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【40万PV突破!】いつ、この地位から離れよう。〜勇者の末裔を筆頭に、凄い人たちで構成された組織の代表です〜  作者: とい
序章 誕生と組織結成までの軌跡

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いつ、この地位から

「‥‥‥ヨファくんよ。お兄さんに納得のいく説明をしてくれないか?」


 建物の裏に隠れたアイトは、一緒に連れてきたヨファに情報を求める。


「え? なにを?」


 だが、ヨファは全く現状が分かっていない。アイトは諦めずに聞き続ける。


「なんでもいいんだっ、この拠点で起こってることならなんでも!!」


「うーん、急に言われても‥‥‥あ、お姉ちゃんは上司になる変な人に、テストされてるんだった!」


「上司、変な人‥‥‥まあなんでもいいか、とにかく教えて?」


 情報ならなんでもいいと言わんばかりに、アイトはぐいぐい彼に詰め寄った。ヨファが屈託の無い笑顔で話し始める。


「え〜とね‥‥‥お姉ちゃんが言ってたのは」


「言ってたのは!?」


「『自分のため、平穏のため、そしてレスタが代表として動く組織』!」


「は??」


 アイトは素っ頓狂な声を出す。


「『レスタが組織の代表で気に入らない』!」


「お、おう」


 アイトは苦笑いを浮かべ。


「『発案者はエリスとボス』!」


「ふぁ!?」


 アイトは困惑の声を漏らした。


「う〜ん、たぶんこんな感じだと思う!」


「‥‥‥あ、ありがとう」


 自信満々に話を終えるヨファ。

 アイトは感謝を告げることしかできない。


「じゃあ僕行くね〜! またね〜!」


「あ、はい。情報ありがとう」


 もはや敬語になってしまうほど、アイトは情緒が壊れてしまった。


 ヨファの一言一言は、まさに情報の嵐。


(‥‥‥俺のためって何!? いったい何が理由で何のためになんで!?)


 結局、アイトはますます頭を抱えることになった。




 訓練場。


(とりあえず、言われた通りに来たけど‥‥‥)


 渋々と足を運んだアイトは、見覚えのある男が視界に入る。


「おお!! 久しいなレスタ殿!」


 それは1年半前、誤解したまま死闘を繰り広げたラルド・バンネールだった。

 アイトはやけに慕われてると困惑しながらも、なんとか挨拶を返す。


「う、うん久しぶりラルド。ところでーーー」


「訓練場の上で見つからずに待機しててくれ!私の合図で訓練場へ入ってきて欲しい!」


「あ、おいラルド!?」


 だが再会の余韻はすぐに終わり、待機してほしいと指示を受けた。


 全く意味の分かってないアイトは、訝しげに中の様子を覗き見る。


(‥‥‥うげっ!? なんだあの人数!?)


 そこには軍隊と見間違えるほどの光景が広がっていた。隊列を組んだ人たちは、ザックリ数えても3桁は確実に超えてそうな人数だった。



「これより、成績上位10名の発表を行う。呼ばれたものは前に並ぶように!」


 すると、ラルドが大きな声を出して司会を務める。


(何が始まるんだよ‥‥‥)


 アイトは自分に幻影魔法をかけて透明になっていて、意味不明な大きさをした訓練場の上に浮かんで待っていた。


(絶対っ、碌な事じゃないっ)


 そして、間違いなく嫌な予感を感じていた。

 彼らに成績発表を行うのは、教官であるラルド。


(あんた教官だったのね!?)


 アイトは教官がラルドであることを、今まで全く知らなかった。


「それでは‥‥‥『エルジュ戦力序列』上位10人を発表する!!」


(なんだその仰々しい言葉の羅列はっ!?)


 アイトはツッコミが止まらない中、10人が発表される。


「第10位‥‥‥メリナ!」


(茶髪のおさげである女の子。初めて見る子だな)


 アイトは感想を呟く。


「第9位‥‥‥ミスト!」


(君、この組織の訓練生だったの!? でも、あの水色ショートの髪は見間違うはずがない)


 アイトは感想を呟く。知っている子だった事で驚きが増している。


「第8位‥‥‥リゼッタ!」


(以前会った紫髪のロングの幼い女の子だ。見間違えるはずがない。元気だったんだな!)


 アイトは感想を呟く。まるで近所のお兄さんのような立ち位置の言葉を送る。


「第7位‥‥‥オリバー!」


(緑髪の小柄な男。初対面だな)


 アイトは感想を呟く。


「第6位‥‥‥ミア!」


(相変わらず白と黒のまばら髪の長い女の子。元気そうで良かった。なんかこっち見てくる。え、もしかして幻影魔法解けてる?)


