永遠×昔話
「陽菜の土産はこれにしようか」
いつものように出張先で陽菜への土産を買った。
そして陽菜と会う約束の日。土産を持ち部屋を尋ねた。
「陽菜、土産ここに置いておくぞ」
「うん。ありがとう。どこ行ってたの?」
「おいおい、その包みを見てわからないのか? ってか、見てないやん! こらぁ〜! 北海道だよ。めっちゃ寒かったわ」
「えっ? お兄ちゃん! 北海道に行ってたの? 行く前に教えてよ! 買ってきて欲しいものあるのに。えぇ〜、北海道かぁ。ん〜、おかえりお兄ちゃん」
──文句を言いつつも、ちゃんとおかえりと言ってくれるところは可愛いんだよな。
「欲しいものって、これじゃないの? 陽菜これ好きだろ?」
「わぁ〜! そうそうこれこれ!」
──陽菜の北海道土産は絶対コレだと思ったんだよ。好きだもんな白いカップル。
そんな話をしているとやけに救急車のサイレンが鳴り響く。大きな事故でもあったのか? 何台もの救急車のサイレンが通り過ぎていった。
「大きな事故とかあったのかな? みんな大丈夫だったら良いね」
妹の陽菜は昔、赤色灯をくるくる回しながら大きなサイレンを鳴らして走っていく救急車を見るのが嫌いだった。それでいつも。
「"永遠にぃ”って涙目で呼んでは、俺の上着の裾をぎゅっと握って震えてたよな」
「そんなことあった?」
「救急車を怖がる可愛い妹だったのに、今ではなろう大学附属病院で看護師してるんだもんな」
「もう、そんな昔のこと覚えてないよ」
可愛い妹が、だんだん遠くに行ってしまいそうな気がした。いつまでも俺の上着の裾を掴んでいてくれるような気さえしていたのに……。
「土産も渡したし、そろそろ帰るわ」
「お兄ちゃん、お土産ありがとう」
玄関を出る俺に、手を振って見送ってくれる妹の陽菜。「また来るな!」もう少し俺だけの可愛い妹でいてくれよと心の中でそう呟いた。




