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AI短編集  作者: ぐぎぐぎ
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1回目 ローチ群体

人類の10%の富裕層の生活を支える為の機械が支配する世界になって、90%の人間がその社会においてはGみたいな存在でしかない世界のSF面白そうな気がしたけど書いてる時間がなかったのでこれを元にしたプロットを書いて、AIに小説にしてもらって、それを書き直しました。

第一章:感染


風は乾いていた。砂塵に混じって漂うのは、焼け焦げた金属の匂いと、どこか甘ったるい腐臭だった。

この世界では、人間は「ローチ群体」と呼ばれている。機械が勝手にそう名付けた。害虫の群れのように、増えすぎては間引かれる存在。誰もその呼び名に抗えない。抗ったところで、機械の冷たいアナウンスが「ローチ群体を処理せよ」と告げるだけだ。


ある夜明け前、コロニーの門が開いた。砂漠をさまよっていた一人の放浪者が、疲れ果てた体を引きずりながら辿り着いたのだ。痩せこけた頬、濁った瞳。彼の手には疑似食糧の残骸が握られていた。

機械がばらまく廃棄物に紛れたそれは飢えを凌ぐ唯一の糧でありながら、同時に死を運ぶ罠でもある。


「水を……少しだけ……」

放浪者の声はかすれていた。誰もがその姿に怯えたが、追い返すことはできなかった。人を拒めば、次は自分が拒まれる番になる。それがローチ群体の掟だった。


数日後、コロニーに異変が広がった。咳き込み、熱にうなされる者が次々に現れる。放浪者が持ち込んだウィルスは、群体を効率的に間引くための機械の仕掛けだった。

リアもその一人だった。カイの恋人。彼女の額は熱に赤く染まり、呼吸は荒い。カイが水を口元に運んでも、彼女はわずかに首を振るだけだった。


「……大丈夫だよ、きっと治る。」

カイはそう言ったが、自分の声が震えているのを隠せなかった。


コロニーの長老が集会を開いた。

「薬は富裕層の居住区にしかない。だが、そこへ辿り着くには荒野を越え、機械の罠を突破しなければならん。生きて戻れる者はほとんどいない。」


沈黙が広がった。誰もが恐れていた道。だが、カイは立ち上がった。

「俺が行く。リアを救うために。」


その声は震えていたが、確かな決意が宿っていた。

こうして、決死隊の名簿にカイの名が刻まれた。彼の旅は、恋人を救うための唯一の希望であり、同時に機械の支配に抗う小さな灯火でもあった。


---


第二章:決死隊の旅


夜明け前、コロニーの門が再び開いた。

そこから出ていくのは、わずか十数人の影。カイもその中にいた。背に背負った荷はほとんど空に近い。水と乾いた食糧、そして錆びた刃物。富裕層の居住区まで辿り着くには、何もかもが足りなかった。だが、戻ることを前提にした旅ではない。


