表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無職は今日も今日とて迷宮に潜る【3巻下巻12/25出ます!】【1巻重版決定!】  作者: ハマ
8.ネオユートピア

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

350/373

ダンジョン攻略12

12月25日【無職は今日も今日とて迷宮に潜る3下巻】発売!!!

よろしくお願いします!

 うーん、どうしてこうなるんだろう?

 ていうか、どうして予想出来なかったんだろう?

 いやさ、お約束かもしんないけどさ、こんなの現実に起こるなんて思わないじゃん。


 ミューレがさ、私に任せろ! って顔したんだよ。壊した張本人が、謝罪の気持ちも込めて、元通りにする! って自信満々な顔してたんだよ。


 どうやったら、こんな独創的なデザインになるんだよ。


 そりゃ都ユグドラシルには、こういう家たくさんあるけどさ。でもさ、隣見てよ。完全に浮きまくってんじゃん。見てよこの通り、スマホ向けてる人が大勢いるよ⁉︎


 え、なに? 申し訳ないって?

 マジで何やってくれてんの⁉︎

 家壊した上に、なーに観光名所にしてくれてんだよ!

 もうここ住めないよ⁉︎

 分かってんの⁉︎

 え? 都ユグドラシルで歓迎しますって?

 殴り飛ばすぞこの野郎!


 ミューレを責めていると、オリエルタからふざけたことを言われた。こいつの背中の羽むしり取ったろか。


 とにかく、母ちゃん達は兄ちゃん家に泊まってもらうしかない。家を作り替えるのは可能だそうだが、一度壊さないといけないし、ここまで注目を集めてしまったらもう無理だ。


 幸い金はあるから、引越し先に困らないのはありがたい。


 やってて良かったダンジョン探索。

 ありがとうダンジョン。

 お願いだから消えてくれ。


 ダンジョンに感謝の呪詛を送りつつ、家を探さないとなと考えを切り替える。

 母ちゃんは日向から離れようとしないから、比較的元気な父ちゃんを連れて不動産屋に行こう。


 なんて計画を立てていたら、ミューレが近付いて来た。


 え、なに?


『マヒトが何やら動いているようです。お気をつけ下さい』


 ……。


 ミューレは黙った俺を見て、そっと離れた。


 二号と最後に会ってから、それなりに時間が経った。

 あの時、二号は危険だと分かっていた。

 奴は、多くの人を殺すだろうと理解していた。

 あいつの殺してくれという懇願を、俺の我儘で保留にしてしまった。


 動き出したんだ。

 二号を乗っ取った奴が、多くを殺す為に行動し始めたんだ。


 なあ、二号はどれだけの人を殺すって言ってた?


 俺の問い掛けに、ミューレはキョトンとしてした。


『いえ、彼は人々を救いたいようです』


 ……ん?

 聞き間違いかな?


 そう思って再度尋ねても、二号は全ての人々を救いたいのだという。


 どうしてそうなった?

 あいつ、狂気に呑まれて暴走するパターンやったやん。その前兆見えてましたやん。ナンバーフォーっていう、厨二全開っぽい人格が暴れ出す感じでしたやん。


 それが救済?

 なら、どうしてミンスール教を離れたんだよ。

 今をときめく宗教団体を使えば、かなりの数が救えるだろうに。


 それとも、他に方法が?


 まっ、そんなの考えても仕方ないな。

 とりあえず保留だ保留。人類滅ぼすわけじゃないなら、口出しする必要もないだろう。


『しかし、明らかに危険でした。警戒するに越したことはないでしょう……』


 黙らっしゃい。

 そもそも、家を破壊して子供まで連れ去ったお前の方がよほど危ないわ。


 こいつ、自分が何やらかしたのか分かっとらんのか。


 とにかく、二号は放置だ。

 いよいよやばいことになったら、あいつから何かアクションがあるだろう。それに、ダンジョンを何とかすれば、二号の助けになるかも知れない。


 こっちがひと段落したら、ダンジョン攻略を進めよう。

 恐らく、終わりも近いだろうから。




 話題を聞き付けたのか、報道陣がやって来て家の取材を開始していた。

 この家の持ち主が誰なのか直ぐにバレるだろうし、兄ちゃんや姉ちゃんの所に取材しに行く可能性もあるな。

 面倒なことになる前に、母ちゃん達だけでもホテルに移動してもらった方が良さそうだ。


 とりあえず、荷物だけ先に持って行こう。

 そう思い家に入ろうとすると、報道クルーに呼び止められた。


 え、話良いですかって?

