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藤堂先生×鴻上先生

「お疲れ様です」


「藤堂先生お疲れ様です。そうそう、ナースステーション寄りました?」


「いいえ、社食からそのままこっちに来ましたから。何かありました?


「依元師長が陽菜ちゃんに無理難題言ったみたいで陽菜ちゃん、いっぱいいっぱいになっちゃったのか泣いちゃって」


 医局に来るなり病棟での出来事を知らされた。何があったんだろう?ナースステーションに顔を出してきたら良かった。


「今は落ち着いてるんですか?」 


「ナースステーションに居づらくなって医局に逃げてきたところです」


「えっ? ゴタゴタ続行中なんですか?」


「どうだろう? まぁ、坂倉さんいるしなんとかなるんじゃないかな。まぁ、俺らが居ても役に立たないでしょうから医局に篭っていましょうか」


 いやいや、助けるという気持ちはないのだろうか? まぁ、看護師の問題に医師が介入するわけにいかない。陽菜ちゃんのフォローは後からしてあげようと密かに思った。


 その時、医局の内線が鳴った。近くにいた鴻上先生が受話器を取る。


「NICU医局、鴻上です」


 俺は私用のスマホを取り出し陽菜ちゃんへメッセージを入れようとアプリを開いていた時、鴻上先生の電話の様子が慌ただしくなったような気がして、視線を向けると


「直ぐに行きます」


 そう言って受話器を置いた。


「急変ですか?」


「いや、陽菜ちゃんが倒れたらしい」


 えっ? 陽菜ちゃん!?


「俺も行きます」


 ふたりで医局を飛び出しナースステーションに向かった。ナースステーションを見渡すと、坂倉看護師に介抱されている陽菜ちゃんがいた。いち早く鴻上先生が気づき、陽菜ちゃんの様子を確認している。ここでは寝かせてあげられるところがない。どうしたものかと考えていると鴻上先生が


「藤堂先生、仮眠室って今誰か使ってたっけ?」


「空室になってたと思います」


「そこに運ぼう。師長、医局仮眠室に点滴セット持ってきてください」


「わかりました」


 そう言ってすぐに準備に取り掛かる依元師長。俺は鴻上先生に


「俺が陽菜ちゃん運びます」


 鴻上先生は、クスッと笑い


「頼んだよ」


 そう言ってひと足先に医局へ戻りベッドの確認へ行ってくれた。


「陽菜ちゃん、医局の仮眠室へ行くから、ちょっと抱き上げるよ」


 返事もないけど声をかけて抱き上げた。医局へ連れていき仮眠室のベッドに寝かせて、軽く診察をする。胸の音も血圧も正常だった。点滴を入れて様子を見ることに。


「藤堂先生、ここをお願いしても良い? カンファレンス室呼び出された」


「大丈夫です。陽菜ちゃんは、みておきます。いってらっしゃい」


 鴻上先生を送り出し、しばらくして陽菜ちゃんが目を覚ました。


「陽菜ちゃん、気分はどう?」


 今の状況がわかっていないようで、えっ?と驚いているようだった。


「ナースステーションで倒れちゃったんだよ。無理しちゃったかな?」


「ご迷惑をおかけして、ごめんなさい」


 陽菜ちゃんは、泣きそうな表情で俺に謝ってくる。別に謝るようなことしているわけでもないのに。


「大丈夫だよ。気にしないで」


「藤堂先生……」


 陽菜ちゃん!?


「うん、どうした?」


 俺の名前を呼んだ後の言葉が続かない。甘えたいんだけど、言えないのかな? 仕方ない助け舟を出そうかな。とことん陽菜ちゃんに甘いなと自覚しつつある。


「大丈夫、大丈夫。傍で支えていくから。今日は一緒に帰ろうね」


 そう言うと陽菜ちゃんは、小さく頷いたのがわかった。


「藤堂先生、病棟に戻ります」


「点滴、もう少しだから終わったらで良いんじゃないかな」


「わかりました」


 点滴の落下を少しコントロールして、陽菜ちゃんが少しでもここでゆっくりとできるように、落下速度を遅めにした。それを陽菜ちゃんも見ていてわかったのか


「藤堂先生、見ちゃいました」


 クスッと笑いながら俺に伝えてくるから俺は、


「内緒だよ」


 そう言って笑い合った。ゆっくりさせて身体を落ち着かせ、帰りに一緒に帰ることを約束して陽菜ちゃんをナースステーションへ送り届ける。


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