悟×肉食女子
お昼休憩も全員終わり、午後ののどかな時間が流れている。テーブルに集まる先輩たちに声をかける。
「真智先輩、弥生先輩、陽菜先輩。助けてください」
「悟、何かしでかしたの?」
「真智先輩、いきなりな質問です!僕何もしてないです。困ってるんです。助けてくださいよぉ〜」
「さとるんが、助けを求めてくるなんて、いつもの事過ぎでびっくりしませんよね」
「弥生先輩、僕……敏腕ナースですよ」
「えっ?びっくりナース!?」
弥生先輩!なんですと!?
「僕の方がびっくりしましたよ。弥生先輩」
「で?どうしたの。早くしないと平穏な時間なくなるわよ」
真智先輩、待ってました! 真智先輩、神ぃぃぃぃ〜。
「産科の事務員の太田さんいるじゃないですか」
「あ〜、あの男の前だけ愛想振り撒くクソ事務ちゃんの事?」
「真智先輩、そんなあからさまなんですか?」
「陽菜、知らないの?あの女の実態」
「知らないです」
真智先輩、陽菜先輩、お話脱線してます。
「あのぉ〜」
「ごめんごめん。それで?」
やっと気づいてくれた先輩達。
「僕にNICUドクターとの親睦会を企画しろって強制してくるんです。鴻上先生と藤堂先生は必ず誘えって怖い顔して言ってくるんです」
「そうきたか、太田彩華!親睦会という名の合コンだよ。汚い女だなぁ」
「弥生先輩、そこで納得しないで助けてください」
そんな話をしていると、問題の事務員の姿がNICUの事務員の所で、こちらをチラチラ視線を向けていた。
「うわっ、真智先輩、僕、目が合っちゃったじゃないですか!」
「そんなの私のせいじゃないでしょ」
そうだけど……
「笹井君、こんにちは」
うわっ、声かけてきた! 思わず隣にいた陽菜先輩の後ろに隠れた。
「笹井君、昨日の話なんだけど、進めてくれてる?」
頼れる白衣の女神の先輩看護師、真智先輩が僕を守ってくれた。
「ウチの笹井が、産科の事務さんに何かご迷惑かけてますか?教育不足で申し訳ないわねぇ」
「えっ? 親睦会の相談をしただけですからナースの皆様にご迷惑をおかけしてはないと思いますよ」
「親睦会なら何故、医師の男性だけなんでしょうね? まるで医師を捕まえるための低レベルな合コンに感じますけどね」
わぁお、真智先輩。神ぃぃ!かっこいい!どこまでもついていきます!
そんな事を感じてる僕の横から
「ウチのセンターの医師を巻き込むのは遠慮して頂けませんか。太田彩華さん。少し自重した方が宜しいですよ。あなたに気をつけるよう医局で話題であがってますから。後程、そちらの派遣会社の事務長に報告させて頂きます」
颯爽と現れ、僕を助けてくれた医局長。いつの間に来ていたのか、鴻上先生や藤堂先生、岩崎先生までこちらを見ていた。
「うざっ。ただ一緒にお食事しませんかって話なのに、ここまで私をイジメなくて良いんじゃないですか」
その言葉に、藤堂先生が一歩前へ出て陽菜先輩の横に立ち
「先週は、心療内科の事務員と心療内科のドクターに強引に誘ってましたよね。そのドクター俺の同期なんだよね。迷惑がってましたよ。お前らも気をつけろってアドバイスしてくれるくらい」
藤堂先生は言いたいことだけ言って、陽菜先輩を連れて後ろへ下がった。ん?なんで陽菜先輩を連れてったの?
「普段からあなたの職員への接し方や態度があからさまな差別態度が、あなた自身の首を絞めた結果だと思うわよ」
真智先輩、かっこいいです。
「何よ、差別態度って!」
「ご自分で気づいてないの?わざとかと思ってましたけど。女性への態度と男性への態度全く違いましたよ。あっ、付け加えるなら、女性でもそれなりの役職がついてる人とそうでない人では、あからさまに態度に出てましたよ」
「うざっ、配置転換の希望だそう」
そう言って病棟を出ていった。しばらくして、この病院で太田さんの姿を見ることがなくなった。僕に平穏な生活が戻ってきた。
「さぁ、オムツ替えましょうねぇ」
大量のオムツをナーシングカートに乗せて保育器に向かう。今日も頑張るぞぉ!




