陽菜×アップデート
「みなさん、深夜に電子カルテの仕様がアップデートしてるから確認しておいてくださいね」
依元師長が、とんでもない事を言い放った。
「えっ!」
「陽菜、悩め悩め。仕方ない!どうしても無理ぃぃぃ〜って泣いちゃうくらいになったら教えてあげるね」
「弥生先輩、そんな意地悪言わなくても」
「陽菜、人生そんなに甘くないんだよ」
「後輩の指導するのも先輩の役目のはずですよ」
ちょっと粘ってみる。
「わぁ、嬉しいです!陽菜先輩、僕のお世話お願いしまーす。ふふ〜ん、良い先輩を持った後輩って幸せですねぇ♡」
「悟、知ってる?」
「何をですか?」
「陽菜、機械音痴って」
「ほへっ。じゃあ、真智先輩に聞きに行こう」
なに?この人たちの会話。電子カルテのアップデートくらいいけるでしょ!?」
ねねちゃんのカルテ確認しよう。パソコンの前を陣取って座り、ねねちゃんのカルテを呼び出す。
「ん? あれ?昨日と違うなぁ」
色々ポチポチ押して探してみる。あれ? どっかいった? あ〜、トップページまで行っちゃった。めんどくさいアップデートだなぁ。
「おや?陽菜ちゃん、苦戦してるね」
「あっ、鴻上先生。深夜にアップデートしたみたいなんですよ。もう、ほんと苦手」
「あはは。教えようか? 陽菜ちゃん」
「是非是非!」
こうして新生児科医の鴻上先生に、一から新しい仕様の電子カルテの使い方を丁寧に教わり、何とか困らずに業務を熟るまでになった。
「鴻上先生、ありがとうございました」
「どういたしまして」
そんな会話をしていると
「鴻上先生、こちらにいらしたんですね」
「陽菜ちゃんに電子カルテの使い方の指導をしてました」
「あはは、陽菜ちゃん機械音痴だもんね」
「もう、笑わないでください」
「ごめんごめん」
度々起こる謎のアップデートに悪戦苦闘するか、こうして恥ずかしい思いをして教えてもらうのか……。
究極の選択に迫られる。




