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藤堂先生と陽菜の愛⑥ 小田先生×実行

──あれだけ私がお願いしたのに、何も変わらないじゃない。ふたりで帰るのをやめない。ふたりでランチしてたのも確認した。ちゃんと知らせたのに、無視した矢崎あいつが悪いんだから!


 いつも誰かと一緒にいるから声もかけられない。たまたま売店に行こうと病棟を出て廊下を歩いていたら、アイツを見かけた。跡をつけてみようと思い、こっそり跡をつけると、小児外科病棟で何やら話して、こちらへ歩いてきた。病棟に戻るのかと思っていたが、眼科へ行くようだ。


──うろちょろめんどくさい奴だなぁ。職員通路へ行くと思ったのに今度は一般通路を通って戻る気? ムカつくわね。


 そんな事を思っていたが、神様はわたしの味方をしたようだ。周産期医療センターへ戻る人なんてそんなに居ない。階段を降り始めた時に私は声をかけた。


「矢崎さん、私あなたにお願いのお手紙差し上げたわよね? そのお願い無視するの?」


「私にではなく直接藤堂先生に話されたらどうですか?」


「あんたが付きまとうから私を見てくれないんじゃない! あんたが別れると言えば済む話でしょ」


「藤堂先生から別れると言われない限り別れるつもりはありません。失礼します」


 イラッときた。看護師ごときが私のお願いを無視して別れようとしない。話は終わってないのに階段を降り始め病棟に戻ろうとしたので、肩を掴んで振り向かせようとしたら、そのまま踊り場まで落ちていった。


──やばい。バレたら……。


「ちょっと! あんたが自分から落ちたんだからね! 私のせいにしないでよ! わかったわね! 迷惑な女ね!」


「…………」


「ちょっと、そこで何をしているんですか? 産科の小田智恵美先生ですねよ! ウチのナースを突き落としましたよね? そこの防犯カメラに証拠があると思いますから。調べて報告させていただきます! ウチのセンター長から」


 そう言ってどこかに連絡を入れた。名札を見れば坂倉と書かれている。逃げようと思ったが前後から人が集まってた。


「陽菜!」


 藤堂先生が私には目もくれず、アイツに駆け寄り声をかけた。


「ストレッチャー持ってくるよりこのまま急外へ連れていきましょう。藤堂先生、お願いできますか? なるべく揺らさないように」


「わかりました」


 藤堂先生はアイツを抱き上げ、数人のドクターと救急外来へと向かっていった。


「小田先生、嫌がらせ行為をやめるように言いましたよね。それにも関わらず嫌がらせをまだ続けていたんですね」


「……部長。あの子、自分で落ちたんですよ」


「それならなぜ、救護措置を取らなかったんですか?」


「何を言ってるんです。私は産科医ですよ」


「目の前に救える命があるのなら、手を差し伸べるのが医師の役割ではありませんか? 前回言いましたよね。次に問題を起こすようなことがあれば責任をとっていただくと。詳しくは院長室で話し合いましょう」


──はっ!? 院長室ってどういう事? 産科の医局で良くない? うまくいかないわね。どこで間違ったのかしら。


「ちっ」


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