幕間 カンナの模倣日記‥‥‥?
謎の組織『エルジュ』、その代表『天帝』レスタ。 その正体は学生アイト・ディスローグ。
そんな彼が‥‥‥【終焉】を放った数日後。
「こっちこっち〜!」
「ちょっ、そんなに急かさないでください」
カンナとエリスは、とある無人島に来ていた。
「それで、私に見てほしいものって何ですか?」
エリスが少し呆れ気味に呟いた瞬間、カンナは『待ってました』と言わんばかりに目を細めて笑う。
「ふっふっふっ‥‥‥レスタくんの【終焉】!」
「え、ええ!?」
カンナは両手を前に出し、両目を閉じて集中する。
そして、アイトの【終焉】を‥‥‥自身の『無色眼』で映し出す。
「いけるよっ!!」
両手の指に複数の属性魔力を発動させ、それを混ぜ合わせて発動するーーー。
「ーーーふにゃあぁぁ!!?」
するとカンナは突然変な声を上げ、勢いよく前向きに倒れる。その際、集結させていた彼女の魔力は、真っ直ぐ飛び出していく。
「やっちゃったぁぁぁ!!?」
「‥‥‥」
一直線に飛んでいくカンナの魔力は‥‥‥近くの無人島に接触する。
ーーー!!!
直後、瞬く間に消し飛んだ。まるで映像で見た【終焉】のような迫力と強風が周囲に吹き込む。
「‥‥‥本当に、【終焉】です。レスタ様が放った魔法と、ほとんど変わらない‥‥‥っ」
エリスはすごいと思った反面、嫌だと感じた。
(アイト様の魔法なのにっ‥‥‥)
アイトの凄まじい魔法を、簡単に模倣されたことに不快感が募っていた。
「‥‥‥(むすぅ)」
そして表情に出てしまうほど、彼女は機嫌が悪くなった。少し顔を下げて頬を膨らませる。
「あ〜! 失敗だぁ〜‥‥‥やっぱり無理かぁ〜!」
するとカンナがうつ伏せで倒れたまま、苦笑いを浮かべて呟く。
「ぇ」
エリスは顔を上げて、表情に色が付いていく。
「‥‥‥失敗ですか?」
「うん、さっき私が指に出せた属性魔力は5個だけ。レスタくんのは10個だったよね?」
「はい‥‥‥そうです」
「5個出しただけでも、私は魔法の制御ができずに変な方向に飛ばしちゃった。模倣でも再現不可能なんて、さすがレスタくんだね!」
彼女の言葉を聞き、エリスは目を見開いて‥‥‥えっへんと腰を逸らす。
「‥‥‥そうですよ。レスタ様は本当にすごいんですからっ!」
エリスは誇らしげに言い放つ。そんな反応に、カンナが思わず笑い出す。彼女は今もうつ伏せのままで。
「カンナ、そろそろ起き上がったらどうですか?」
エリスは優しく話しかけた。だが、カンナが苦笑いを浮かべて気まずそうに視線を逸らす。
「‥‥‥実は、【終焉】を模倣した影響で、体が全く動かない、ですっ‥‥‥」
「‥‥‥は?」
そんな彼女を、エリスは淡々と見下ろしていた。
「模倣したものと私の相性が極端に悪いと、跳ねっ返りが体に来てこうなっちゃうんだよ〜」
「‥‥‥へえ」
「完璧に模倣できてないのにこの有様‥‥‥【終焉】の模倣は諦めるしかないかぁ〜」
「‥‥‥そうですか。じゃあ帰ります」
淡々と話すエリスは、躊躇なく踵を返して歩き始める。当然、カンナが冷や汗をかいて慌て始める。
「ま、待ってエリス! 置いてかないでよ〜!!」
「‥‥‥まさか、私に担いで帰れと??」
エリスの目線が、完全に冷え切っている。機嫌の悪い彼女に、カンナが返した反応は。
「‥‥‥おねがい♡」
よりにもよって、こんな反応である。
「自業自得です」
「待って待って待って!? そんなひどいっ! それになんで怒ってるの!? エリスってば〜!!」
なぜエリスの機嫌が悪いのか、カンナには分かっていなかった。
「‥‥‥アイト様は凄いんだもん」
「ただいま‥‥‥」
その日‥‥‥カンナが拠点に帰ったのは、真夜中だったという。




