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無職は今日も今日とて迷宮に潜る【3巻下巻12/25出ます!】【1巻重版決定!】  作者: ハマ
8.ネオユートピア

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おまけ話1(ある熟練探索者)

来年春、2巻出版決定!

1巻の売れ行きも好調なようです。

それもこれも皆様のおかげです。

感謝申し上げます!

ありがとう! ありがとう!


Amazonレビューもありがとうございます!

とても励みになっております!

 うぃ〜。

 ったく、世界が大変な事になってるってのによぉ、どうして酒は変わらず美味いんだろうなぁ?


 なに、知らないって?

 そんなこと言うなよ、少しは付き合えよ。

 酒臭いから顔を近づけるなって?

 つれねーなー、仲良くしようぜ。その気になれば、俺なんて簡単に跳ね除けられるだろ?


 それとこれとは別の話だって?

 ああ、流石に理性は働いてるんだなぁ。

 いやよ、そこまで力をあるんなら、好き放題出来んじゃん。それこそ女侍らせて、嫌いな奴殺して回ったり、やりたい放題じゃん。


 そんな事誰がするかって? 人を化け物みたいに言うなって?


 仕方ないだろう。実際、お前に勝てる奴なんていないわけなんだからよぉ。


 あっ、マスターこっちにも安いウィスキー頼むわ、ロックで。


 なんで安いやつ頼むのかって?

 そりゃ、そっちの方が印象に残んだろう。お前がその気になりゃ、高い酒なんて好き放題飲める。なら安くて不味い酒で、俺っていう奴を覚えておいて欲しいんだよ。


 なんてな! 冗談だって!しんみりしたか? ガハハッ!


 おいおい、怒んなって⁉︎

 冗談っつっただろうが!


 あっ、マスター違うんだ。安酒ってのは、そういう意味じゃなくてだな……。


 ったく、お前のせいで怒られたじゃねーか。

 理不尽?

 理不尽の塊みたいな奴が何言っていやがる。

 喧嘩売ってんのかって?

 売るわけねーだろうが! 俺が死ぬわ!


 そういや、うちの祖父さん、お前に会いたがってたぞ。


 俺の祖父さんなんて知らんって?


 平次だ平次! 天津平次!

 初代探索者協会会長の天津平次だよ!

 わかんだろ⁉︎ お前にナナシって呼ばれていたのが、俺の祖父さんなんだよ!


 そうなんかって、なんか軽くない?


 お前の事は、いろいろと話を聞かされたもんさ。話を聞いて、全部俺を喜ばせるための嘘だと思ったよ。

 探索者をやって、そんなの絶対に不可能だと思ったからな。

 空を自在に飛んで、想像を絶する化け物と戦う奴なんて、誰が想像できるよ。


 だから、俺は、無理と決めつけた。


 だけどな、それは俺にとって無理な話ってだけで、お前にとっては、そうじゃなかったってだけなんだ……。


 はぁ〜……。


 あ? 落ち込んでねーよ!

 ニヤニヤしてんじゃねー!

 腹立つなぁその顔。


 それよりも、墓参りくらい行ってやってくれ。

 祖父さんも喜ぶからよ。

 ああ、場所は……知ってんのか。ならいいな。


 ……なあ、お前に……あんたにとって、ナナシはどんな奴だった?


 は? 剣をパクッた奴?

 ん? ああ、祖父さん言ってたわ。権兵衛に剣を返しておいてくれって。パクッたってより……まあ、それはいいか。

 あの剣、黒い翼の天使に渡したけど、問題なかったか?


 ……そうか、やっぱりあれで正解だったんだな。


 あっ、マスターおかわり頼む、こっちにも一杯。


 それで、他に印象は無いのか?


 無いって……そりゃねーだろう! こう、何かよう⁉︎ 無いのか、ほら、良い奴だったとかさ⁉︎


 俺はどうなんだって?

 そりゃ尊敬出来る人だったさ、何でも出来て、人を導く力を持っていた。ああなりたいと、思わせる背中をしていた。


 分かってんじゃないかって?


 ……ああ……何だよ、お前も同じだったって事か。


 ふっ、何だよ……


 ……面倒くせーな! そういうの、はっきり言えよ! その察しろみたいな雰囲気、お前の姿と合ってないんだよ! ていうか、酒の席でそれはやめろ! こちとら頭回ってねーんだよ!


 ああ、分かってくれりゃそれでいいんだよ。

 ったく、今度からは気を付けろよ。


 今ので酔いが覚めちまったじゃねーかよ。

 マスター、もう一杯。


 んで、これからどうすんだよ?

 はっきり言っとくが、お前の行動は世界から注目されているぞ。

 今はマヒトさんが目を光らせているから良いが、それもいつまで待つか分からない。

 言うことを聞かせる為に、馬鹿な事をするのは、一定数は必ずいる。家族を守るにも、一人じゃ限界があるだろう。


 もしも、もしもこっちに連れて来るんなら、ミンスール教で守ってやれる。母さんに言って、探索者協会からも人を出す事は可能だ。


 どうする?


 なに、急に真面目な話するなって?

 酔いが覚めるだろうがって?


 おまっ! こっちは心配して言ってやってんの!

 俺の心配する気持ちが分かんないかなぁ、この野郎は。


 お、おう、素直にありがとうなんて言われると、こっちは何も言えなくなるな……。


 マスター、おかわり。

 なに、もう止めとけって?

 いいじゃん! 次で最後にするからよぉ。

 おっ、約束する約束する。これで最後な。


 それで、護衛は……なに、最強の護衛が付いているからいらない?

 それってどういう……まっ、いっか。

 お前がそう言うのなら、大丈夫なんだろう。


 んで、具体的にはこれからどうするんだよ?

 世界征服でもするのか?

 世界のパワーバランスが崩れた今なら、お前の力があれば確実だぞ。


 そんな事してどうすんだよって?


 世界征服って、男のロマンじゃないか。

 世界を牛耳りゃ好き放題出来て……え、俺? 俺はどうなのかって?

 やる訳ないだろう。

 どうして、そんな面倒な事しなきゃいけないんだよ。


 怒んなって、真面目な話が嫌そうだったから、和ませただけだろう。


 それで、本当のところどうなんだ?


 …………。


 ……そうか、でもそうなると、俺達に出来るのは応援する事だけだ。

 とてもじゃないが、俺程度じゃ戦力にはなれない。

 ダンジョンの攻略なんて、とてもじゃないが……。


 うるせーよ、始めから期待してないって言やいいんだよ! 中途半端な慰めの言葉はいらないんだよ!


 え、雑魚って?

 うるせーーー!!!


 くそっ、叫んだせいで喉がカラカラだ。

 ……うぃ〜、酒は美味いな。


 そうだ、この言葉だけは送っとくよ。



 良い探索を。


 じゃあな、お前の幸運を願っているよ。



 マスター、おかわり。

 さっきのが最後? 違うんだって、今のは二人で飲む最後の分。これからは一人で……。

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― 新着の感想 ―
おもしろい(´・ω・`) ダンジョンでの冒険をまだまだ見れるのか……… 世界が呑み込まれるまでの時間が早まって、 弟もできたからやる気ができたのか…
変わらなさ過ぎて逆に吃驚だわ!?本当にこっちが素でただの酔っ払いだったんだな!w
2巻確定やったね やっぱ攻略するか 絶対に守らなきゃいけなくなったからな
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