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【40万PV突破!】いつ、この地位から離れよう。〜勇者の末裔を筆頭に、凄い人たちで構成された組織の代表です〜  作者: とい
序章 誕生と組織結成までの軌跡

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魔眼はーーーの便利機能

「【スプーリ】」


 アイトは躊躇なく睡眠魔法を襲撃者にかける。


「‥‥‥すぅ、すぅ」


 これでしばらくは目を覚まさない。襲撃者の黒のフード付きローブは、既にエリスが剥ぎ取っている。


「まさか女の子だったとは」


「私は最初から気配で気づいてましたよ」


「え、本当に魔眼ってすごいな」


「お褒めにあずかり光栄です」


 襲撃者は黒髪ショートで青色の瞳。背は低く、少し幼く見える。


「素顔を見れたので名前も把握しました。ですが名前は後に本人から聞きましょう」


「あ、ああ」


(そういえば魔眼で名前もわかるんだったな。顔見られただけで知られるとかプライバシーもクソもない)


 勇者の魔眼持ち相手だと、名前を一方的に知られることになるのだ。アイトは内心、相手に同情して愚痴をこぼす。


「レスタ様?」


「ん、なんでもないよ? とりあえずエリス、始めてくれ」


 アイトはぎくりと驚きながら必死に誤魔化し、彼女に指示をした。


「はい」


 するとエリスは、眠っている襲撃者の顔に自分の顔を至近距離まで近づける。


「【透視】」


 そう言った直後、エリスの両目が輝き始める。両目の瞳に刻まれた、勇者の聖痕が反応しているためだ。


 【透視】。


 勇者の魔眼の特性の1つ。相手を至近距離で見つめることにより相手の記憶や感情の流れを読み取ることができるという離れ業。

 ちなみにアイトは、それを自分には使わないのかと聞くと、彼女にこう返された。


『主であるアイト様の中を覗き見るなんて無礼でしかありません。それにもし覗いたところで私ごときでは理解できないです』


(いや理解できると思うよ? いかに俺が普通で一般人であることが。むしろお金払うから見て!?)


 アイトは以前、正直に全てを話したことがある。

 平穏に過ごしたいから、動く時は仮面を付けていると。


『存在を知らしめて力を誇示するのではなく、自分の動きやすさを重視する。さすがの慧眼です』


 だがこのように、エリスには全く理解されなかった。もはや何を言っても良い方に捉えられるという悪循環。

 エリスは魔眼で思考を読み取ろうとしないので、アイトの真意が全く伝わらない。それは今も。


「‥‥‥ふぅ、なるほど」


 するとエリスが襲撃者の顔から離れる。


「この子が家に帰ると、『弟が連れて行かれた』と近所付き合いのあるお婆さんに聞いてますね」


「うん、それで?」


「そしてこの子の家の扉には手書きの伝言が。『弟を預かった。明日に取引を行う。取引の場所はーーーーー』うん、ここです」


(おい。すっごい偶然だな)


「ちなみに私たちを狙った理由は、近所のおばさんから聞いた誘拐犯の特徴に当てはまってたから、らしいですよ」


(ホッッッ‥‥‥よかったぁぁ〜〜〜。意図的に狙われたわけではなさそうだな)

 

 とりあえず勘違いで襲われただけだと知り、アイトは安堵を漏らす。


「それで、誘拐犯の特徴って?」


「連れ去っていったのは2人組。片方が顔を隠している男性で、もう片方が金髪の女性だったようです」


(うん。そりゃあ俺たちと誤解するわな)


 あまりにも酷使している特徴に、アイトは無関係ながら襲撃者にどこか罪悪感を感じた。


「どうやら弟くんを助けるのが、彼女の誤解を解くなら1番手っ取り早そうだ」


「はい。それにこの人の記憶から弟さんを把握しました。彼の魔力を【探知】すると、拘束されてるのは近くの大きなお屋敷です」


「え、そんなことまでわかるの」


「はい。そこには金銭的な物もあるかと。もしかすれば今日だけで資金調達の目標を達成する可能性があります」



 【探知】。


 魔眼の特性の1つ。自分が知っている人物の魔力を察知し、遠くの位置からでも発見できる。相手に魔力が無いと知ることはできない。


 【透視】で相手の記憶を探り、【探知】で探したい人物の魔力を特定する。あまりにも親和性が高く反則とも言える能力。


(もはや魔眼はスマホの便利機能だな。この世界に携帯端末は無いし‥‥‥いいなぁ勇者の魔眼)


 それをアイトは至極どうでもいい例えで考えた後、気を取り直して発言する。


「さあ弟くんの救出兼、濡れ衣晴らしに行くか」


「あの、アステス王国の領地内ですので王国関係者に見つかるとすごく厄介です」


「え? ここアステス王国領なの?」


 アステス王国とは、アイトが暮らすグロッサ王国領と隣接している国。互いに同盟を結んでいるため、国同士の協調性は高い。


(ちょっと遠くまで足を運び過ぎたな)


 気付けばアイトたちは隣国の領地内まで来ていたのだ。それも、国境を無断で越えて。





 それから暫く後。

 アステス王国について話をしながら、アイトたちは目的地付近に到着した。


「あそこです。あそこの屋敷にいます」


 エリスが指を差したのはここから数十キロメートル先の屋敷だった。ここからだと建物の輪郭しか見えない。


「あそこか。それじゃあエリス、頼む」


「はい、お任せください」


 意気揚々と返事したエリスは右目の前に右手の親指と人差し指で輪っかを作り、その穴から遠くの建物を見つめる。するとエリスの目が少しだけ輝き始めた。


「ふむふむ」


 エリスが踵を浮かせて指の穴から血眼に建物を見る。魔眼の力ではるか遠くを見渡し、注視するとその物の内部構造まで把握しているのだ。


(もう魔眼ってなんでもありだな‥‥‥無双系主人公かよ)


