43 つよつよミミックの救出
ハコザキとアルカは何かの門のようなモノに引っかかったようだ。
しかしあんな脆弱な門、力任せに押し切れば子供でも壊せそうなくらいなのに、
アイツらどれだけ弱いんだよ……。
「え? 誰もいないのに何で勝手に改札が閉まったんだ?」
ハコザキとアルカはどうにか走りながら門の無い一番端の道を通った。
「あっ」
一瞬アルカから手を放してしまったハコザキが見えてしまったようだが、その後すぐにアルカの手を掴んだので再び透明化したようだ。
だがあの一瞬で人間達はハコザキの姿が一瞬現れて消えた事を見て、――幽霊が出たー!――と驚いていたな。
どうやら人間達には視覚感知しか出来ないようだが、あの門にかけられた魔法は物体の感知が出来たのだろう。
だからハコザキとアルカがあの門に引っかかったのだろう。
ハコザキとアルカは地下の洞窟に現れたあのデンシャとかいう箱に乗って移動するようだ。
この中にも人間共が入れ食い状態だが、今のオレ様はアルカと共有しているのはあくまでも視覚と聴覚くらいなので人間の臭いすら感じやしねえ……。
ハコザキとアルカは別の広場でデンシャから降り、カイサツという門の無い一番端っこの道を通って洞窟の外に出た。
そこはオレ様の見た事の無いような光の魔法の使われていた場所だった。
「さて、駅から少し歩いた場所にあのホストクラブゴージャスがあったんだよな」
「ねえ、ハコザキ、あれ美味しそう。ねえ食べてもいいかな?」
「ダメだって、お金払ってないんだから」
だがアルカはその場に有ったケバブとかいう食い物を食べてしまったようだ。
「アルカちゃんっ! この日本では勝手に食べちゃダメなんだよ」
「そんな事言ってもぉ。お腹空いたんだしぃ、良い匂いしてたからぁ」
ハコザキはどうやら財布の中から何かの紙を一枚出して、そこに座っていた男の横に置いた。
「ん? あれ……オレ、これ売った覚えないんだけど、まあいいか」
どうもあの紙でエサが手に入るみたいだが、オレ様には価値がわからん。
まあいいや、オレ様は今ここにあるピザとポテトを食っていればいい。
そしてオレ様がピザを平らげた頃、ハコザキとアルカはそのクラブゴージャスとやらの入り口にいた。
「ここがクラブゴージャスの入り口だ、アルカちゃん、それじゃあ中に入るよ」
「わかったわよぉ、絶対、アタシから手を離さないでよぉ」
「う、うん。わかった」
「キャッどこ触ってるのよぉ、バカァ!!」
パシーンッ!
「おや、誰もいないのに音が聞こえた?」
「オイ、何をやってんだ、ミーティング始まるぞ」
どうやら数人の男達が何かを話しているようだ。
「いいか、てめえら。女なんてエサだ。アイツらは所詮頭の悪いやつしかこんな店には来ない。もっと頭のいい女はてめえらの手に負えるもんじゃねえ、だからてめえらは底辺女を持ち上げる事で骨までしゃぶってやれ。なーに、オレのマニュアルがあればどんなバカ女でもすぐに股を開いてお前らの言いなりになる」
そう言って金髪の男が全員をまとめていた。
どうやらアレがハコザキの言っている今回のオレ様のエサらしいな。
「ひどーい、アイツら何なのよぉ、あんなクズ、全員ギリギリギリバツーンとねじ切れちゃえばいいのよぉ!」
「アルカちゃん、声が出てる!」
「誰だ!? そこに誰がいる!!」
「しまった!」
どうやら屈強な男達が声のしたアルカの居るあたりに走ってきたようだ。
仕方ないな、ここでアイツらが捕まるとロクなことにならん。
オレ様は拠点移動魔法でハコザキとアルカを一気にホテルの部屋に呼び寄せた。
「うわっ!」
「キャアッ!!」
ドサッ。
二人共どうやらベッドの上に振ってきたようだ。
「キャーッ! どこ触ってるのよぉ、このエッチ!!」
バチーン!
ハコザキが頬をアルカに叩かれたようだ。




