陽菜×依元看護師長
「矢崎さん、手が空いたら来てもらえるかしら」
担当の子のオムツを替えバイタルチェックを終えたところで、依元師長から声をかけられた。
「看護記録に記入してからでも良いですか?」
「大丈夫だからゆっくり書いて。終わったら師長室に来てもらえる?」
「あっ、もう書き終わります」
「あら、早いのね」
看護記録をラックに戻すと、師長の元へと向かい、そのまま二人で師長室へと向かった。
「急な呼び出しでごめんなさいね」
師長が第一声で謝罪してきた。何かあるな。と私の中で黄色信号が点滅し始める。
「いえ、大丈夫です」
「早速で悪いんだけど、陽菜ちゃんに1日接種会場のヘルプに行ってもらいたいの」
「接種会場?」
いきなり接種会場のヘルプと言われても、何の予防接種なのか静注なのか筋肉注射なのかでも違うんですけど。依元師長、わかってると思いますけど、私達の病棟では普段扱わない手技のヘルプってことを。
「そうよ。来週特別会場が大会議室に設置されるから、NICUからは藤堂先生と陽菜ちゃんが当番として行くのよ」
「COVIDですか?」
「そうそう。筋注だからいけるでしょ。以前もヘルプ行ったわよね」
「ええ、行きましたよ。大流行の接種会場で100名近くの方に接種させていただきましたけど」
嫌味を込めて言ってみるものの依元看護師長に勝てるはずもなく。
「まぁ、それならベテランクラスねぇ。頼もしいわぁ〜。って事でよろしくね。ひぃ〜なちゃん」
そう言い残して、手をひらひら振り休憩室に消えていく。ってか、休憩かい! と心の中でツッコミを入れる。藤堂先生と一緒かぁ。頑張ろう。