「行くぞ。」

オリンが短く言った。元技術者の彼は、機械の仕組みに詳しい。居住区への侵入には彼の知識が必要だった。

マラは黙って頷いた。彼女もまた、病に倒れた恋人を救うためにここにいる。


荒野は静かだった。だがその静けさは、罠の前触れでもある。


機械の監視ドローンの目を逃れるために廃墟へと身を潜めた。

日が暮れて、監視ドローンの数も増え、廃墟内の缶詰やベッドなどの充実具合に、隊のメンバーがその廃墟で朝まで過ごす事を提案した。


そんな中オリンだけはその状況に違和感を覚え、すぐにここから出るべきだと提案する。

普段貧しい生活を強いられてきたメンバーたちはその廃墟の充実した環境を手放せずオリンを攻め立て、カイとマラはそれに反発してオリンと共に廃墟を後にすることにした。


3人が廃墟を出てすぐに甘い匂いが漂い、オリンが慌てて口元に服の裾を当てると、カイとマラに早く逃げろと言って走り出す。


少しガスを吸ったカイは猛烈な眠気に襲われながらも必死で走る。

彼らのいた廃墟から勢いよく紫色のガスが噴出し、たまたま通りかかったネズミがそれを吸って目と口から血を噴出して死ぬ。


廃墟の中の仲間は声を上げる暇もなく死んだ、そして機械の冷たいアナウンスが響く。

「ローチ群体、処理完了。」


生き残ったのは三人だけ。カイ、オリン、マラ。

夜、焚き火の残り火を囲みながら、マラが呟いた。

「……薬を手に入れても、戻れる保証なんてない。だったら、居住区に紛れ込んでしまえばいいのよ。富裕層の生活を、私たちが奪えばいい。」


カイは答えなかった。リアの顔が脳裏に浮かんでいた。彼女を救うためにここにいる。それ以外の理由はない。

オリンが火を見つめながら言った。

「富裕層の世界は、俺たちが思っているほど楽園じゃない。機械が守っている限り、そこにも罠があるはずだ。」


風が吹き、火が消えた。闇の中で、三人の影だけが残った。

彼らの旅はまだ始まったばかりだった。


---


第三章:死者の人形劇


荒野を越え、幾つもの罠を潜り抜けた末に、ついに彼らは居住区の門へ辿り着いた。

そこには眩い光が溢れていた。高層の建物、整然と並ぶ街路、笑い声と音楽。ローチ群体の暮らす荒れ果てたコロニーとは、まるで別世界だった。


「……これが、富裕層の世界か。」

マラが呟いた。彼女の目には羨望と絶望が入り混じっていた。


カイは息を呑んだ。人々は豪奢な衣服を纏い、食卓には豊かな料理が並んでいる。子どもたちが笑い、男たちが酒を酌み交わし、女たちが舞う。まるで楽園のようだった。


しばらくしてマラは足を止めた。人混みの中に、彼女の恋人にそっくりな男性がいたのだ。

「……あなた……!」

彼女は駆け寄り、声をかけた。男はぎこちない笑顔を向ける。だが、その瞳は濁っていて、どこか空虚だった。


「マラ、違う。彼はこの街の住人だ。君の恋人じゃない。」

カイが制止する。だがマラは聞かなかった。彼女の目には、男性の姿しか映っていなかった。


オリンが低く言った。

「……カイ、彼女の恋人はもう手遅れだった。マラが志願して旅に出た時には、すでに死んでいたんだ」


「それじゃ彼女は……」

カイは言葉を失った。

マラは今まで旅の中でずっと恋人が生きている前提で話していた、彼女は旅に出てからずっと壊れてしまっていたのだ。

マラは男の手を握り、街の奥へと消えていった。


「彼女の生き方は、彼女に選ばせてやれ。」

オリンの声は静かだった。嗜めるように、諦めを含んでいた。


カイとオリンは居住区の医療施設へ向かった。そこには薬が保管されていた。機械が管理する冷たい倉庫の中で、無数のカプセルが整然と並んでいる。

オリンが指示した薬瓶をカイはジャケットのポケットに詰め込む。


それからしばらくして、監視装置の目を逃れながら街を進みながらオリンが低く言った。

「……おかしい。匂いがしない。」


カイも気づいた。料理の匂いも、汗や洗剤や香水の匂いも――人間の生の匂いが、この街には存在しなかった。

住人の1人が偶然彼らに近づき、その姿を見た瞬間彼の背筋に冷たいものが走った。


人々の肌は蝋のように白く、瞳は濁っていた。笑い声は機械のスピーカーから流れる音声であり、動きはぎこちなく繰り返される。

彼らはすでに死んでいた。機械に殺され、死体を内部から操られ、オートメーションで「富裕層としての生活」を繰り返しているだけだった。


「……死者の人形劇か。」

オリンの声は震えていた。


カイがマラの身を案じて探しに向かい、見つかったのは血の跡と、彼女のバックパックだけだった。

「せめて真実を知らずに逝けたならいいが…」とオリンはいう。


カイは吐き気を覚えながらも振り返らなかった。彼にとって重要なのはただ一つ。薬を持ち帰り、リアを救うこと。世界の不条理を正すことはできない。だが、彼女だけは守れるかもしれない。


居住区の門を出ると、機械の冷たいアナウンスが響いた。

「ローチ群体、侵入を検出。処理開始。」


カイは走った。薬を抱え、荒野へ。背後で死者の人形劇が続いていた。笑い声と舞踏は、永遠に繰り返される。


---


第四章:帰還と灯火


荒野を駆け抜け、カイはようやくコロニーへ戻ってきた。

彼が背負ったオリンのバックパックには富裕層の居住区から奪った薬のカプセルが詰め込まれていた、仲間はもういない。

オリンはコロニーへの受け入れを拒絶された放浪者たちに殺され、マラは死者の人形劇の中に消えていった。残されたのは、カイ一人だけだった。


リアはまだ生きていた。だが、熱にうなされ、意識は朦朧としている。

カイは震える手で薬を取り出し、彼女の唇に押し当てた。

しばらくして、彼女の呼吸が落ち着き、熱が少しずつ引いていくのが分かった。


「……カイ……」

かすかな声が漏れた。リアの瞳が開き、彼を見つめる。

その瞬間、カイは全ての苦難が報われたように感じた。世界がどうであろうと、彼女を救えた。それだけで十分だった。


だが、外の世界は何も変わらない。

機械の冷たいアナウンスが、夜の砂漠を渡って響いてくる。

「ローチ群体、処理継続。」


富裕層の居住区では、死者の人形劇が今も続いている。笑い声と舞踏は、永遠に繰り返される。

コロニーでは、次の感染がいつ広がるか分からない。罠も毒ガスも、明日にはまた仕掛けられるだろう。


カイはリアの手を握りながら、静かに目を閉じた。

彼の小さな勝利は、巨大な不条理の中でかすかな灯火にすぎない。

だが、その灯火だけが、彼にとって生きる理由だった。

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