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この石には意志がある!  作者: 一狼
第2部 「猛女」 / 第5章 Alice神教教会・対決編
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107.VS英雄4

 え? 2つ目の【英雄】対策はどうなったかって?


 うん、まぁ使えない事は無いが、確実じゃないからなぁ。


 実際対策と言うのは俺の2つ目のスキル、【千載一遇】を使用キャンセラーで使うと言うものだ。


 そしてユーグの【英雄】スキルは効果を発揮しなくなる。


 勿論、ジルも【ストーンコレクター】を使用できなくなるが。


 そうすると素での強さとなると、【ストーンコレクター】を使えないジルはユーグに放敵わないのだ。


 使用キャンセラーなら身体強化の【付与魔法】を掛けまくっておけばユーグを上回るかもしれないが、それはユーグにも言えることだ。


 確実じゃない。


 そこで確実にユーグに勝てる3つ目の対策だ。


 ジルははーちゃんを石空間に仕舞い、ぼーちゃんを取り出す。


『ぼーちゃん、頼む』


『了解しました。接続します。――接続完了。行けます』


「(ありがとー、きゅーちゃんー、ぼーちゃんー)」


 ジルはぼーちゃんを馴らすように振り回し、ぴたりと棒先をユーグに向ける。


「……はっ! ちょっと俺様を傷つけたくらいでいい気になりやがって。おまけにただの棍で俺様に挑むだと? どうやらとことん俺様を怒らせたいらしいな」


 ただの棍じゃないんだけどなぁ~


「何をやっているのですか! さっさとその小娘を大人しくさせて教皇たちを何とかするのですよ!」


 思ったよりもジルとアルベルトの仲間達を制圧できない事に苛立ち始めたクソババァがユーグに催促していた。


 アルベルトはマードックに診られており、それをハイドラと2人の部隊員に守られている。


 コーリンは新種のゴブリンを上手く使役し、先ほどまで押し込まれていたとは思えない程無双している。


 まぁ、この状態を見たら焦りもするわな。


 だが、その焦りもそこまでだ。


 ここからは焦るどころか絶望が襲うんだからな。


「やぁぁーー!」


 ジルがぼーちゃんでユーグに攻撃を再開する。


 その打撃はこれまでの取り回しとは違い、鋭く威力のあるものになっていた。


「――っ!? ぐぅっ……!!」


 ユーグはジルの攻撃に戸惑い、さっきまでの威勢がなりを潜め押され始めた。


 勿論、ジルの攻撃が強くなっただけじゃない。


 俺達の【英雄】対策が効果を発揮したのだ。


 ユーグは【英雄】スキルが効果を発揮しない事にも戸惑い、明らかに動きに精彩を欠いていた。


「てめぇっ……!! 何をしやがったっっ!!」


「残念だけど【英雄】スキルは使えないよー」


 【英雄】スキル対策その3。


 【英雄】には【英雄】を。


 もし【英雄】スキル持ち相手に【英雄】スキル持ちがぶつかったらどうなる?


 【英雄】スキルは相手が格上であれば、数倍、十数倍もの能力を引き上げるスキルだ。


 それが【英雄】スキル持ち相手だと、互いに影響し合い無限に能力の上昇が行うと言うオーバーヒート状態が起こり、【英雄】スキルは効果を発揮しなくなるのだ。


 つまり、【英雄】スキルは【英雄】スキル相手には効果を発揮しない。


 勿論、ジルは【英雄】スキルなんか持ってない。


 持ってはいないが、持っている人物(?)なら直ぐ傍にいる。


 そう、俺だ。


 俺の【森羅万象】スキルは全て(・・)のスキルが使用できる。


 当然、【英雄】スキルも使用可能だ。


 とは言え、使えるのは俺でありジルではない。


 そこでぼーちゃんの出番だ。


 ぼーちゃんの接続の能力。


 実はただ単に物理的に接続する能力じゃ無かったりする。


 ジルに限ってだが、スキル的にも“接続”が可能だったりする。


 つまり、俺の【森羅万象】の中の【英雄】スキルとジルを、ぼーちゃんの接続で繋げ、ジルにも一時的に【英雄】スキルが使用可能となるのだ。


 これにより【英雄】スキルは効果を発揮せず、【ストーンコレクター】ジルVS素のユーグの図式が成り立つ。


 これならジルはユーグを上回ることが出来る。


「【旋風撃】ー! 【螺旋棍】ー!」


 ジルの回転しながらの薙ぎ払い3連と、【螺旋棍】が加わったぼーちゃんの伸縮突きがユーグを襲う。


 【旋風撃】はユーグの両足を薙ぎ払い足の骨を砕き、【螺旋棍】はユーグの腹を突き破る。


 【英雄】スキルが使えないユーグには【治癒魔法】は使えず、これでほぼ詰み状態だ。


「がはっ……馬鹿な、何で【棒術】と【棍術】が使える……!! てめぇのスキルはそんなんじゃなかったはず……!!」


 そりゃあ俺が貸したんだからな!


 そう、ぼーちゃんの接続を使えばまるっと俺のスキル全部を使う事が出来るのだ。


 はっきり言って、【ストーンコレクター】が霞むくらいのチート中のチートだよ、これ!!


「わざわざ言う必要は無いと思うけどー? きゅーちゃんー、お願いー」


『ほいほい、【スリープ】』


 普通であれば【スリープ】は戦っている相手には簡単に通じないけど、今の弱ったユーグには効果的だ。


 何せ体が休養を欲しているんだから。


「ぁ……ぐ……」


 恨みがましい目をジルに向けながらユーグはそのまま眠りに落ちる。


 そしてそれを呆然と見つめるクソババァ。


「さてとー、ここで大人しく捕まってくれる方がこっちとしては楽だからいいけど、どうするー?」


 ジルはクソババァと周囲の勇人部隊に向かって言うと、クソババァは意図が切れたようにその場に座り込む。


 勇人部隊もユーグが倒されたことに敵わないと判断したのか、無駄な抵抗はせずに大人しく降伏した。


 こうしてAlice神教教会で暗躍していたクソババァの一連の騒動は終わりを告げた。












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