 アイトは感想を呟く。そして目が合っている。


「第5位‥‥‥カイル!」


(赤髪の筋肉隆々の男。頭には2本の角。前会った時よりも強そうだし怖そう)


 アイトは感想を呟く。少し怖気付きながら。


「第4位‥‥‥アクア!」


(どこか眠たそう。知ってる子だ。あの長い青髪は印象に残ってる)


 アイトは感想を呟く。釣られて欠伸あくびしながら。


「第3位‥‥‥カンナ!」


(銀髪ツインテールの女の子。名前を呼ばれてすごく嬉しそう。あれ、前会った時と髪色が違うな。でも活発なのは変わってないだろうな)


 アイトは感想を呟く。どこか違和感を覚えつつ。


「第2位‥‥‥ターナ!」


(ターナ!? あいつも訓練生だったのか。ん、待てよ、もしかして1位は‥‥‥)


 アイトは感想を呟く。驚きつつも、何かを悟る。



「第1位‥‥‥エリス!」


(‥‥‥やっぱり。この人数で1番って、がんばったんだなエリス‥‥‥)


 アイトは感想を呟く。完全に保護者のような目線で。



 そしてエリスたち上位10名が、訓練生の前に横1列で並ぶ。


「以上の10名を、エルジュの精鋭部隊、『黄昏トワイライト』に任命する!!!」


(は、はあ‥‥‥? なんだそれ? エルジュって‥‥‥あ!!あれか!)


 聞き覚えがある単語を聞いて、アイトは『エルジュ』という言葉を思い出していた。


 ◆◇◆◇


 エリスがまだ、アイトの家にいた時の話。


「アイト様。好きな言葉って何かあります?」


「ん? 好きな言葉? ‥‥‥そうだな。ジュエルいや、『エルジュ』かな」


 それは、宝石好きなアイトが考えた言葉。

 ジュエルと言いかけたが、それでは捻りがないと思ってエルジュと言ったのである。


「うん、『エルジュ』って良い響きだよな」


 どちらであっても、捻りがないのは言うまでもない。


 ◆◇◆◇


(そのまま組織名になってるじゃねえか!?)


 アイトのツッコミが、普段よりも冴えている。いやそんなことを言ってる場合ではない。


(それに精鋭部隊『黄昏トワイライト』って‥‥‥俺に直属の、精鋭部隊‥‥‥!?)


 そして、アイトは心の中ですら絶句した。突拍子の無い事の連続で、頭が麻痺してきている。


「序列10位に入った者はもちろんのこと、ここにいる全員、今までよくやった!! 私の訓練に長期間耐えたのだ!! 誇りに思って欲しい!!!」


 訓練場では、ラルドが力強い言葉を紡いでいる。まさに教官としての立ち振る舞い。


「君たち1人1人は素晴らしい力を持っている!! そしてこれからも努力を重ね、『エルジュ』に貢献してもらいたい!! 私も、全力で支えたいと思う!!」


 訓練場にいる訓練生が歓声を上げた。するとラルドが、その歓声に負けないほどの声量で話し出す。



「そして‥‥‥エルジュ戦力序列第0位、エルジュ代表のレスタ殿から皆に話がある!!!」



         (ハアっっ!!!?)



 アイトは決して過言ではなく‥‥‥人生で1番の衝撃を受けた。


(ちょいちょいちょいちょい!?)


 勝手にラルドの訓練を受けた精鋭たち。そんな組織の代表に選ばれている。そして、なぜか多くの人たちから歓声を受けている。


「レスタ殿、さあご登場を!!!」


 気づけば成績上位10名の前に、表彰台のような物が置かれている。つまり、アイトはあれの上に立てと示唆されていた。


(絶対いやだッ!!!?)


 アイトは頭が沸騰し始める。


(なんだこの空気っ、いつの間に組織なんて作ってたんだ!! しかも俺が代表の組織ってなんで!? ていうかこれ登場しないとダメ!?)


 だが、逃げ出すわけにはいかない。理由は下にたくさん並んでいる。


(ラルドが鍛え上げた精鋭っ、しかも人数っ‥‥‥絶対に無理だっ!!)


