悟×岩崎先生
「悟、午後からカンファあったよね? 先にご飯行っておいで」
「真智先輩、良いんですか? ありがとうございます。それじゃあ、みなさん、お先にご飯いただいてきます」
「いってらっしゃい」
みんなに送り出されて、社員食堂へ向かう途中で声がかかった。
「さと君、今からお昼?」
「あっ、岩崎先生お疲れ様です。そうなんですよ。先輩たちが先にご飯行っておいでって言ってくれたので、いちばんにご飯入りました」
「僕も今からご飯だから一緒に食べない?」
──岩崎先生にご飯誘われた! 男同士ここは親睦を深めよう。
「もちろんです! 社員食堂ですか?」
「時間もないし、安くて美味しいよね」
「はいぃ!」
岩崎先生と並んで社員食堂へ行き、食券を買いに券売機の前で食べたいものを選ぶ。
「岩崎先生、今日の日替わりランチ定食、プリン付きですよ」
「ほんとだ。日替わりランチは……唐揚げかぁ。僕は青椒肉絲定食にしようかな」
それぞれ食券を買い列に並ぶと、おばちゃんに券を渡し準備してもらう。
「おばちゃん、ご飯大盛りね! 午後から大変なの。だからもりもり食べておかなくちゃ」
そう言うとおばちゃんは。
「そうかい、ならポテサラおまけにつけてあげようね。しっかり食べて頑張るんだよ」
「おばちゃんありがとう! 大好きだよ」
おばちゃんは笑顔で僕のトレイに、おまけのポテサラを乗せてくれた。そしてなんとプリンを2個乗せてくれた。
「仲良しのお医者さんとふたりでお食べ」
そう言って僕達にウインクをして、手際よくご飯の準備を整えるおばちゃん。
岩崎先生と窓際の空いている席を陣取り、お昼ご飯をいただく。
「先生、プリンどうぞ。おばちゃんからの愛ですよ」
「この前、シュークリーム食べ損ねたからプリン嬉しいありがとう。さと君」
「えぇ? 先生シュークリームを食べ損ねたんですか? それは一大事じゃないですか!」
──もしかして、チラッと小耳に挟んだ事があるシュークリームの神隠しだろうか?
「岩崎先生、それって医局で噂されている『シュークリームの神隠し』ですか?」
「さと君、そうなんだよ。僕のシュークリームが忽然と消えたんだよ! 冷蔵庫からね」
「それは怖いですね!」
「そうだろう。誰も食べてないって言うんだ。それに食べたゴミも無かったしね」
「岩崎先生、まさかオバケとか言わないですよね?」
「さと君……だよね? やっぱり、そう思う? 僕も最近そう思う様になったんだよ。先生達は知らないって言うから、もうコレはさと君の考えが合ってるとしか思えないよ」
僕は岩崎先生と手を取り合い。
「怖いですよね。病院だけにあり得る話ですよね! 絶対にいらっしゃいますよね」
ふたりで抱きしめ合い、ブルブル震える。
その様子を、偶然社食の前を通りかかった弥生先輩が見ていた。
「ん? 悟は何をブルブルしてるのよ。テーブルのプリンより震えてるじゃないの。あっ、そうだ。面白いから、ナースステーションで話してやろう」
足取り軽く、弥生先輩は病棟へと戻って行った。




