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【40万PV突破!】いつ、この地位から離れよう。〜勇者の末裔を筆頭に、凄い人たちで構成された組織の代表です〜  作者: とい
序章 誕生と組織結成までの軌跡

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暗殺組織壊滅作戦

「そろそろ【スプーリ】が切れる頃だ」


「ちょうど良いですね。さすがです」


 腕を組むアイト、隣で賞賛するエリス。


「んぅ‥‥‥? う〜んぅ‥‥‥?」


 そして、襲撃者の少女が目を覚ます。短い黒髪を振り乱し、周囲をぼんやりと見つめている。


「お姉ちゃん!」


 やがて起き上がった彼女は、目の前にいる弟を見て狼狽する。


「え、ヨファ? 本当にヨファなの!? なんで‥‥‥大丈夫、怪我はない!?」


「うん平気だよ!」


 そして弟ことヨファを、彼女は力強く抱き締めた。姉と弟、念願の再会である。


「よかった‥‥‥本当に無事でよかった!!」


「この変な人とお姉さんが助けてくれたんだ!」


「!! この、2人が、なんで‥‥‥」


 襲撃者は疑問に感じていた。自分が襲いかかった上に、何も事情を話していない。


「‥‥‥」


 それにも関わらず弟を助けてくれたことで、困惑を強めていた。


「お姉さんっ! 変な人! 助けてくれてありがっ、と‥‥‥」


 少女はヨファの頭の後ろに手を回し、人差し指指で後頭部を突いた。


「ぅ‥‥‥」


 すると彼は意識を失ってしまい、声が途切れる。


(え、何したんだ??)


 アイトは困惑しながら傍観していると、少女が立ち上がって弟のヨファを抱える。


「とりあえずヨファを安全なところへ移す。すぐに戻ってくるからここで待ってろ」


(なんで俺たちが命令されてるんだ‥‥‥)


 アイトは正直納得いかなかったが、今は渋々受け入れた。




 その後、黒髪少女はすぐに戻ってきた。


「さあ、話を聞かせてもらおうか。これはいったいどういうことだ」


 そしてアイトたちが誘拐犯という前提で、彼女から追及が来る。


「俺たちはヨファ君を誘拐なんてしてない。それはさっきの彼の様子を見ればわかるだろ?」


「それは、たしかに‥‥‥だが、だとしたらなぜこっちの事情が分かった?ヨファが拘束されてた場所を知ってた?無関係の奴がわかるはずがないだろう」


「それは私の特技で見つけました」


 するとアイトの代わりに、エリスが返答する。


「まず、あなたの記憶からヨファくんを探し出して、彼の魔力を理解します。次にヨファくんが現在どこにいるかを、彼の魔力を探知して発見したというわけです」


「そ、そんなことをやってのけたのか? にわかには信じられない」


「それは信じてもらうしかありません。それにレスタ様はあなたに勝ってるのですよ?」


「それは‥‥‥」


「もし私たちが誘拐犯なら、あなたたちは既にこの世にはいない。ですが私たちはヨファくんを救出した」


「‥‥‥」


「これで私たちが誘拐犯じゃないのは証明できるのではないですか?」


「‥‥‥その通りだ、な」


 少女はエリスの言葉を受け止め、頭を下げた。


「お前たちを誘拐犯と勘違いした。多くの無礼を謝罪する。それと弟を助けてくれて、ありがとう」


「気にするな。これにて一件落着だ」


 そして‥‥‥ここからがアイトとエリスにとって本題だった。


「それじゃあ‥‥‥屋敷から金銭になりそうな物を全部回収して帰るか! 迷惑料として!」


「そうですね!漁りまくりましょう!!」


 まるで盗賊のような発言をする主人公と、賛同する相棒。


「ーーーちょっと待て!!」


 軽やかな足取りで屋敷に向かおうとするアイトとエリスは、冷や汗を流す少女に呼び止められる。


「ま、まさか‥‥‥あの屋敷が、ヨファが捕らえられていた場所か?」


「うん、そうだけど?」


 アイトが簡潔に返事すると、彼女のの顔色がだんだんと悪くなる。


「嘘だ‥‥‥いや、気のせいかもしれない」


 彼女の独り言が続く。すると、アイトはまだ彼女に聞いていないことを思い出した。


「君、名前は?」


「‥‥‥ターナだ」


「ターナか。俺はあ‥‥‥レスタ」


 アイトは少し固まってから、偽名である『レスタ』を使う。


「あ。やっぱり、『静寂』のターナですよね?」


「!! それをボクの前で言うな!」


 嬉々として話すエリスに対し、ターナは顔を赤くしながら怒る。だが、微笑んだエリスは止まらない。


「アステス王国で名を轟かせている暗殺者に会えて光栄です。ね、レスタ様」


「ウン、そうだナ。暗殺者だもんナ」


 アイトは反射で相槌を打つ。ちなみに、エリスの話は全く分かっていない。


「私はエリスです。よろしくお願いしますね」


「ふん、何がよろしくだ」


(‥‥‥ん!? 暗殺者!?)


 2人が会話する中、アイトは今さら『暗殺者』という言葉に驚き唖然としている。


「ところで、さっきのお屋敷の方々がこんなものを持っていたのですが」


 それに気づいていないエリスが、自分の胸ポケットからバッジのようなものを取り出す。月のようなものが描かれてるバッジ。


「それは『ルーンアサイド』のバッジ!?」


「うん、そうだよ」


「や、やはりヨファを攫ったのはボクと同じ組織というのか!!」


「その通り」


 話についていけていないと思われたくないため、アイトはまるで知っている風に相槌を打つ。


(ぇ、同じ暗殺組織の構成員がヨファくんを誘拐だって? ど、どうして?)


