陽菜×イライラ
私、イラスト苦手なんだよなぁ。どうしよう……。フリー素材からお借りしようかなぁ。あっ、小児科の同期の子に何かアイデアもらおうかなぁ。
理系卒のそして中学までの美術の成績、可もなく不可もなくの私に、病棟の飾り担当って無茶振りしてくるなんて!
「陽菜ちゃん、怖いお顔してるわよ」
師長、あなたのせいですけどね!
「そうですか?」
「ここの子達が採血受ける時みたいな、お顔してたわよ。眉間にすご〜く深い皺入ってたもん」
それをあなたが言いますか?そうさせたのはご自分だという自覚はありますか?
「私に無茶振りしてきた上司がいましたから」
チクリと嫌味を挟んでみる。
「まぁ、そんな上司にはなりたくはないわね。気をつけなくちゃ。あっ、センター長から呼ばれてたんだった。いってきま〜す」
言いたいことだけ言ってサッサと病棟を出ていく依元師長。イライラの心を落ち着かせるため、真智先輩を見習ってホワイトボードの依元師長の場所に『センター長から餌付け」と書いておいた。
「あはは、ウケる! 目に浮かぶ光景」
私の背後から大爆笑した瑠璃先輩が現れた。
「瑠璃先輩、師長酷くないですか?私がイラストとか苦手な事知ってて病棟の飾りつけを押し付けてくるんですよ」
「あはは、もう笑わせないでよ。ウケる」
そんな時、大学から同期の前田君が、話に参加してきた。
「瑠璃先輩、もっと笑えるエピソードありますよ」
「えっ、聞きたい!」
何を暴露するつもりなの? 前田君を睨んでみるけど適当に交わされる。
「大学の循環の講義の時、陽菜が心臓のイラスト書いて説明を書き足してたんです。それを教授が通りすがりに、何気なく見たんですよ。そしたら教授が『矢崎さん、これ心臓って言うよりジャガイモみたいね』って、講義室中大爆笑でした」
「わぁ、その場に居たかった!でもなかなかよね。心臓をジャガイモって」
後から覚えておきなさいよ!前田!
「小児科いってアドバイスもらってきます」
そう言い残して、病棟を出た。イライラMAXな私に、廊下ですれ違った岩崎先生が
「あっ、陽菜ちゃん。カレーのジャガイモはゴロゴロ派、とろとろ煮込み派?」
なんなの? カレーのジャガイモって!何で今なの! 岩崎先生のタイミングの悪さに思わず八つ当たり
「ジャガイモ無し派です!」
「ひぇ〜、陽菜ちゃんはさつまいも派だったか!」
ひとりブツブツ言いながら岩崎先生は医局方面に向かって歩いていた。
小児科の同期の永原真那ちゃんに飾り付けのアドバイスをもらいに小児科へ向かって歩き出した。




