藤堂先生×尾行
医局を出てナースステーションへ向かう途中で、鴻上先生と出会い一緒にナースステーションへ向かう時に意外な事を聞くことになった。
「藤堂先生、後ろ振り返らないでくださいね」
そう、ひとこと小声で言われて続け様にびっくりする事聞かされる。
「藤堂先生の後をつけられてますよ。服装からしてナースです」
「えっ、ただ方向が同じと言うだけでは?」
「試してみましょうか。一度、この角でこのファイルを見るために止まってみましょう。関係なかったら通り過ぎていきますから」
鴻上先生の提案に即、反応して角で立ち止まりファイルを開いて2人でそれらしい会話をして様子を見る。通り過ぎると思っていた人物は鴻上先生の読み通りあちらも立ち止まり物陰に隠れる。隠れきれてはいないが。
「確定だね。このまま下の職員休憩所に行って隙を作ってみよう。目的がわかるかも知れないし。藤堂先生にお時間があればだけど」
「鴻上先生は大丈夫ですか?」
「もちろん大丈夫だから声かけた」
「それじゃあお願いします」
鴻上先生に教えてもらわなかったら気がつかなかった。無事に、事がおさまることを願うだけだ。
売店に寄って飲み物を買って休憩室に向かう。やっぱり後ろを着いてきてる。鴻上先生が、売店で商品を選んでるフリをして確認していたから間違いないそうだ。そんな事を思っていると職員休憩室に着いた。
鴻上先生と奥の窓際の席に座り、様子を見ながら作戦会議をする。
「目的がわからないと怖いね」
「鴻上先生が気づいてくださらなかったらわかりませんでしたよ。よくわかりましたね」
「数日前も見かけたんだよ。藤堂先生の背後で」
「えっ!」
衝撃的な事実を知った。知らなかった。そんな会話をしていると、じっとこちらを見ている看護師。一体何がしたいんだ。
「白黒はっきりさせようか。病棟に絡んでこられたら厄介だし」
鴻上先生が、解決に向けて動いてくれるようだ。
「そうですね。このまま毎回尾行されても気持ち悪いので」
そう言ったら、その後の鴻上先生の行動は早かった。
「あなたに付け回されるくらい僕達が、あなたに迷惑をかけましたか?」
まさか声をかけられるとは思ってもみなかったようで鳩が豆鉄砲を喰らったような驚きをしていたが、チャンスとばかりにこちらへやってきた。
「私、外科病棟の看護師をしている小早川愛です。配属希望で藤堂先生のNICUを希望したんですけど適性で落ちちゃって。でも藤堂先生とお近づきになりたかったからその機会を伺っていました。良かったらお付き合いしたいです」
うわ、自己陶酔型の痛い子だったか。
「こうして付き纏われると逆効果って思わないの?」
鴻上先生が諭してくれている。全く聞く耳を持っていない様子みたいだけど
「じゃあ、どうやってお知り合いになったら良かったんですか?」
「それはストーカー紛いな行動じゃなくて、他に方法なんて考えたら思いつきそうじゃないのかな」
まぁ、確かに一般病棟の外科と周産期医療センターでは接点がなく建物も別館だから。
「小早川さんだったかな、正攻法で会ったとしても、あなたの気持ちに寄り添えることはないです」
「でも、結婚されていませんよね!」
「結婚はまだしていませんが、結婚したいと思っている女性はいますから」
「嘘っ! 絶対に私を断る口実でしょ!そんな嘘つかなくたって良くないですか」
「何故、嘘だと思うんですか?僕が誰を好きで想いを寄せていても関係ないですよね。どうであれ、あなたとお付き合いする気はない事には変わりませんから」
「…………」
こちらを凄い形相で睨みつけて、職員休憩室を出て行く外科病棟の看護師。
「鴻上先生ありがとうございました」
「猪突猛進って感じだったね。自分の意見が正しいって思い込んでる時点でアウトだよね。それにしても藤堂先生モテますねぇ」
「一方的な想いだけで付け回されて不快なだけです」
そんな時、偶然にも外科病棟の看護師長と外科部長が何やら重たそうな荷物を持ってこちらにやってきた。
「おや、鴻上先生達も息抜きですか?」
いや、息抜きではなく……あっ、外科!? 俺の思いに気づいた鴻上先生は、今の出来事をこのふたりに話して聞かせた。この後の事は、このふたりに任せよう。
わざわざ外科まで行って話すつもりはなかったが、たまたまここで会ったので、話したと言うのが正しいだろう。 とにかく鴻上先生に感謝だ。早期解決してくれた事がありがたかった。




