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「お前さえいなければ」と言われたので死んだことにしてみたら、なぜか必死で捜索されています  作者: 水谷繭
9.精霊嫌いの司教様

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9-9

「あれ……? 苦しくなくなった……?」


 青年は目をぱちくりして不思議そうな顔をしている。


 途端に後ろから歓声が上がった。


「すごいです、セラさん! さすがはルーク様が見つけてきた逸材!」


「精霊をこんなにたくさん呼び寄せられる方初めて見ました!」


「いえ、あの……」


 あまりに勢い込んで褒められるので、戸惑ってしまう。


 ベッドで寝ていた青年も、目に涙を溜めて頭を下げてきた。


「あなたが治してくれたのですね。ありがとうございました……!」


「い、いえ、私ではなく精霊が……! お礼ならそこにいる精霊さんたちにお願いします! 私はあの子たちに頼んだだけですから!」


 私は慌てて説明した。


 瘴気を払ったのは私ではなく精霊たちだ。


 魔術師団の方達ははっとしたように精霊を見ると、人間にするように丁重に頭を下げていた。


「精霊……がそこにいるのですか?」


 青年の方は戸惑った様子で、私が手で指し示した方向を見ている。この人は精霊が見えないのだとわかった。


「そうですよ。ここにいる精霊たちが瘴気を払ってくれたんです」


「そう……なのですか。それは、ええと、ありがとうございました……」


 青年は戸惑い顔のままで頭を下げる。


 お礼は言ってくれたものの、多分あまり信じてはいない様子だ。


 精霊はまだ立ち去ろうとはせず、ほわほわと家の中を飛んでいた。



「セラちゃん、ありがとう! 早速次の家に移ろう!」


「は、はい!」


 後ろからルークさんに肩を叩かれる。


 私はすぐさま返事をして立ち上がった。それからまだ家の中に残っている精霊にもう一度お礼を言って、ルークさんたちとその家を後にした。



 それから、何件もの家を回った。


 日が落ちるまで家を回り続け、くたくたになりながら町を歩いていると、教会の前を通りかかった。あの精霊嫌いの司教様のいる教会だ。


 教会の前は外の石畳にまで簡易ベッドが置かれ、瘴気に覆われた人々で溢れていた。



「本当に大変な状況なんですね……」


「そうなんだよ。司教様、魔術師団も手伝いに行くっていっているのに頑なで」


「何かお手伝いさせてもらえたらいいのですが……」


 司教様は、シスターとともに懸命に病人を看病していた。重そうな荷物を運んで、一人一人に真剣な顔で声をかけて。


 この前も思ったけれど、悪い人ではないのだろう。


 ちょっと不愛想で精霊嫌いなだけで。


 どうにか協力したいけれど、司教様は精霊師の私なんて必要としてくれないのは予想がつく。

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