表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「お前さえいなければ」と言われたので死んだことにしてみたら、なぜか必死で捜索されています  作者: 水谷繭
1.殿下のために死んだことにします

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

16/62

1-15

 しばらく沈黙が続いた後、お父様は何とも苦々しい顔で「どうぞセラフィーナを連れて行ってください」と答えた。


 エリオット様はその答えを聞くと、私の顔を見て、まるでいたずらが成功したみたいに楽しそうに笑った。


 その顔を見た途端、私の心臓は急に速く鳴りだした。


 わけがわからず、私は慌てて心臓を手で押さえる。


「行こう。セラフィーナ」


 エリオット様はそう言って私の手を取った。触れた手がやけに熱い気がした。



***


 それから、私はろくに準備もしないままエリオット様の乗って来た馬車に乗せられた。


 馬車の中でエリオット様はずっと小言を言うレオンさんに文句を返していて、私はその様子を向かいの席からただ眺めていた。



『セラ、こいつ生意気でムカつくガキだと思っていたけれど、結構いい奴だったんだね』


 私の膝の上に乗っていたシリウスが、エリオット様をちらりと見ながら囁いてくる。


「本当ね。初めて会った私をシャノン家から救い出してくれるなんて……。なんて慈悲深い方なのかしら」


 今まで生きてきた中で、こんな親切を受けたのは初めてだ。


 この方はなんて素晴らしい方なのだろう。


 熱に浮かされたようにエリオット様を見つめる私を、シリウスはやれやれという顔で見ていた。



 王宮に着くと、エリオット様は私を別邸という場所に連れて行くと言った。


 ついて行くというレオンさんを振り切り、エリオット様は少々乱暴に私の手を引っ張って行く。


「お前は今日からそこに住むんだ」


 エリオット様はそう言いながら私を別邸まで案内してくれた。


 シリウスは私の肩に飛び乗ると、『王宮の別邸ならきっといい場所だね』と楽しげな声で耳打ちした。



 到着したのは、王宮の庭を進んだ先の、かなり奥まった場所にある宮殿だった。


 宮殿と言っていいのだろうか。


 造りは立派に見えるものの、あちこちが剥げかけて古びている。


 手入れする者がいないのか、あちこちに蔦が這っていた。


 王宮の別邸のイメージとは違ったけれど、シャノン家の物置部屋に比べると格段にいい場所だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