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完璧美人の幼馴染上司&生意気可愛い後輩美少女の同僚に、結婚を迫られています!  作者: 軽井広@北欧美少女コミカライズ連載開始!
第四章 同棲への最後の一歩

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自慢の彼女

 同棲、という言葉に信一は動揺する。「同棲」は単なるルームシェアと違って、異性が恋人として同居するというニュアンスが強い言葉だ。


「真帆乃……俺は……」


「だって、もう問題は解決したわ。私、信一との関係を隠すつもりもないし」


 佳奈の前で、真帆乃は信一の幼馴染だと宣言した。それは他の警察関係者の前でも、隠すつもりはないということだろう。


 それ自体は大きな問題はないが、同棲することもいずれバレるだろうし、なんなら真帆乃は宣言するつもりかもしれない。


「でも、本当に大丈夫なの?」


「信一は大事な幼馴染だもの。一緒に住んでいることだって、触れて回ってもいいくらい」


「そ、それは恥ずかしいからやめてほしいな……」


「私と一緒に住んでいるのが恥ずかしいの?」


 真帆乃がちょっとむっとした様子で頬を膨らませる。

 慌てて、信一は手を横に振る。


「そ、そんなつもりはなくて……噂されるのが恥ずかしいというか……」


「私、自慢の彼女になれると思うんだけどな」


「か、彼女!?」


 真帆乃もうっかり口がすべったと思ったのか、顔を赤くして首を横に振った。


「い、今のは……その……えっと……べつに私が信一の彼女になりたいっていうわけじゃなくて……信一が彼女になってほしいならなってもいいけど……」


 真帆乃が支離滅裂なことを口走る。

 信一もうろたえて、結局、話題を変えることにした。


「え、えっと、梨香子ちゃんのことなんだけど……」


「あ、逃げたわね。信一のヘタレ……」


 真帆乃が顔を赤くして、抗議する。


 でも、逃げないと困ったことになる。ただでさえ、信一は真帆乃に正面から抱きつかれていて、ドキドキさせられているのに、「彼女になる」なんていう話を聞かされたら冷静でいられない。


(逃げないということは、真帆乃を押し倒してしまうかもしれないのに……)


 信一はそんなことを考えて、そして深呼吸した。


「俺と一緒に住んでいるのを、梨香子ちゃんに知られたら困るんじゃないの? さすがに妹に同棲相手が俺なのはバレる気がするけど……」


「別にいいの。梨香子に知られても」


「え? でも、こないだは梨香子ちゃんから隠れたよね?」


「私、梨香子には遠慮しないって決めたから」


 真帆乃ははっきりとそう言った。

 

(遠慮しない? どういう意味だろう……?)


 梨香子は信一を恨んでいるかと思っていたが、意外にも会いたがってくれているという。

 そのあたりの事情はよくわからないが、真帆乃と梨香子の関係以外にも問題はあるのだ。


 真帆乃は信一をじっと見つめる。


「今でも、梨香子の事件のこと、罪悪感を持っているんでしょう?」


「……そうだね。これからも一生、俺は梨香子ちゃんを見捨てたことを後悔すると思う。真帆乃さ、俺はこんなやつなのに、真帆乃と一緒に暮らすなんてそんなことできないよ」


 真帆乃の同居の提案にうなずけなかったのは、過去の事件のことがあるからだ。梨香子が誘拐され、信一はそれを黙ってみていた。真帆乃は信一のことを責め、そして絶縁した。


 今の真帆乃が信一をどれほど強く求めてくれていても、信一が真帆乃をどれだけ大切にしたいと思っても、過去のことは変えられない。


 けれど、真帆乃は首を横に振った。


「過去のことは信一のせいじゃない。何も気にしなくていいの。悪いのは、私だから」


「だけど……」


「それに、信一は私を助けてくれたでしょう?」


「だからといって、それで帳消しになったりしないよ。俺は――」


 やっぱり信一に、真帆乃と一緒に住む資格はないと思う。梨香子が恨んでいないといっても、梨香子に永遠に消えない傷を残したことは変わらない。

 それに、もし真帆乃を守れなかったら、という心配もしてしまう。そのことがすごく怖かった。


 ネガティブな言葉があふれそうになる。

 けれど、真帆乃は信一に抱きついたまま、そっとその赤いみずみずしい唇を、信一の顔に近づけた。


 柔らかく、熱い感触がする。信一は一瞬何が起きたかわからなかった。

 キスされた、ということを理解したのは、真帆乃が数歩後ろに離れた後だった。

 

 真帆乃は顔を真っ赤にして、ビシッと信一に指を突きつけて睨む。


「か、勘違いしないで! これはお礼のキスなんだから!」


「お、お礼……?」


「私を救ってくれたお礼……ありがとう、信一」


 真帆乃はそう言って、恥じらうようにふたたび信一にそっと身を寄せた。

 信一の胸に顔をうずめる。


 一方、信一は過去最高に動揺していた。


(お、お礼……? キスが……?)


 ここは日本であり、挨拶のように普通にキスを交わす欧米ではない。

 しかし、真帆乃は「お礼」なのだと言い張っている。


 真帆乃は信一にしがみついたままだった。


「初めて……だったんだからね?」


「え? それって……」


「ファーストキスだったの」


 真帆乃は男と付き合ったことがないと言っていたから、不思議な話ではないけれど、それでも衝撃だった。

 ファーストキスをお礼で上げてしまっても良いのだろうか……?


 信一が言うと、真帆乃は「だって……」と拗ねるように言う。


「ずっと昔から、信一にファーストキスは上げるつもりだったんだもの」

 

「え?」


「ともかく、信一は、清楚で完璧なエリート美人の私のファーストキスをもらうぐらい、大事なことをしてくれて……価値のある存在だってこと。わかった?」


 真帆乃が上目遣いに信一を見て、嬉しそうに笑った。

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