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陽菜×悩み
師長に言われたこと考えないでもないけど、今ここを離れたくはない。
「陽菜ちゃん、交換研修会に参加してみない?」
「えっ? 交換研修会ですか?」
「そう。総合子供医療センターへ1ヶ月。ここでは学べないことを学べると思うわよ。あなたが目指している看護をより身近に感じられると思う」
誰にでも声が掛かるわけではないと分かっている。師長が、私を推薦してくれる気持ちも嬉しい。でも、看護師になりこの病棟でしか働いたことがない。1日の研修会は何度か参加させてもらって勉強させてもらった事もある。
「陽菜、悩んでる?」
「真智先輩」
きっと師長から聞いたんだろう。答えを出せない私に真智先輩は、寄り添ってくれる。このあたたかい雰囲気の病棟を出て、私は勉強ができるのであろうか。
「陽菜、日勤終わったらご飯食べに行こうか」
「はい」
「その時に、いろいろ聞いてあげるから。ひとりで悩まなくたって良いんだよ」
真智先輩の心遣いに感謝して、午後からも笑顔で頑張ろうと思えた。
「陽菜せんぱ〜い、ももちゃんおしっこぉ〜。お湯替えてくださ〜い」
「今行く」
悟のいつもと変わらないこの声に、何かが吹っ切れたような気がした。




