悟×誘拐目撃
「真智先輩、お昼の回診終わりました。全員異常無しでしたよ」
「ありがとう。平穏な日になりそうね」
「だと良いですよね」
真智先輩とそんな会話をしていた時、
「陽菜先輩! 大変です! めっちゃ大変ですぅ!」
お昼休憩から戻ってきた悟が、ひとり騒がしくナースステーションに飛び込んできた。
「悟、もう少し静かに入って来られないの?」
「だって、本当に大変なんだもん」
悟、だもんって……可愛くないかも……と悟の背中に呟いておく。
「悟、何が大変だったの?」
真智先輩が悟に問いかける。
「スーツ着たちょっとお年を召した人に弥生先輩が誘拐されました!」
「誘拐って……。それを気付いて放置してきたの?」
「僕も一緒に誘拐されちゃったら誰がこの一大事を伝えるんですか!」
何やら力説する悟に、笑いが込み上げるが、我慢我慢。
「あっ、そうそう。弥生先輩のお父さん今日健康推進センターで人間ドックって言ってましたよ」
「ほえっ?」
「予約入ってるわね。弥生の家族の人間ドック。今頃受付始まってるわね」
真智先輩が、端末で何やら打ち込んで確認をしている。
「一泊コースの予約されてるわね」
「あっ、桃ちゃんのオムツ交換行かなくちゃ」
「悟、オムツは今さっき陽菜ちゃんが替えてたわよ」
「ほへっ?」
そう言いながら後退りするのを見逃さなかった。
「悟っ!」
「はいぃぃ!」
この後、真智先輩にみっちりしごかれたのは言うまでもない。




