ジルは部屋の中で不貞腐れているが、ファルト村は落ち着きを取り戻していた。


 盗賊団の包囲網を突破して隣町へ救助要請に向かった村人は【戦士】スキル持ちの村人が大怪我をしながらも他の村人2人と隣町へ辿り着く事が出来たらしい。


 そこから騎士団が派遣され、ファルト村を襲った盗賊及びアジトに残っていた盗賊を捕縛した。


 ジルの魔法カウンターを受けた頭領は辛うじて生きていたらしいが、まぁ、盗賊団のあたまだ。


 見せしめの為に大勢の前で処刑されることになったらしい。


 ファルト村は近隣に悪名を轟かせた餓狼盗賊団を壊滅させたと言う事で、盗賊団に懸かっていた懸賞金と討伐の報奨金が贈られることとなった。


 その懸賞金と報奨金は村の復興に当てられる。


 素早い避難により村人には被害は無かったが、大勢の盗賊が村に入り込んだことにより建物等に被害が生じていたのだ。


 ジルは外には出られないが、今は復興のための立て直しや修復が行われているらしい。


 わざわざアルベルトが外の様子をジルに報告してくれるのだ。


 まぁ、その事がより一層、ジルが外へ出たいと言う気持ちを大きくしているのだが。


「おねえちゃん、いしもってきたよー」


「アル君ー、ありがとー」


 謹慎で外に出られないジルの代わりにアルベルトがわざわざコレクションの石を持って来る。


 どれも同じような石に見えるが、ジルにとっては全然違うらしい。


 本当ならジルが自分で選んでコレクションに加えたいのだが、アルベルトがジルの為に選んだ石だ。


 迷うことなくコレクションに加える。


「はいー、アル君お礼の飴ちゃんー」


 ジルはお気に入りのかめちゃんを取出し、中から飴玉をアルベルトに渡す。


「おねえちゃん、ありがとう」


 ジルの【ストーンコレクター】は色々チートだと思うが、このかめちゃんもまた極めつけのチートだと思う。


 かめちゃんは子供のジルが抱えるほどの縦横高さが1mくらいの大きさの石甕(イシカメ)だ。


 だが、その中身は時間停止付き無限収納が可能のアイテムボックスなのだ。


 【ストーンコレクター】は石しか収納できないアイテムボックスの下位互換だなぁと思っていたらこれだよ!


 かめちゃんを経由するとは言え、結局はネット小説に出てくる定番のアイテムボックスが出てきちゃったと言う。


 まぁ、子供のジルが集めたとあって、今はかめちゃんの中身は日常生活の物や数日分の食料しか入ってないが。

 それにしても……普通のコレクションの石はただの石だが、ジルのお気に入りに選ばれればチート能力が備わるのか、チート能力の片鱗があるからお気に入りに選ばれるのか……


 今現在のジルのお気に入りは全部で9つ。


 №1 ぼーちゃん

 ジルの使用頻度が最も高いお気に入り

 能力:伸縮


 №2 めーちゃん

 石空間により回収不能が無いブーメラン

 能力:透過


 №3 えんちゃん

 魔法に対しては無敵の盾

 能力:反射(魔法)


 №4 はーちゃん

 お気に入りの中で一番の殺傷力を持つ

 能力:切断


 №5 へきちゃん

 とても頑丈な壁

 能力:巨大化


 №6 ふーちゃん

 浮遊石で出来た空飛ぶ板

 能力:浮遊


 №7 やーちゃん

 矢のやじりにしても違和感ない飛苦無

 能力:貫通


 №8 かめちゃん

 人工物のお気に入りだが能力はある意味凶悪

 能力:空間収納


 №9 きゅーちゃん

 9番目で球状の石だからきゅーちゃんな俺

 スキル:【百花繚乱】


 うん、こうして見ればどれもこれもチート能力だらけだな。


 ただ、戦闘に偏っているのがちょっと気になるが。


「そういえばー、アル君明日『祝福(ブレッシング)』だよねー」


「うん! あしたきょうかいにいってスキルさずかるんだ」


 おお、そう言えば明日アルベルトの5歳の誕生日だったな。


 うーん、実際に『祝福(ブレッシング)』を見たかったけどジルが謹慎中じゃ仕方ないか。


「どんなスキルを授かるんだろうねー?」


「おねえちゃんをまもれるスキルがほしい!」


「そっかー、アル君おねーちゃんを守ってくれるんだー。ありがとうー」


 アルベルトも男の子だなー


 この間の盗賊団騒動でジルに守られる側だったのが悔しかったのかー


 姉弟のやりとりを微笑ましく見ていたのだが、次の日、事件は起きた。


 母親と一緒に『祝福(ブレッシング)』を受けに行ったアルベルトだったが、家に戻って来たのは母親だけだった。








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