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【40万PV突破!】いつ、この地位から離れよう。〜勇者の末裔を筆頭に、凄い人たちで構成された組織の代表です〜  作者: とい
2章 ギルド連携魔物討伐体験

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結束早すぎない?

 グロッサ王立学園武術大会から1日。


 アイトたち生徒は普段の学園生活に戻っていた。


『何負けてんのよっ!!』


『‥‥‥(ふるふる)』


『アイトくぅ〜ん、残念でしたね〜‥‥‥』


 アイトは自分の試合に負けた後、マリアたちと合流して男子の部の試合を見た。


(ユリア王女‥‥‥やっぱり勘付いてる)


 ユリアだけは少し深みのある笑みを浮かべていて、アイトは少し気苦労が増えていた。


(やっぱり、あの王子は別格だな‥‥‥)


 そして、男子の部で優勝したのはルーク。それは大会が始まる前から、誰もがそうだと思っていた。

 そしてギルバート・カルスは10位だった。まだ1年生で10位に入った大剣使いの彼は、当然注目されていた。


「ーー!おい、ちょっと付き合え」


「え? 俺?」


 放課後。

 アイトは話しかけられていた。絶賛注目の的である、ギルバート・カルスに。


「そうだ。ついて来い」


「あ、ああ。わかった」


 アイトは席から立ち上がって、先を歩くギルバートについて行く。



 着いた先は、グロッサ王国の平原だった。


(あれは‥‥‥確か同じクラスの)


 そこには、アイトと同じクラスである藍色髪の少女がいた。彼女は杖を持っている。


「クラリス、頼む」


「はいはい‥‥‥【ミラージュ・サークル】」


「!?」


 アイトは身構えた。いきなり、女の子が魔法を発動したためだ。


「落ち着け。攻撃じゃない。ただの隠れ蓑だ」


「ちょっと!? 頼んでおいて何よその言い草!!」


 アイトは2人のやりとりを聞きながら、周囲を確認する。どうやら3人の外側を‥‥‥透明な円形サークルで覆っているようだった。


「これで外からオレたちのことは見えねぇ。さあ話してもらおうか。昨日の件を」


「昨日の件? 何だよそれ」


 アイトは目を丸くして聞き返す。何を言われているか分からなかった。

 そして、ギルバートが大声で捲し立てる。


「とぼけるな! オレの目は誤魔化せねぇ!!」


「‥‥‥何が?」


「お前、()()()()()()()()()()()()()()()!!!」


 ◆◇◆◇


 それは、昨日の試合で起きた‥‥‥一瞬の出来事。


(ーーー速い!!)



 キィンッッ


 金属の衝突音が響く。


 アイトはギルバートの想像以上に速い動きに、つい身体が反応し咄嗟に大剣を捌いていた。

 それも、ほとんど完璧に弾き飛ばした形で。ギルバートが、目を大きく見開きながら狼狽えている。


(やばい! 止めたことに気づかれる!!)


 そこでアイトは捌いた自分の剣が、後ろに流れていることを活かすことにした。


「ーーー!」


 剣が吹き飛ばされたように見えるよう、咄嗟に投げ捨てたのだった。


 ◆◇◆◇


(! まさか、気づかれていたとは)


 アイトは決して表情には出さず、心の中で驚きを見せる。そして『意味が分からない』と言わんばかりに、肩を竦めながら口を開いた。


「‥‥‥何のことだ」


「安心しろ。別に誰かに話す気はねぇ。興味ないからな。オレは本気のお前と再戦したいだけだ」


「‥‥‥はあ?」


 ギルバートの言葉に、アイトは思わず呆れながら声を返してしまう。


「もし誤魔化したまま再戦しないなら‥‥‥今回のことを、そうだな。ブラコンで有名なお前の姉に話してやる」


「!? お、おい。言っていい事と悪い事がーーー」


「ならオレと戦え」


(な、なんだこの戦闘狂。カイルや姉さんみたいな脳筋性格じゃないか)


 もし昨日の件を姉に話されたら、アイトにとって地獄が待っているのは確実。それが王子であるルークにも伝われば、まさに平穏の終わり。


「‥‥‥わかった認めるよ。本気で戦えば良いんだな? そうしたら、誰にも言わないよな?


