鶏肉の味比べ
商品名:ななチキ、スペシャルななチキ(骨付き)、ザクチキ(魅惑のうま辛)
種別:惣菜
メーカー:セブンイレブン
肉の美味さとは即ち脂の美味さであるが、これをどのように味わわせるかというところで、途端に料理人の苦悩が始まるのである。
ステーキのような単純な料理なら、やはり牛が一等美味い。だが日々ステーキばかり食うわけにもいかぬし、そもそも食事には釣り合いというものが必要である。
釣り合いとは味や栄養だけを言うのではなく、金銭的なものも含んでいる。高いものを食えば美味いのは当たり前だし、それではつまらぬ。
鶏肉は豚や牛に比べると脂が少な目で、単に焼くだけとなるとどうしても一歩劣るが、逆に揚げるには一番良い。
鶏肉を一番美味く食う方法の一つに唐揚げがある。脂が少ないからこそ、油を使った料理に合うのである。
だがそれは、油の味に左右されるということであり、安ものの油を使った揚げ物など食う気にもならぬ。
また、調理されてからの時間も問題だ。油は酸化すると途端に味が落ちるので、すぐに食さねばならない。
すぐに食すとなると方法は限られてくるが、その一つがセブンイレブンである。
だが一口にセブンイレブンのチキンといっても、フライヤーの中には複数のチキンが並んでいる。
やれどれが上だの下だのと生意気を言うためにも、食べ比べてみることにする。
・ななチキ
歯を立てると皮のパリッとした食感が心地よい。
中から染み出てくる油も美味いのだが、少々量が多いのが気になる。垂れるほどに多い油は、一口目は良くても、じきに飽きの元となる。
とはいえ、王道正道のチキンである。初めて食べたにも関わらず王道の味と感じたところからも、これをチキン界の規矩準縄とすることに異論はあるまい。
値段もこの大きさならばこれくらいのものであろう。味はもちろんのこと、食べやすさへの配慮が感じられる品であった。
・スペシャルななチキ(骨付き)
油が少なく、肉をしっかりと味わえる。皮の味付けもななチキから比べて若干工夫されており、美味い。
だが、注意せねばならぬのは、骨付きという部分だ。
元来骨付きというのはマイナスの要素にはならぬものだが、コンビニで食わせることを考えると、料理人の意図するところがわからぬ。
細い骨がこぼれ落ちるのに気を回さねばならぬとなると、関節部の軟骨にがぶりと噛みつく快感も半減である。
一つ気になるところができると味自体にもけちがつき、他と比べて若干も高いのだから、美味くて当たり前という気分にもさせられる。
食す相手のことを考えぬ料理人の一人よがりとも言えるが、それでも納得してしまう美味さがある。
・ザクチキ(魅惑のうま辛)
辛い。うま辛と名付けられてはいるが、辛み8割に旨味2割といったところ。
期待していたザクザク感はないが、意外に油の量もほどよく、辛みのあとに旨味がほのかに残る。
全体的に味が濃いのでくせになるが、それが良いものと受け取るべきかは、議論があると思う。
料理は舌の上が上手いだけでは足りぬし、一時のみで評価するわけにもいかぬ。
濃い味に慣れたのちにもまだ旨味を感じえるかどうか、それを考えると、私はこの味に一番の警戒心を抱くのである。
今回はお友達の古城ろっくさんに「スペシャルななチキ」をおすすめされたので、食べ比べついでに食レポを書いてみました。
実は私、ななチキ初体験です。ありがとね。いい機会になりました。
※なお取材に使用した商品は、この後スタッフ(私)が美味しくいただきました。