 ちなみにそのポーズには意味があるのかと、アイトは未だに聞けないでいる。


「見つけました! ここから見て2階、1番右の窓から見える部屋の天井裏です!」


「天井裏‥‥‥?」


 アイトは彼女の情報を聞き、どこか腑に落ちなかった。でも今は救出が最優先だと割り切る。


「それじゃあ、ここからの弟くんとの物理的直線距離と高さを教えてくれ」


「え〜と、レスタ様が立っている場所から直線距離はーーー」


 エリスが両手を動かして説明すると、アイトは頷いて右手を伸ばす。


「了解。それじゃあ、ここくらいかな」


 そして言われた座標の位置に‥‥‥半径1.5メートルの【異空間】を発動させた。空間魔法である。


「‥‥‥よし、弟くんが入った手応えがある。あとは俺たちがあの屋敷を制圧して、目標の座標で異空間を開ければ救出できる」


「さすがですね」


「いや別にエリスに比べれば全然‥‥‥まあいいか。念のため魔眼を維持してくれ。屋敷内の戦闘は俺に任せろ」


 アイトは担いでいた襲撃者を地面に下ろし、襲撃者の周辺で風魔法を発動させる。


(周囲に魔物の気配は無いし、練度の低い俺の風魔法でも充分大丈夫だろ)


 意識のない少女を案じて、外敵から守るように風の壁を作ったのだ。


「よし、それじゃあ行くぞ」


 そしてアイトたちは、あまり深く考えずに他者の問題に足を突っ込んでいく。




 屋敷内。


「敵襲っ、敵襲だぁぁぁぁ!!?」


 そんな声が上がるが、アイトとエリスは全く気にも留めなかった。

 

「レスタ様、階段を上がってところに2人が待ち構えてます!」


「ん、了解!」


 アイトは階段を登らず跳躍して階段を一気に飛び越え、待ち構えていた2人を視認する。


「よいしょッ!!」


 そして階段の手すりを蹴って方向転換。それを見て驚いている様子の1人を回し蹴りで沈め、もう1人は武器を構える前にぶん殴った。

 互いに競って切磋琢磨していたアイトとエリスは、屋敷内の敵など相手にならなかった。


「もういないかな」


 これでアイトたちは屋敷内にいた約20人を倒した。襲撃者に身柄を渡すことを考え、命までは取っていない。


「これで屋敷内の人は全員ですね。完全に制圧しました」


 階段を上がってきたエリスがそう言った。アイトはすぐに先を歩き始める。


「よし、弟くんの場所まで急ぐぞ」


「はい!」


 アイトたちは目的地の部屋の天井裏に着いた。アイトは左手で異空間をもう一度発動させる。すると中から襲撃者の弟が出てきた。


「大丈夫? すぐに外すから!」


 アイトは口に巻かれている布、手足を縛っていたロープを外す。すると、襲撃者の弟は笑顔になった。


「うん? 君、すごいうれしそうだね」


「なんかさっきの空間、すごかった! すっごく楽しかった!」


(うん、肝が座ってるわこの子)


 アイトが感想を呟く間にも、元気な少年の会話が続く。


「ところで、変な人とお姉さんはだれ〜?」


「こちらの変な人はレスタ様、私はエリスです。事情があって、君を助けに来たんです」


(エリスさん? 変な人で話を進めないでくれるかな??)


 アイトが眉を顰める間も、エリスと少年との会話は更に続く。


「あ! お姉ちゃんって知ってる!?」


「君のお姉さんなら外で眠ってますよ」


「ホント!?」


 目を見開いて呟く彼に、アイトは小さく頷く。もう会話はエリスに任せていた。

 この男‥‥‥変な人発言をかなり根に持っている。


「ええ、だからついてきてほしいの」


 エリスが優しく微笑んで話す。すると少年は少し困ったように眉を下げて、一点を指差す。


「え〜? 変な人についていかないようにってお姉ちゃんが言ってたよぉ〜。怖いよぉ‥‥‥」


(‥‥‥俺、助けた側なんだけどなあ。もういっそこの変装、解くか?)


 腕を組むアイトが額に青筋を立てる。そして変装を解くか迷っていた間に、エリスが笑顔で話しかける。


「大丈夫、お姉さんがついてるから。ね? いっしょに行きましょう? 私のこと、信用できないかな?」


「うんわかった! お姉さんの後ろについてく!」


(こ、このガキ‥‥‥コホン、おちつけ。俺は大人だ。こんなことで怒ってどうする。まあ男なら、綺麗なお姉さんに夢をみる時期は誰にだってある)


 アイトは何か言い訳しながら、綺麗なお姉さんことエリスと共に襲撃者の弟を助け出したのだった。

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― 新着の感想 ―
私もハーフエルフのお姉さんに助けられたい……。 魔眼、便利だな……これがあれば私も名探偵になれる…。
とりあえずここまで読みました! 主人公がとんでもなく強くなっていく! その経緯について、子供の時から段々と、詳細に描いているのがとてもよかったです! その上で登場しているキャラクター、主人公以外の…
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