前田×失言
「前田君、やらかしたね」
通りすがりの弥生先輩に声をかけられた。きっと今の陽菜を怒らせた事だろうと自覚する。
「本人がイライラしてる時にして笑って許される暴露話ではなかったわね」
「そうでしたね。あんなに不機嫌になると思ってませんでした」
「減点だわ。前田君。同期でも陽菜は主任なんだから、やり返されるわよ覚悟しておくことね。陽菜ちゃんにヒントあげなくちゃ」
いやいや、弥生先輩。油を注ぐのはやめてください。アイツ怒るとマジでヤバいから。
「いやいや、ヒントとか出さなくていいですから。このまま嵐が過ぎるのを待ちましょうよ」
「何かが起こるのは覚悟してるんだ」
「いやいや、学生時代から陽菜には勝てませんから」
「そんなことないでしょ」
「けっこう負けん気強いですよ。あいつ。悔し涙流しながら模型の人形相手に手技の練習してた時ありましたから」
「へぇ、可愛い時代があったんだね」
「弥生先輩、可愛いですか? 凄い形相してましたよ人形相手に。声かけづらかったですもん」
そんな話を弥生先輩としていると、
「前田君、暇そうだね! NICUの扉のポスター剥がれかけてたよ。よろしくね」
言うだけ言って、颯爽とナースステーションを横切り、師長と真智先輩に何やら話している。
「前田君、どんまい!」
「弥生先輩、ポスターは?」
「よろしくね。って言われてたよね?よろしく〜!」
いやいや、弥生先輩が、横道に話逸らしたからこうなったんだよね?
「前田先輩、ファイト〜」
悟が、横をすれ違いざまに声をかけてくれた。悟は陽菜の教え子だから、下手なこと言うのはやめておこう。ポスター直してこよう。




