69 つよつよミミックのオトリ作戦(ハコザキ視点)
ボク達は謎の女占い師シャンツーさんのおかげでエスペランサさんの首飾りを売ることが出来た。
通帳に入っている金額は……数億円!?
あの首飾り、そんなに高い物だったんだ……。
それを一晩のロイヤルスイート代に現物で渡そうとしていたエスペランサさん……彼女は本当に箱入りで世間知らずの超絶お嬢様なのだろう。
エスペランサさんはアルカちゃんよりも年齢が上に見える。
まあアルカちゃんは妖精なので実年齢ではボク達よりよほど上なのだろうけど、見た目はどう見ても幼児体型の小学生だ。
まあこの外見だとどう考えてもホストクラブで門前払いされるわな。
でも……エスペランサさんなら、あのホストクラブに入ってオトリをやってもらうことも出来そうだ。
それに見せ金として大金を彼女に使わせながらその間に透明化したアルカちゃんとボクがホストクラブ内の悪事の証拠を手に入れる。
よし! コレで次のターゲットが確実に倒せる!
ボク達はホテルに向かい、ロイヤルスイートルームにいるボックスの所に戻った。
「なんだ、お前達か。オレ様は今テレビを見ていたんだ、話しかけないでくれ」
この傍若無人傲岸不遜ミミックは、ボク達の事をスルーしてテレビを見ていた。
テレビの近くには大量のピザの空箱が二十個程山積みにされていた。
うーん、とりあえずこのロイヤルスイートに泊まり続ける事を考えたら、別のとこに家でも買った方が良いかもしれない。
数億円あれば都内でもかなり良い家が買えるはず。
そこまで使わなくても数千万円でも家は買えるかもしれない。
……でも、身上調査をされると色々とややこしい事になるかもしれない。
でも実家に頼るわけにもいかないし、ボクはある意味勘当されたような形で家を追い出されている。
まあ、理由は仕事をやっても何をしても要領が悪くて長続きしなかったからなんだけどな。
そうだ、この通帳をくれたシャンツーさんがくれた名刺、彼女に家を買いたい話をしてみよう。
「あラ、ハコザキくんじゃなイ。どうしたの? また何か良い掘り出し物でも見つかったノ? それともやはり相性占いしてほしいのかナ?」
「違いますよ、実はお願いがありまして……家……って買えないですか?」
「あラそウ、良かったら明日またウチにいらっしゃイ。良いお話が出来るようにしておくワ。それで、部屋の希望はどんなところなのかしラ?」
シャンツーさんはすんなりと話を聞いてくれた。
あの人。本職何なのだろう? あまり詳しく踏み込まない方がいいかもしれない。
「ハコザキ様? 先ほどのお電話はどちら様ですか?」
「どーせあのおっぱいの大きなおんなの人でしょ! ハコザキの頭の中なんて単純だからわかるわよぉ!」
アルカちゃんはなぜ怒っているのだろうか?
まあいい、明日またあの占い師のシャンツーさんの店に行ってみよう。
次の日、ボク達はまだロイヤルスイートルームをチェックアウトはせずに、シャンツーさんの占い店に訪れた。
「あラ、よく来てくれたわネ。待ってたわヨ」
そう言うとシャンツーさんはボク達を連れて、店から出てclosedの看板を占い店の前にかけた。
そして駐車場で待たされたボク達の前にやってきたのは爆音をあげる真っ赤な超高級スポーツカーだった。
「さア、みんな乗っテ。今から部屋にむかうわヨ!」
」えっ!? 今からですか?」
「そうなのヨ、ちょっといきなり部屋が空き部屋になって困ってたのヨ。だから早く入ってほしいのよネ」
シャンツーさんはそう言うと、スポーツカーで首都高をかっ飛ばし、どう見ても高級そうなマンションの前に車を停めた。
「ウチはちょっと駐車場に車置いてくるから、待っててネ」
シャンツーさんが車を置きに行っている間、ボク達はそびえ立つ超巨大なマンションの建物を見上げていた。
まさか、このマンションにボク達が住めるの?