 はいなんでしょう?

 この家の人ですかって?

 ええそうですけど。

 どうやってこの家作ったのかって?

 そりゃ、今どきのデザイン取り入れたら、自然とこんな設計になるでしょう。俺のセンス? っていうか、パッションが溢れ出しちゃった感じですね。

 昨日まで、別の家が建ってましたよねって?

 いえ、この家ですよ。

 ええ、間違いなくこの家です。


 ぐいっと前に出ると、インタビュアーは「そっそうですか……」とまるで話が通じないヤバい奴を相手しているように引き下がってしまった。


 中に入ると、まんま都ユグドラシルの施設だった。

 魔力が家の中に流れており、エネルギーに変換されている。読めないはずの文字が理解出来て、あらゆる物が自動で動く。

 作り替えられたはずなのに、既存の家電製品や水道でさえも稼働しており、錬金術恐るべしってなった。


 家から出ると、ギャラリーの他にご近所さんからも視線を受けてしまい、なんかごめんなさいと頭を下げながら退散した。


 うん、もう絶対住めないや。



ーーー



 ミューレの手には都ユグドラシル製の手錠が掛けられる。

 手錠と言っても俺に嵌めた腕輪の劣化版で、一時的に力の制限を掛けているそうだ。

 腕輪は、一定時間が経てば解除されるそうだ。

 簡易版の手錠の方は、力の強い者には通用しない腕輪らしく、ミューレがその気ならば力尽くで破壊出来る物らしい。


 それなのに、なぜミューレが腕輪をしているのかというと、ミューレ自身が望んだからだ。


 日向を誘拐し、俺を殺そうとした。

 たとえ俺が許したとしても、ミューレ自身が己を許せなかったのである。


 そんなミューレを連行するのは、オリエルタである。

 オリエルタに近付いて、拳を腹に叩き込む。


『ぐふっ⁉︎ なにを……』


 うるせー、なんかムカついたんだよ。


 許されないことをしたのはオリエルタも一緒なのだから、お前も罰を受けろの拳である。


『ハルト殿、これは己を律せなかった私への罰なのだ。然るべき場所で裁かれなければ、私は私を許せない』


 そう言って、ミューレとオリエルタは去って行った。


 この後、彼女がどうなるのかは分からない。

 分からないけど、元気でいてほしいなと思った。


 そうそう、去り際にミューレから『アナライズリング』なる物を貰ったのだ。

 早速使ってみると、以下の項目が表示された。


ーーー



田中 ハルト(25+13)(混沌)

レベル error

《スキル》

地属性魔法 トレース 治癒魔法 空間把握 頑丈 魔力操作 身体強化 毒耐性 収納空間 見切り 並列思考 裁縫 限界突破 解体 魔力循環 消費軽減(体力) 風属性魔法 呪耐性 不滅の精神 幻惑耐性 象徴 光属性魔法 悪食 勇猛 自動人形生成 森羅万象

《装備》 

不屈の大剣(魔改造) 守護獣の鎧(魔改造) イルミンスールの杖 能力封じの腕輪

《状態》

ただのデブ(栄養過多)

世界樹の恩恵《侵食完了》

世界亀の聖痕 《侵食完了》

聖龍の加護 《侵食完了》

聖天の心部

スキル制限中

《召喚獣》

フウマ


ーーー


 スキルがかなり増えていて、状態を見てリングを破壊してやろうかと思った。


 なんだよただのデブって、ただのデブじゃないデブっていんのかよ……。いやいやそうじゃない、デブとか栄養過多とか表示する必要ないじゃん。

 なに、俺馬鹿にされてんの?


 あとさ……。


 この腕輪って取れないの?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
まともと狂人の堺にいるみたいになってて笑う
面白いです。 新しいスキルも使っていくのかな…
罠にハマったデブが一匹・・ 鳥とか魚が罠に飛び込むのってこんな感じなのかな 更新ありがとうございます!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