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無職は今日も今日とて迷宮に潜る【3巻下巻12/25出ます!】【1巻重版決定!】  作者: ハマ
8.ネオユートピア

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ダンジョン攻略17

ごめんなさい、短いです。


12月25日3下巻発売!

 翌日、ギルドに到着すると黒一が立っていた。


 黒一の隣には、見覚えのない男女と……、


 ……麻布先生?

 なんで麻布先生が、こんな奴と一緒にいるんだ?


 俺が駆け寄ると、麻布先生は困ったような笑み浮かべて挨拶してくれた。

 俺もおはようございますと返事をするが、内心それどころではない。


 ちょっ⁉︎ 麻布先生、なんでこいつらと一緒にいるんですか⁉︎


 俺の問い掛けに答えたのは、麻布先生ではなく黒一だった。


「麻布さんは素晴らしい技術を持っていまして、是非仲間にとスカウトしたんです。打診を快く引き受けて下さりましてね、私の部下として働くようになったんですよ」


 お前に聞いてねーよ。

 麻布先生、こいつに何か弱み握られてるんすか?

 先生が言ってくれたら、俺、あいつやってやりやすよ。

 いやもうマジで、嘘でもいいんでポロッと言って下さいよ。

 次の瞬間には、俺の拳がめり込んでますから、試してみませんか?

 え、違う?

 助けてもらってる?

 嘘でしょ……。


 こいつが人助け? 部下だから当然なのか? いやでも、こいつならブラック企業よろしく、人を酷使して使い捨てるだろうきっと。

 それとも何か?

 こいつが、理想の上司とでもいうのか?


 いやいや、そんな馬鹿な。

 黒一に限ってそれはないって。


 麻布先生、正直に言って下さいよ。俺の精神を安定する為にも、こいつを殺してくれってお願いして下さいよ。


 そう説得するが、麻布先生は「本当に大丈夫だから」と取り合ってくれなかった。

 大変残念である。


 仕方ないと諦めて、黒一達に告げる。


 んじゃ行こうぜ、海外まで行くんだろう?


「少々お待ち下さい。天津さんも、もう直ぐ到着する予定ですので……」


 天津は確か、ナナシの苗字だったはず。

 その姓を持っているのは、俺の知る限り二人。

 ギルドの会長である天津道世。

 それともう一人が……。


「よう、待たせたな」


 ミンスール教会の関係者である、天津大道だけだ。

 ナナシの血縁者なだけあり、顔立ちだけでなく立ち居振る舞いまで似ている。長剣の無いこいつでは、強さの面では心許ないが、それでも人類に取っては最高峰の強さを持っている。


 お前も来るのか?

 そっか、二号が心配だもんな……。

 もし、もしだ、二号がお前の知っている奴じゃなくなってたら、お前はどうする?

 ああ、平気で人を殺すようなヤバいやつになってたらって話だ。


「考えたくはないが、終わらせてやりたい。あの人は俺の師匠だからな、弟子の俺がやるべきだろう……」


 大道の言葉に、そっかと返しておく。


 最悪の場合、俺が二号を殺す。

 恐らく、こいつには殺せない。

 俺が言っても説得力は無いかも知れないが、最後は躊躇うような気がするのだ。


 そう決意したのだけれど、決意しているのは大道も同じだった。


「あんたじゃマヒトさんは殺せないだろう? だから、俺がやるよ」


 苦笑する大道。

 仕方ないからやってやるよ、という態度を見て、俺もムキになってしまう。


 やってやるし! 足腰立てなくして、連れて帰るし! お前と一緒にすんじゃねーよ!


 と、つい本音を口走ってしまった。


 いやね、前にも言ったけど、絶対躊躇すると思うんだよね。だからもう諦めた。

 もう動けなけなくなるくらい殴り倒して、そんで引き摺って連れて帰って、徹底的に説教して責任を取らせる。

 そう決めてたら迷う必要もないし、絶対にこっちの方がいいだろう。


 それじゃあ、手続きをしましょうと黒一が言う。

 何の手続きかというと、探索者が国外に出る時は、探索者協会か政府機関で出国手続きをしないといけないそうだ。


 ほいほいと必要な書類にサインして、手続きを行う。

 あとは、この書類を出国手続きの際に提出するようにと渡された。


 これで行けるのか、簡単だな。


 と思ったら違った。

 本来なら、一月前までに手続きをして、犯罪歴などを調べられてから許可が出るそうだ。

 今回は緊急措置ということで、許可が出たらしい。


 なあ、装備品とかはどうするんだ?

 流石に飛行機に武器は持ち込めないだろう?

 ああ、やっぱり持ち出せないのか。

 今回は特例で認められていると。


「本来なら、探索者監察署の職員だけなのですが、今回の事案がそれだけ重大なものだと認識されたんです」


 二号はどんだけのことやらかしてんだ。

 人類を救うとか言ってたらしいけど、何がやりたいんだよ。救世主どころか、敵認定されてんじゃん。


 探索者協会を出て空港に向かう。

 車中で、知らない二人から自己紹介をされる。

 男の名は道念総司、女の方は宮塚影美というらしい。

 それと、どうも俺は二人と会ったことがあるらしく、「おっ、お久しぶり、です……」と怯えながら挨拶された。


 なんか、心が傷付いた。


 その上、黒一が無駄なフォローまでして来て「影美さん、いわゆる見える人でして、田中さんに怯えているわけではないので安心して下さい」と、俺に何か取り憑いているかのような恐ろしいことを言いやがった。


 お祓い行った方が良いのかな?

 どこか、お勧めの神社ありません?


 そう聞いても、「ひっ⁉︎」と怯えられてしまう。

 どうやら、俺に取り憑いている悪霊は、探索者を怯えさせるほど恐ろしい存在のようだ。


 気まずい車中で、俺は外を眺めて黄昏れる。

 誰からも話しかけられることなく時間は過ぎて行き、空港に到着した。


 それから出国手続きをするのだけれど……。


 パスポート?

 何それ?


 残念ながら、俺はパスポートを持っていなかった。

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― 新着の感想 ―
見える人なのに、何にも見えなかったんでしょ?全部真っ黒だったんでしょ?
笑いしか……笑うしかないヾ(≧∀≦*)ノ〃
憑りついているというか浄化されに来てるんだよなぁ……よくわかってないと力わきでててそこに大量の霊がやってきてるようにみえるんか?ww
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