 アイトは戦う事を選んだ。ギルバートの漢気を信じて、本気で戦うことを。


「ああ、二言は無え。クラリスも言わねえよ」


 ギルバートが歯を見せて笑うと、後ろで控えていたクラリスと呼ばれる少女も頷く。

 だが、アイトは必死の形相で念押しした。


「なぁ、特に姉さんには言わないだろうな!? 本当だろうな!?」


「だから言わねえっての。興味ねえし」


「本当に言わないだろうな!? 嘘だったら承知しないからな!!?」


「しつけえよッ!!?」


 まるで罵り合いでもしているかのような、2人の大声がぶつかり合う。


「‥‥‥そんなに気にするなら、こいつに証人になってもらうさ。それでいいだろ、クラリス」


「そうね。別に構わないわよ。それで良いかしら、ええ〜っと‥‥‥あ、自己紹介しないと」


 少女が少し落ち着かない様子で、手を動かしながら口を開く。


「あ、あ、あたしはクラリッサ・リーセル。よ、よろしく」


「あ、どうもアイト・ディスローグです。よろしくお願いします」


「あっ、う、うんっ‥‥‥よ、よろしく」


 クラリッサが急に顔を真っ赤にして視線を逸らす。アイトは不思議そうに首を傾げている。


「何クラスメイトに人見知り発揮してんだ。ほんと直んねえよな、お前」


「っ!!」


 ギルバートが答え合わせと言わんばかりに呟くと、クラリッサがキッと睨み付けていた。


「ほらよ、アイト。さっさと始めようぜ」


 そんな事はいざ知らず、ギルバートが左手に持っていた物を、軽く投げる。


「‥‥‥準備がいいな」


 アイトは飛んできた物を右手で掴む。それは、刃がない鉄製の剣だった。つまり、昨日の試合と同じ。


「昨日お前が使ってたものと同じ物だ。もちろんオレの大剣も同じ物」


 ギルバートが右手の大剣を見せ付けると、アイトは剣を振りながら尋ねる。


「ルールは?」


「昨日と同じで構わねえ。それじゃあクラリス、合図してくれ」


 簡潔な言葉と共に、両者が武器を構える。アイトは右手に剣を持ち、ギルバートが両手で大剣を掴んでいる。


「それじゃあーーー始め!!」


 そして、クラリッサから開始の合図が宣言された。


「ウラァァァァァァ!!!」


 昨日の試合と同じように、ギルバートが全力で突進する。まさに重戦士の特攻である。


(昨日俺が剣を投げ捨てた時の速度か。魔法じゃないけど【血液凝固】も反則だろうな)


 アイトは淡々と剣を構えながら、迫り来るギルバートを待ち構えた。



           キィィィンッ!!



 昨日と同じく、金属音が鳴る。だが、昨日よりも音は大きい。

 アイトは真っ向から大剣を弾いたため、より音が響いたのだ。


「やるじゃねえか! やっぱり手を抜いてたな!!」


「‥‥‥」


 ギルバートが大剣の重量を物ともしない速さで、すかさず連撃を繰り出す。アイトは武器の重量では負けているため、攻撃を受け流していく。


「くっ、やっぱり重いな。脳筋かよ」


「褒め言葉だと受け取っておくぜ!」


「ああ、褒めてるよ」


 その後もギルバートの攻撃をアイトが全て受け流す。その攻防がしばらく続いた。





 やがて、審判をしているクラリッサな、冷や汗を流していた。


「ギルの攻撃を真っ向から受け流すなんて‥‥‥あの男子、いったい何者なの??」


 彼女の口から、無意識に言葉が漏れる。予想外の試合展開に、驚きが隠せていない。


「はあっ、はあっ、はあっ。当たらねぇ!!」


「‥‥‥大剣の重量だ。それだけ振り回せば疲れてくるだろ」


 ギルバートの息は肩が上下するほど乱れているが、アイトの息は全く乱れていない。まさに、


「でも、さすがに少し疲れてきた。終わりにしよう」


 アイトは迫り来る大剣の縦振りを躱した直後、一歩踏み出してギルバートの襟元を掴む。


(大剣はリーチが長い分、これだけ接近されると大変だ。こんな風に掴まれたら大剣を振れない)


「ちっ!? ッラァァッッ!!!」


 ギルバートが雄叫びを上げながら、咄嗟に頭突きを繰り出す。


(それに大剣だと軽い武器に比べて、体術を使う機会が極端に少ない。いや、使えないのかもな)


 アイトは慣れた動きで右足を踏み込んで、彼の両足を難なく払う。


「グハッ!!」


 足を刈られたギルバートが声を上げて地面に倒れた。


「‥‥‥」


 アイトは倒れた彼の額に剣を向け、衝突する直前でぴたりと止めた。


「これで良いかな?」


 そう呟いたアイトは、淡々とギルバートを見下ろしていた。


「はあっ、はあっ、はあっ‥‥‥ああ、完敗だ!!」


 ギルバートが降参を宣言し、勝敗が決した。

 アイトは剣を下ろして手を差し出し、ギルバートを立ち上がせる。


「お前超強えな! 見直したぜ!! 今までは女侍らせてる軟派なやつだと思ってたが、 今日で意見が変わった! やるじゃねえか!!」


「え? 俺、そんなふうに思われてたの‥‥‥?」


 アイトは少しショックを受けた。自分がそんな評価をされていると流石に傷ついた。主に、姉のマリアが元凶であるが。


「いやオレの個人的な意見だ。そんなことより、なんで実力隠してるんだ?」


「えっと、それは‥‥‥」


 アイトは思わず視線を逸らして小声で呟く。なんて答えればいいか分からない。

 だが、ギルバートの話が続いていく。


「オレたちとお前が手を組めば、魔法に頼り切った優等生気取りのAクラスをぶっ倒せる!!」


「いやぶっ倒すって‥‥‥」


「1年の頂点に立って、天下取ってやろうぜ!!」


 ギルバートが話も聞かずに突っ走っていく。アイトは苦笑いを浮かべながら首を振った。


「いや取らないよ。それに、こっちにも事情があるんだ。言わない約束だろ?」


「ちっ、もったいねぇ!」


 ギルバートが悔しそうに言った後、気を取り直したように前を向く。


「じゃあ、オレと友達になってくれ! それなら良いだろ! お前、面白いからな!」


 そして、右手を差し出しながら彼がそう言った。


「良いの!? ぜひこちらからお願いするよ!」


 アイトからすれば、それは願ってもない提案だった。同じクラス内での初めての友人‥‥‥そんな甘美な響きに、アイトは笑顔で右手を差し出す。


「よっしゃ! これからよろしくなアイト!!」


「こちらこそよろしくギルバート!!」


 そして、2人は熱い握手をする。その後、2人は‥‥‥なぜか肩を組み合っていた。


「「はっはっはっはっはっ〜!!!」」


「あんたたち、結束早すぎない‥‥‥? 男って本当バカよね‥‥‥」


 そんなアイトたちを、クラリッサが呆れた様子で見つめる。


「あっ、わ、私も友達になってあげるから!」


「! ほんと!? ありがとうリーセルさん!」


「ふ、ふんっ!」


 こうしてアイト・ディスローグは、同じクラス内の友人ができた。

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