藤堂先生×笹井悟
「藤堂先生、比奈ちゃんの事なんですけど、お時間いいですか?」
ナースステーションに入ってきたと同時に笹井看護師に声をかけられた。
「えっ!? 陽菜ちゃんに何かあった?」
ナースステーションを見渡し、陽菜ちゃんの姿を探すと、坂倉看護師と笑顔で話している姿が目に入った。とりあえず笹井看護師の話を聞こう。
「ここで話しにくいようなら、別の場所へ移動する?」
「へっ!? いや、別にここで大丈夫ですよ。比奈ちゃんの事で確認したい事があるだけですから」
「わかった。何かあった?」
「えっ、何かあった?って比奈ちゃん何かあるんですか?」
「いやいや、笹井君が陽菜ちゃんの事で話があるんだよね?」
いつものことだけど、笹井君、真剣なんだろうけど、俺には扱いが難しいなぁ。看護師の皆さん、どうやって対応してるんだろう。今度、陽菜ちゃんに聞いてみようかな。
「比奈ちゃんのお母さんが、先生にお話したい事があるからお時間作ってくださいって言ってましたよ」
笹井君が、爆弾発言とも言える事をサラッと言った。陽菜ちゃんのお母さんが……俺に? 心の中で葛藤していたら
「あっ、比奈ちゃんのお母さん来ましたね」
笹井君が、入り口を見ながらそう言った。慌てて俺も入り口を確認する。
「笹井君、もしかしてだけど、ひなちゃんって、西山比奈ちゃんの事かな?」
「そうですよ。始めから比奈ちゃんのお母さんって言いましたよ」
紛らわしい。俺は陽菜ちゃんだと思っていた事がバレないように繕う。俺の態度が不自然だったのか
「ん? 藤堂先生どうかしました?」
陽菜ちゃんに声をかけられた。
「いや、大丈夫だよ」
「そうですか?何かあったら声かけてくださいね」
「ありがとう」
誰か、笹井君の扱い方の説明書をください。心の中で切望する。