 ここで逃走すれば、大勢の訓練生に殺されるのは明白。


(下手をすれば‥‥‥エリスにすら)


 最悪、彼女に消されるという未来を想像した。


 もはや、アイトに取れる選択肢は1つしかなかった。



「ーーーー」


 アイトは、自分にかけていた幻影魔法を解く。そして凄まじい速度で表彰台の上に着地し、その瞬間に振動魔法と音魔法を発動させて、衝撃音を鳴らす。

 少しでも、威厳と存在感を見せ付けるために。


「‥‥‥‥‥‥」


 アイトは遂に、訓練生全員と対面した。高校の集会の表彰式の光景と同じ。


「‥‥‥代表のレスタだ」


 そう話した瞬間、ものすごい歓声が上がる。


(初対面だよ!?)


 アイトは素直に恐怖を感じている。なぜこんなにも熱烈な視線を向けられているのかと。


(変な齟齬があるとバレてしまう。なるべく、穏便に‥‥‥)


 なるべく素の態度で話そうと心に決めた。威圧して不満を買えば後が怖かったからである。


(そうだっ、別に俺自身がバレたわけじゃない! レスタという架空の人物を見せつければ‥‥‥)


 『エルジュ』代表レスタは、自分の仕事だと思うことにした。正直、そうやって前向きに考えなければ、アイトは発狂しそうだった。


(暫くは俺で、その後は向いてそうな人に‥‥‥!)


 だが少しずつ今の地位の後継者を匂わせ、誰かに譲ろうと決めた。それしか活路は無いと強く確信した。


 そして、全く知らなかった少年の演説が始まる。


 ◆◇◆◇


 謎の組織‥‥‥『エルジュ』。

 グロッサ王国で暗躍し、精鋭揃いの実力者集団と噂される‥‥‥まさに謎に包まれた存在。


「‥‥‥‥‥‥」


 その代表が、平凡であるはずがない。

 代表である男は今‥‥‥大勢の前に立っている。その姿、まさに威風堂々。


「‥‥‥‥‥‥」


 そして、多くの構成員と向かい合っている。

 銀髪、目元を仮面で隠す‥‥‥そんな彼の雰囲気は、どこか異質で近寄りがたい。

 そんな彼に‥‥‥構成員330人が注目している。


「きゃあァァ!!!!!! 本物よぉぉ!!!!」


「こ、これは夢か!? 夢なのか!?」


「カッコいいぃぃぃぃぃ!!!!」


 人数に比例する声が、幾度にも響き渡る。まさに音の弾幕。これでは、まるで声がーーー。



           バツンッ



 突然、彼は音魔法を放った。周囲に静寂が訪れる。まるで、それを狙ったかのように話し出した。


「‥‥‥落ち着いたか。先に言っておくことがある」


 淡々と話す彼の言葉に、全構成員が注目している。全ての視線を、独り占めしている。


「まず、これは俺を崇める組織じゃない。自分たちのために戦う集団なんだ。俺を崇める必要なんてない」


 そんな中で、彼は淡々と話し始める。自由性を説き、皆を諭すように簡潔に。


「今は俺が『エルジュ』の代表だが、すぐにでもこの座は降りることになるだろう。君たちのような、心強い仲間がいるのだから」


 この地位には固執しない。彼はそんな口振りで、話を終えた。



   「「「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」



 湧き上がる歓声。それを聞いても微動だにしない彼は、まさに代表の器なのか。


「さすがレスタ様です」


「ふん」


「レスタくんカッコいい!」


「うるさ〜。眠いんだけど〜」


「ハッ、代表の座は俺がいただくぜ」


「おにいちゃん最高〜♡ ミア、今が1番幸せ〜♡」


「これがエリスさんの主‥‥‥さすがの貫禄ですね」


「レーくん、すごすご」


「熱狂しすぎですよぉぉぉッ!!」


「やっぱり代表ってすごいね」


 大勢の前に並んでいる、個性豊かな10人。

 330人の中から選ばれた、文字通りの精鋭たち。

 彼女たちは声に出して、代表の男を讃えていた。


「‥‥‥‥‥‥」


 そして『エルジュ』の代表、レスタ。

 組織の頂点に立つ彼の実力、知略、カリスマ性など‥‥‥どの分野でも、他に並ぶ者無しと言われる。

 そんな彼は‥‥‥今こう思っていた。



    (‥‥‥いつ、この地位から離れよう)

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― 新着の感想 ―
とうとう、謎の組織『エルジュ』というキーワードが出てきましたね! まさか、そのネーミングや設立にそんな経緯があったとは……。 続きもぜひ、読ませていただきます!!
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