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藤堂先生と陽菜の愛⑤ 陽菜×始まった嫌がらせ

 いつものように自分のロッカー前に立つと、何か貼ってあるのに気づいた。


 ロッカーに磁石で紙が挟まれている。


──私へだよね? 誰も周りにいないし。ん? この磁石って……とりあえず手紙を確認してみよう。


【藤堂先生の横はあんたの居場所じゃない。看護師のクセに偉そうに医者と付き合うなんて百年早いわ。ちゃんと考えないと後悔することになるわよ。それじゃあそういう事で。ちゃんとお願いしたからね。早急に行動しないと後悔するから】


──えっ? 何これ。誰? それにこの紙……師長に言わなくちゃだよね。きっと駐車場のあの人よね。一緒にいたの見られちゃったし。


 ポケットに忍ばせ、病棟へ持ち込む事にする。


 ちょうど依元師長と真智先輩がいたので報告する事にした。


「師長と真智先輩に、相談したいことがあるんですけど。奥の休憩室でも良いですか?」


「陽菜ちゃんわかったわ。坂倉さん行きましょう」


「はい」


 奥の休憩室に入り、今朝のことを話す。そしてテーブルの上に手紙と、ロッカーに付けられていた磁石も一緒に置いた。


「何? この内容! それにこの紙」


「それとこの磁石」


「やっぱり、気づきますよね。私も思いました。これは産科で使用しているものですよね。製薬会社から配られる産科専用の紙。『産科用』って書いてありますし間違いないかと。周産期の産科からメモをもらいますけど、この紙ではなかったと思います」


 師長は医療用手袋をして、手紙と磁石を茶封筒に入れて周りから見えないようにしていた。万が一、小田先生が何処からか見ていても気づかれないようにという配慮だろう。


「医局に行ってくるわ。坂倉さん、この後の引き継ぎとか任せて良いかしら」


「もちろんです」


「陽菜ちゃん、行きましょうか」  


 医局にはすでに新生児科医、医局長、センター長などが揃っており、挨拶を早々に済ますと、依元看護師長が説明を始めた。


「先ほど、矢崎より相談を受けました。今朝ロッカーに貼り付けてあったそうです。それがこちらです」


 また、医療用の手袋をはめて中身を取り出しテーブルに広げる。その場にいた医師、センター長、医局長が手紙を囲んで内容を確かめた。


「これは酷いな。医師がこんな低レベルな事をするなんて残念で仕方がないよ」


「何かする気でいるようですね。病棟にいる時は狙ってこないでしょうから、ひとりになる時でしょうね」


 先生方が心配してくださる事に感謝しかない。そう思っていると、手紙の内容を確認した様子の藤堂先生が私の横にやってきた。


「陽菜、大丈夫?」


「なんとか」


 藤堂先生は、知らない間に震えていた私の手を握ってくれた。


 センター長は病院長へ。医局長が一般病棟産科の産科部長へ報告に行くことになった。


 私の元へセンター長がやって来た。。


「矢崎さん、解決するまで気をつけて過ごしてくださいね。早急の解決を心がけますから」


「よろしくお願いします」


 そう言って頭を下げた。


「藤堂先生は、相手が接触してきたら、我々に報告してください。然るべき対応をしますから」


 こうして、病棟全体に迷惑がかかってしまったが、早急に解決してほしい。業務に差し障りのないようにしたい。しかしこの後、まさかあんな事をされるとは思ってもいなかった

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