 そして内心では考えがまとまらないアイトをよそに、エリスが詳しく話し始める。


「『静寂』のターナは、実力は優れているが必要最低限の仕事しか行わない。あまり賞金を稼がないと有名です」


「ソウイエバ、そうダ」


 アイトが適当に相槌を打つ間も、エリスの話は続く。


「おそらくヨファ君を人質に取ることで、無理矢理にでも暗殺任務を増やそうとしたのではないですか? もしくは単純にあなたを切り捨てようとしたか」


「‥‥‥いや、ボスがそんなことをする人間には思えない。ボスは信頼に足る人だ」


 2人が話す間も、アイトは全く会話についていけてない。だが蚊帳の外はなんとなく嫌なため、それっぽいことを言い始める。


「ターナ、君はその組織から抜けた方がいい。もしかしたらもう追手を手配されてるかも」


「いや、もし本当に組織の犯行だとして、ただ抜けただけだとヨファも狙われ続ける。それに聞きたいことが山ほどある」


「まあ、別に止めはしないけど」


「‥‥‥よし、決めた。『ルーンアサイド』の本拠地を制圧する」


「そっか、じゃあがんばっムグゥ!?」


 アイトは応援の言葉を送る途中で、エリスに口を押さえられる。そしてそのまま引っ張られ、ターナから少し離れた。


「ど、どうしたエリス?」


「アイト様! 協力しましょう!」


 そして2人きりの時は呼び方を変える、律儀なエリスである。


「え?」


「『ルーンアサイド』の本拠地は全くの謎。組織の構成員しか知らないのでしょう。つまり‥‥‥今ターナに協力すればその本拠地が私たちにもわかります」


「うん、それで?」


「本拠地には価値が高いものがたくさん‥‥‥それに押収品も多いはずです。必ず私たちに役立つものがあるはず。もし制圧できればそれをいただけますよ」


(なるほど! もし役立つものが無くても制圧して物色するのもありだな!)


 これが、主人公とその相棒の言動と行動原理である。


「あ、それなら!」


 するとアイトは、勢いよく踵を返してターナへ話しかける。


「ターナ! 本拠地に魔導書ってある!?」


「あ、ああ。これまでの押収した魔導書をいくつか保管してあると思うが」


「俺たちが君に協力して『ルーンアサイド』の本拠地を制圧したら、もらっていい!?」


「別にそんなものに興味ないからくれてやるが、もしかしてボクと組む気か?」 


「ああ手を組もう! 互いの目的のために!!」


 アイトは将来の生活のため。

 エリスは資金確保のため。

 ターナは本拠地の制圧のため。

 今ここに、三者三様の同盟が結ばれた。


「そうかレスタ。正直1人でやるつもりだったが‥‥‥今は猫の手も借りたい状況だ。だから感謝する」


「俺は猫か」


「言葉の綾だ。少しくらいは頼りにしてる」


「冗談だって」


「さすがレスタ様、私もついていきます」


 ターナは素直に感謝を述べ、エリスも乗り気。

 そんな2人を見て、アイトも同様に気分が高揚していく。それを見て、エリスは嬉しそうに微笑んでいた。


「さすがですね、レスタ様」


「ん?」


「あの『ルーンアサイド』の本拠地に攻め込むと決心するとは。それでこそ私の主です」


「ン?」


 だがエリスが明らかに気になる内容を呟いたことで、アイトの気分は急降下していく。


「『ルーンアサイド』はアステス王国の中で最大規模の暗殺組織。私たち3人だけなら相当苦労すると思いましたが、レスタ様にはそんなこと関係ありませんよね」


(‥‥‥??????)


「レスタとエリスが手を組んでくれるとなると、1人あたり約100人だな」


(‥‥‥???????)


「本来は天候や本拠地に何人いるかを何日も偵察して策を考えるつもりだった。でも3人だと今夜で制圧できそうだ」


(‥‥‥何言ってんのっ!?)


 アステス王国最大の暗殺組織。その規模の大きさを、アイトは見落としていた。




 「エエェぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!?」


 そして、もはや雄叫びに近い絶叫が炸裂する。


「出ました、レスタ様の歓喜の声! 大きなことの成し遂げる前で気分が昂ってるんですね! それでは私も。え、えええぇぇぇぃ」


「何だそれ!?ボクは絶対やらないからな!」


 なぜかそれを見て喜ぶエリスと、顔を真っ赤にするターナ。


「私たちはあなたと手を組んだのですよ? いわば今だけは同じ戦場に向かう同士。ですから波長を合わせていくべきかと、『静寂』のターナさん?」


「くっ‥‥‥わかったよっ、やればいいんだろ!?」



 こうして、3人は大声を出す。


「ムリぃぃぃぃ嫌ぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


「むりぃぃやああぁぁぁあ」


「‥‥‥むりぃぃやああ‥‥‥ほんとやだぁ‥‥‥」


 三者三様の声は、周囲の木々に吸収されていく。

      

(いや無理ほんと無理マジで無理はやく帰ろ?)


 アイト、エリス、ターナ。

 僅か3人による‥‥‥暗殺組織壊滅作戦が始まる。


 ◆◇◆◇


 暗殺組織『ルーンアサイド』所有の屋敷付近。


「あの子を助けたか。誰かは知らないけど、もしかしたら想像以上に上手く行くかもしれないなぁ」


 深い森の中で、1人の青年が声を弾ませる。


「掻き乱してくれることを期待してるよ‥‥‥仮面くん♪」


 そして薄ら笑いを浮かべ、木々を移動していく。

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― 新着の感想 ―
アイトくん、まるでコナンに出てくる眠りの小五郎みたいになってる笑
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