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無職は今日も今日とて迷宮に潜る【3巻下巻12/25出ます!】【1巻重版決定!】  作者: ハマ
8.ネオユートピア

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1巻発売記念SS 異世界? 転生、ミーノ君!

申し訳ありません。

投稿するの忘れてました。

1巻発売記念、WEB用ショートストーリーとなっています。

 ゲロよりもドブよりも悪辣な臭いが最後の記憶だった。


 ふわふわとした感覚の中で、最悪な臭いの記憶が再生される。全身が怠く、痛みでのたうち回りながら憎しみの最後を迎えた。


 そんな最後を迎えたはずの本田実だったが、新たな産声を上げて転生していた。


「ミィー! ミィー! ミィー!」


 産声が少しおかしな気がするが、喉からはこの音しか出て来なかった。


 転生したのだと理解したのは、目が見えるようになり母親の顔が認識出来てからだ。


「ミーノ、起きたのね。黒い目は珍しいわね。英雄様の翼と同じ色、きっと祝福されたのね」


 実ことミーノを抱き上げる母は美人、だと思う。他の箇所に、容姿が気にならないくらいの特徴があるのだ。


 ピクピクと動く猫の耳、ゆらゆらと揺れる猫の尻尾。ニャニャと触れてみると、暖かくてそれが作り物でないと分かる。


 そう、母は獣人と呼ばれる種族だったのだ。


 それはつまり、母から産まれたミーノも白猫の獣人として新たな生を受けていた。


「ミィーーー」


 不満がある訳ではない。どんな形であれ、生きていられるのだ。前世での、本田実として失敗した事を二度としないように胸に刻み、今度こそ生を真っ当する。


 そう小さな手を握って決意を固めるのだが、タッタッタッと軽快な足音を聞いて、心が折れそうになっていた。


「ママー、私にもミーノ抱っこさせてぇ」


 現れたのは、母に似た白猫の獣人シャーリーだ。今世の姉になり、年齢はまだ五歳くらい。


「シャーリー廊下は走らないの、危ないでしょ」


「えー、大丈夫だよぉ、物には当たらないから」


「物じゃなくて、パパに当たったでしょう」


「あれはわざとだよ!」


「余計駄目でしょ⁉︎」


 昨日、父に抱っこされていると、シャーリーに突撃されて転びそうになったのだ。父も猫の獣人なので、一回転して無事に着地したが、生きた心地がしなかった。


「いいから、抱っこさせてぇ〜」


「はいはい」


 無情にも母の手からシャーリーに渡る。

 悲しげに「ミィ」と泣いても、「かわいい」とギュッ!と抱きしめられてしまう。


「ミィ〜」


 体が締め付けられて苦しい、という思いは誰にも届かなかった。


 お昼が過ぎると、母親はミーノを自動で動くベビーカーに乗せて、買い物に出掛ける。


 シャーリーは友達と遊びに行っており、今は近くにはいない。おかげで周囲の景色に意識を向ける余裕が出来た。


 ベビーカーからは、雲ひとつない青空が見える。というより、転生してから雲を見た記憶が無い。その代わりに沢山の島が浮いており、地上と島、島と島を繋ぐ光が走っていた。


 そして何より、大きな大きな巨大過ぎる樹木が聳え立っていた。


「今日も、ユグドラシル様のご加護がありますように」


 母が巨大な樹木に祈っている。


 俺もあの圧倒的な存在に祈るように「ミィ」と鳴いた。


 ここは実在する神、世界樹ユグドラシルによって守られた世界。


 なんの因果か、二度目の人生を歩む事になった世界である。


どうか、1巻手に取ってもらえると嬉しいです!

それでは、失礼いたします。

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― 新着の感想 ―
転生するのも条件があるわけではないのか………運かな…… おもしろい(´・ω・`)……
次はきちんと生きるんだぞ……
来年の半ばに更新と聞いてもついつい寄ってしまいます、、。 登場人物のまとめとか、あるとありがたいと思います。
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