弥生先輩×敏腕ナースさとるん
「弥生先輩、ここ腫れてないですか?」
会って早々、陽菜ちゃんに見つかった。
「そうなの、段ボール箱片付けてたら捻っちゃって。すぐに冷やしたんだけどね」
「ドクターに診てもらいましょう。その方が安心じゃないですか」
そんな会話をしていると、いつの間にかナースステーションに居た岩崎先生が。
「僕、診ましょうか?」
その一言に、その場にいた全員が、いやいや、お前じゃ無理だろと思ったに違いない。その時、天の助け!? が現れた。
「レントゲン撮って、異常が見られたら外科に依頼出しましょう。とりあえず、僕がレントゲンのオーダー出しますよ」
そう言って診察を申し出てくれた鴻上先生。そして弥生先輩はレントゲン室へ。
「三崎弥生さん、どうぞ」
レントゲン室の扉の前で待っていると、すぐに呼んでもらえた。中に入りすぐに撮影と思っていると……。
「うわっ、結構腫れちゃってますね」
──いやいや、お前、技師でしょ!?
「すぐに冷やしたんですけどね」
「それではここに手をのせて、撮りますよ。動かないでこのままでお願いしますね」
すぐに撮影されるかと思いきや。
「もう少し左側にお願いします。あっ、それ行き過ぎです。はいはい、そこで固定でお願いします」
──私に調節させないで、この機械を動かしたら良くない? 怪我人にあれこれ指示出し過ぎじゃない? 新人かっ。パッと見、私より絶対年長者だよ!
「では角度を変えてもう一枚撮りますね。それでは、腕をこうして、はいそこで固定でお願いします」
──なんで2枚? 失敗したの? 1枚で自信ないのか?
「はーい、お疲れ様でした。これから仕事戻られるんですか?」
「はい」
「周産期医療センターだと別棟ですもんね。すぐに仕上げて送っておきます。お大事になさってくださいね」
「ありがとうございました」
周産期医療センター。NICUナースステーションに戻ってくると。
「弥生先輩、お帰りなさい」
陽菜ちゃんが声をかけてくれた。
「ただいま」
鴻上先生がカルテ記入をしていたが、私に気付くと。
「三崎さん、画像転送? 受け取り?」
「送っておきますって事でした」
「そろそろ届くかな? 確認してみるね」
「よろしくお願いします」
画像が届いていたようで、鴻上先生が確認してくれている。
「骨に異常なさそうだね。良かったね。湿布処方しておこうか?」
「良いんですか? よろしくお願いします」
「ここに届くようにしておくね」
「助かります。ありがとうございます」
鴻上先生とのやりとりを聞いていた悟が。
「弥生先輩、薬剤部から湿布が届いたら僕が貼ってあげますね。敏腕ナースなので」
「初耳だわ。悟が敏腕ナースだったなんて」
「弥生先輩、手痛いから意地悪言いたくなっちゃったんですね。早く治しましょうねぇ」
──誰かこいつを止めてください。暴走にもほどがあります!
「じゃあ、私の分も大いに働いてもらおうか。敏腕ナースさとるん」
私がポロッとこぼした言葉「敏腕ナースさとるん」は、今年の流行語として、早速ウチの病棟で流行る事になった。




