新生児×退院
ボクは小さく生まれたらしくNICUといわれるお部屋で保育器の中にいる。優しい看護師さん達がボクのお世話をしてくれている。
「おはよう。起きたかなぁ。今から藤堂先生の回診があるから頑張ろうねぇ」
みんなが陽菜ちゃんって呼んでいる看護師さんがいつもボクのお世話をしてくれる。
「なお君、藤堂先生にもしもししてもらおうね」
そう言って陽菜ちゃんが、サッと場所を空けると藤堂先生と呼ばれていた人が保育器の丸いところから手を入れてボクの身体に、何かを当てている。先生は真剣な顔でボクを診てくれている。
「採血して結果が良かったら薬剤の量を減らそう。指示書すぐに書くから午前の部に乗っけられる?」
「わかりました、すぐに採血して午前の部で、あげておきます」
「頼むよ」
ボクの横でお話ししている。しばらくして陽菜ちゃんが何かを持ってボクのところへ来た。
「なお君、ちょっとだけ頑張ろうね」
そう言ってボクに笑顔でお話ししてくれる。ボクの足のかかと部分を冷たい何かで拭き拭きして
「ちょっとチックンするよ。頑張るよ」
一瞬、いつもと違う何かが起きた。かかとから数滴赤い雫を何かに入れて、冷たい何かでかかとを押さえている。
「なお君、頑張ったね。偉かったね。ちょっと止血するからかかとギュッてするね」
陽菜ちゃんは、いつもお話ししながらボクのお世話をしてくれる。とっても嬉しい。
そんな日常が数ヶ月続き、保育器からコットと呼ばれるベッドに移動になった。そしたら毎日が、いろんなことが待っている。
「なお君、お腹すいたね。ミルクの時間だよ」
そう言って陽菜ちゃんは、ボクを抱っこしてくれてミルクをくれる。幸せな時間のひとつ。 ミルクが終わると縦に抱っこされて背中を優しくトントンってしてゲップさせてくれる。そうしたらボク眠くなって寝ちゃうんだ。陽菜ちゃんの抱っこが気持ちいい。起きたら
「なお君、お風呂に入ろうね」
陽菜ちゃんがボクを裸ん坊にして、お風呂に入れてくれる。これがとっても気持ちいい。陽菜ちゃんの手は魔法の手みたい。ボクを幸せな気持ちにしてくれる。
「なお君、もうすぐお家に帰れるね」
陽菜ちゃんがボクにこう話しかけてくれた。お家に帰れる? よくわからないけど、良い事みたい。陽菜ちゃんが笑顔だから。ボクも嬉しくなっちゃう。
何日かして、朝からボクはいつもと違う服を着せられて陽菜ちゃん以外の看護師さん達がボクに話しかけてくれる。
「なお君、やっとお家に帰れるね」
「お母さん来たよ。良かったね」
いっぱい話しかけてくれる。陽菜ちゃんが抱っこしてくれて話しかけてくれる。
「なお君、お母さん迎えに来てくれたよ。元気でね」
そう言って陽菜ちゃんからボクを迎えに来てくれたお母さんに抱っこが変わった。
ん? いつもと違う! この抱っこ違う!
「うえ〜ん」
ボクはいつもと違う違和感に泣いちゃった。
「看護師さんの抱っこが大好きだったもんね。尚輝は」
そう言いながらボクをトントンしてくれる。わかってるなら陽菜ちゃんの抱っこにして〜と訴える。
いつものお部屋を出て初めて外へ出た。眩しいくらいキラキラした世界がボクを待っていた。




