妙子×悟
NICU病棟の扉の前で事務員に声を掛ける看護師。
「外科病棟の荒井妙子です。矢崎陽菜をお願いします」
「お待ちくださいね」
「陽菜先輩、紗羅ちゃん気持ちよさそうですね」
沐浴させていると事務員が私の元へとやってきた。
「矢崎さん。外科病棟の荒井さんって方が入り口でお待ちですよ」
「ありがとうございます」
「いえ。失礼します」
──タイミング悪いなぁ、妙ちゃん。仕方ない待たせておこう。
「陽菜先輩、お客さん良いんですか?」
「紗羅ちゃんのお風呂中だし、私の予定も聞かずに突然来るんだもん。良いよ待たせておけば」
「えぇ〜、先輩。そんな酷い事言うなんて」
──なに? 酷かった? 私!?
「じゃあ、悟。妙子の相手しておいて。私、紗羅ちゃんの沐浴終わったら行くから」
断ると思って、仕返しの意味で無茶振りをしたら、
「わかりました! 僕が陽菜先輩の代わりにお相手してきますね。いってきま〜す」
──えっ!? マジですか! まっ、いいかっ。任せておこう。どうせ妙ちゃんだし。
「あのぉ〜、陽菜先輩をお待ちの妙子様ですか?」
「そうだよ。あれ? 陽菜忙しかった?」
「陽菜先輩、お風呂なんですよ」
「へっ!? 何してんの? 陽菜」
「紗羅ちゃんをお風呂に入れてるんですよ」
「あ〜、そういう事ね」
「陽菜先輩来るまで、僕がお相手して来てって頼まれちゃったんですよ」
「大丈夫だから仕事に戻っていいよ」
「いえいえ、しっかり話し相手を務めさせていただきます。陽菜先輩にお願いされたのでしっかり守らなくては!」
「しっかりした後輩君だね」
「妙子様、今日の差し入れのフィナンシェちゃんをどうぞ」
「わぁ、美味しそう! ありがとう後輩君」
「はい!召し上がってください」
紗羅ちゃんの沐浴を終わらせて、病棟入り口に向かうと、何故か盛り上がる同期と後輩に、このまま放置しようかなぁと思ってしまった。
「妙子。待たせてごめんね。悟、ありがとう」
「あっ、陽菜。後輩君と盛り上がったから、陽菜への用事どうでもよくなったわ」
「へっ? なに? どういうこと?」
「陽菜先輩。もう大丈夫だって、妙子様が」
「はっ? 妙子様!?」
──もう放置しておこう。
「悟、戻るよ。妙子またね」
「後輩君、賄賂ありがとう」
「妙子様、また来てくださいね」
謎のコンビが誕生し、厄介事に巻き込まれる事になるのは、もう少し先のお話。




