岩崎先生×悟×怪奇現象!?
「今日の夜勤は、さと君だったんだね」
「あっ、岩崎先生。パトロールですか?」
いやいや、パトロールって。警察官でもなければ警備員でもないけど……。
「昼間、容体が安定してなかった紗羅ちゃんの様子を確認にね」
「それじゃあ、ご一緒します」
ふたりで沙羅ちゃんの保育器へ向かう。
「スヤスヤ寝てますね。モニターも正常です。ぐっすりねんねするんだよぉ〜」
さと君の紗羅ちゃんへの声かけを聞きながら、その様子を脇でみる。そしてナースステーションへ戻ろうと振り返った。
ん?
「さと君、今なにか、ひらぁ〜と横切ったよね?」
「ひらぁ〜じゃくて、ひゅ〜でしたよ」
「いや、どっちでも良くない?この際」
「で、今の何です? 岩崎先生!確認お願いします。僕、ここで良い子にしてます」
いやいや、さと君。ここ病院だよ!? 怖い現象案件だよ! そんな言い合いをしていると、足元に何か、カサカサ音がした。
「さと君、何か踏んでる」
さと君は、えっ?と声をあげて左足を上げた。
「いやいや、さと君、右足だよ」
「間違えました」
天然なのか怖さからなのか、右足を思いっきり上げて、靴の裏を確認している。いや、さと君、気にするところはそこじゃないと思わないか?
さと君が、右足をあげた瞬間、ふぁ〜と浮いてまた落ちた。
「悟!ゴミは踏まないでゴミ箱に捨ててよ」
「あっ、弥生先輩!わかりましたぁ〜」
颯爽と俺たちの横を通り過ぎ、さと君にひと言残して病棟を出ていく三崎さん。
「誰?こんなところにコンビニの袋落っことした人!ちゃんとゴミ箱に捨ててよねぇ。踏んじゃったじゃん。おまけに弥生先輩に、注意されちゃったし」
ん?コンビニの袋? さと君の足元を見ると、ひらひらしたビニール袋が落ちていて、何やらブツブツ言いながら拾って捨てる、さと君。
「ひら〜って横切ったのって、このビニール袋だった? びっくりさせてくれるよね」
ひとり愚痴ってると、さと君が
「えっ! 岩崎先生、怖くてちびっちゃったんですか!? 内緒にしておきますからね」
言いたいことだけ言って、ナースステーションへ戻っていく、さと君の背中に
「ちびってないわぁ!」
って、言い返してみる。俺の後ろから
「えっ!? 岩崎先生? えぇ〜!」
驚きのひとことをつぶやき、白い目で見て通り過ぎていく三崎看護師。
「あっ、弥生先輩おかえりなさい」
「悟、ラウンドありがとう」
ふたりの視線が一瞬俺を見て、何やら話し始める。おいおい、俺はビビってちびってないからな!と心の中で叫び、医局へ戻る。




